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□寒い日は。
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雪の降るイギリス、ロンドン。
今日は俺の恋人、アーサーの家に来ていた。
「やっぱり君の家の紅茶だけは旨いな」
「"だけ"って何だよ"だけ"って!!」
今テーブルには、アールグレイの紅茶とスコーンという名の黒い何かがある。
俺はその黒い何かには手をつけていない。
「なあアル、今日のスコーンは上手く出来たんだぜ。だから食べ(ry」
「何だい!?いつもと何ら変わりないじゃないか!?」
シュン……
嬉々とした表情から一変 、あからさまに落ち込んだアーサー。
「……一体、どうすればこうなるんだい?」
「普通に作ってるつもりなんだが……」
「ったく、君はしょうがない奴だな………」
ぱくっ
死ぬ気でスコーンを食べてみた。
「っ………………!!!!!!」
不味いっ…不味い過ぎる………!!
「アル、そんなに不味いのか?」
心配そうな顔で俺の顔を覗き込んできた。
じゃあ何で作ったんだい君は…。
「うーん…………。」
「…っ………」
アーサーが泣きそうになった。否、すでに泣き出している。
「あ、ちょっと、本当に何なんだい?もう、この年で泣かないでくれよ…」
俺より年上の筈なのに、全く泣き虫だな、君は。
ぎゅ、っと俺はアーサーを抱きしめ、頭を撫でる。
「 うぅ…だって、今日はお前がくっ、来るって言うから、とびきり…っ美味しくした、はず、だったのにっ……」
「…確かに、君のスコーンはとても美味しいとは言えないけど、君が頑張って作ったのはよく分かってるんだぞ」
俺がそう言うと、アーサーは顔を上げ、深緑の瞳が俺をじっと見つめて、首をこてんと傾げる。
…それが、23歳のおっさんのとる行動かい?
「……ホント、か?」
いつもより少し上ずった、子供のような声。
「うん、ほんと。」
俺はまたスコーンを食べ始める。
「べ、別に、無理して食べなくても…」
「いいんだよ、君が折角沢山作ってくれたんだ。それに、食べれないほど不味くはないんだぞ!」
彼の言葉を遮って俺はそう言って笑みを向ける。
「っ、アル…」
「ふう、ごちそうさま! スコーンと紅茶、ありがとな アーサー!」
俺はスコーンを全て平らげた。
…明日、大丈夫かい?俺のお腹。
なんだか昔の頃を思い出した気がする。
美味しくないと思いつつ笑顔でアーサーのご飯を食べていた小さかった俺。
アーサーの悲しそうな顔を見たくなくて。
アーサーの笑顔が見たくて。
「アル……!」
アーサーから抱きついてきた。
「今度は絶対旨い飯食わせてやるからなっ!」
「ああ、楽しみに待っているんだぞ!」
アーサーは昔にも見たあの笑顔を見せてくれた。
End
ぐだぐだな終わり方で終わってしまいました。
もう少し甘くしたかったです。
夏に書いたのに冬のお話……。
そろそろ英米や日米など、お米の右側も書きたいです。