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□英雄は扉を叩いて
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今日も、パソコンの前に座った。
ヘッドホンをはめ、画面の中の世界へ入り込む。



バンバン、と玄関の扉を叩く音が、ヘッドホンの外から微かに聞こえた。
先日通販で頼んだゲームソフトが届いたのでしょう。




…扉を叩く?呼び鈴がありますのに。
いや、そんなことより。今回頼んだゲームは人気ゲームの最新作かつ特装版…!

一刻も早く扉を開かなくては!!





「Hello!俺とjoinusしようじゃないか!!」










一瞬で状況が把握出来なかった。

目の前にいるのは頭に疑問符を浮かべて微笑む金髪碧眼の青年。しかも、私と同じ学校の制服の方で。

…このごろ、私はもう着ていませんが。



「ん?俺の顔に、何か付いてるかい?」
「あ、あの…どちら様、でしょうか?」




「ああ、俺はアルフレッド・F・ジョーンズだぞっ」


ジョーンズ…さんは、“自分はアメリカから来た転校生だ”と話してくれた。


配達でなければ、早く帰ってもらいたいのですが。



「俺のクラスに学校に来ていない人がいるって聞いてさ!
HEROの俺が、君を学校に来れるようにしてあげようって思ったんだぞ!!」










私は、そっと扉を閉めた。




「えー!?何で閉めるんだい!?おーいっ」

扉の向こうで声が聞こえるが、気にせず鍵を閉める。

「手紙を置いておくから、見るんだぞー Seeyou!」

その日は、ジョーンズさんの手紙を見ることは疎か、
郵便受けを見ることもなく再び自室に戻った。


***


次の日、無事にゲームソフトが届いた。
外に出たついでに、たまりにたまった郵便受けの中身を確認する。

沢山のチラシの中に、昨日のジョーンズさんの手紙があった。






“親愛なる菊へ

HEROとして、必ず君を学校に連れて行くからね!反対意見は認めないぞ!
あと、今度から君のこと菊って呼ぶから、菊もアルフレッドって呼んでいいぞー!

アルフレッドより”






「初対面の貴方にそんなこと言われたくないですよ。」



私は呆れて独り言を呟いて、新作ゲームのパッケージを開けた。





***



それからというもの、ジョーンズさんからは
毎日のように手紙が届くようになった。

……ストーカーですか。
私は何が何でも学校に行くなんて嫌ですからね。




それなのに。

私は毎日のように郵便受けの中を覗いている。





……何故、でしょうか?
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