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□俺がヒーローになった訳
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今日は、久し振りにアーサーが遊びに来てくれた。

でも……。



「よぉ、アル。いい子にしてたか?」

「アーサー、………っ!」





アーサーは身体中包帯だらけだった。

アーサーの顔は見てるだけで痛そうで、笑った顔もなんか辛そうに見えた。



「ちゃんといい子にしてたんだぞ! …ねぇアーサー、大丈夫?」

「うん、大丈夫」




ケガが治ってきたと思えばまたすぐにケガして…。

最近こうやってアーサーがケガするようになったから、
どうしたの?って聞くのに、
いつも "何でもない" "大丈夫だ" って。



オレに、何か隠し事してるんだ。




「大丈夫に見えないよ! 何でいつもこんなにケガしてるの?」

「………。」


困りながら笑った顔をしたアーサーにちょっとムカついた。
オレはアーサーに思いっきり膨れっ面をしたら、目が熱くなってきた。
おかしいな、怒ってるはずなのに。


「何でっ、本当のこと…言ってくれないのっ!?」



アーサーはちょっとビックリ顔をしてから、
すぐにオレを抱きしめてきて、
よしよし、と頭を撫でてきた。

…だから、もうオレは子供じゃないんだぞ。



アーサーになだめられても涙は全然止まらない。

アーサーがホントのこと教えてくれないから?

アーサーがいつもオレのこと子供扱いするから?



………ううん、違う。





アーサーに、辛い思いをさせたくない。
何もできない自分がちっぽけになって。

大声を上げて泣くオレは、
アーサーから見ればやっぱり子供なのかも知れない。

でもオレは、アーサーを守る大人になりたい。
ヒーローになりたい。



「アーサーっ、ホン、トのこと……言って?」


アーサーは、目を逸らして「うーん…」と言うと気まずそうに続けた。


「その、な。…喧嘩するんだ」

「ケンカ…?」


ある程度の国になると、ケンカをして、
それでケガをするんだってアーサーが教えてくれた。

アーサーはいつも頼りがいのあるお兄ちゃんなのに、
今日は何だか頼りなく見えた。
だから、しゃがんで近くなった頭を、撫でた。
すると、アーサーもクシャっと顔を歪めて泣き出した。

オレは、キレイな緑色の目を覗きこんで言った。


「オレがヒーローになってあげるんだぞ」

「…?」


見開かれた目は、アーサーが
"どういうことだ?" って言ってるみたいだ。



「今、すごく苦しいって、辛いって顔してるぞ?
だから、オレがヒーローになって、アーサーを笑顔にさせるんだぞ…!」




アーサーは、泣きながら笑った。
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