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□英雄は扉を叩いて
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“今日も来なかったね。大丈夫かい?”
“俺は、いつまででも待ってるんだぞ!”
“君と、面と向かって話をしたいんだぞ…。
でも、毎日ポストの中が空っぽになってるってことは、読んでくれてるみたいだね!”
……まあ、確かに読んでますけど。
本当にストーカーか何かなんでしょうか?
でも。
何というのでしょうか。
ジョーンズさんに会って、ほんの少し、
心が軽くなった気がします。
***
今や日課になった、郵便受けの手紙を確認しにいくこと。
いつものように、郵便受けから手紙を取り出し、広げる。
「…?」
そこには、
“ごめんね”
の文字。
それ以来、ジョーンズさんからの手紙は一切来なくなってしまった。
何日待っても、こない。
いや、手紙が来なくなってから、まだ3日しか経っていない。
それでも、すごく長い時間の様に錯覚する。
彼に悪いことは何もないのに。
何故、彼が謝らなければいけないのですか。
また、もう一度、会いたい。
唯、その一心で。
気付いた時には、もう既に家を飛び出していた。
息を弾ませながら学校へと走っていく。
ふと見上げた空は、気持ちとは裏腹で、憎たらしいぐらいの
青色をしていた。