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□I hate you. -BADEND-
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部屋の外から鍵を開ける音がする。


ドアが、開いた。



コツ、コツ、をブーツの音が近づいてくる。





「ふふっ、ヒーローって、こんな簡単に捕まっちゃうんだね。
気分はどう、アルフレッド君?」

「ハハッ、最悪だよ」



嘲笑しながら話すイヴァンに、余裕なフリして返答する。





見せかけの余裕は、イヴァンに対するなけなしのプライドで。

実際余裕なんて、あったもんじゃない。

俺の心境を知ってか知らずか、目の前まできたイヴァンは、
俺の顔をのぞき込むようにしてさらに笑みを深める。







「今から、君は僕のものだよ」



酷く優しい声色なのに、体中が恐怖で戦慄く。



「……っ、く、たばれ、イヴァン」



涙声で、自分でも今にも泣きそうなのが分かる。






束の間の静寂の後、“ポンっ”という軽快な音と共に、
何かが俺の方にゆっくり飛んでくる。

「ふふふ、まだそんな無駄口叩けるんだね。
君は僕のものなんだから、ちゃんと言うこと聞いてよ」


ふわふわと飛んでくるハート形のそれは、
俺のフライトジャケットにくっつく。
服の上から付いているものの、そこは心臓の位置で。





「………ッ!!!」


全身に鋭い痛みが走る。苦しい。



「明日にでもなれば治るよ。また明日ね。僕のアルフレッド君」





イヴァンは部屋を出ていった。






「かはっ、は、はぁ…はぁ……」



息が止まりそう。
…これは他の何でもない生き地獄だ。







「…ぅ、っくた、ばれ…イ、ヴァン……!」



俺の嗚咽は、無機質な部屋に響いた。
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