ようこそ学園へ 〜長編〜
□真実か偽りか
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医務室へ到着すると、やはり先生と言われる人がその部屋には居り、身体中のあちこちに手当てが施されていった。
その間も先生たち同士で何か話しをしているが名前の耳には届かない。
緊張が解けた瞬間、 強烈な眠気を感じた。 名前は 閉じそうになる重い瞼をゆるゆると開こうと何度か繰り返していたが、疲れや怪我による体力の消耗が大きいのだろう。
いつの間にか引き摺り込まれるようして眠りに落ちていったのだった。
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気が付くと、朝の光が障子戸の向こうから差し込んで来ていた。
朧気な感じで辺りを見渡し起き上がろうとした。しかし身体のあちこちが痛みを訴えて思うように動く事が出来ない。
仕方なく仰向けのまま目だけで周りを確認すると、昨夜連れていかれた医務室とは違い部屋の中には何もない。たた自分が寝かされていた布団が一つ敷いてあるのみだ。
・・・・いつの間にか寝ちゃったのかな。
ぼんやりしながらも名前は再び 確かめるようにゆっくり目を閉じて、眠りにつく前の出来事を思い返す。
そうやっている最中も傷は痛み、全てが夢ではなくこの身に起きた事であると改めて思い知らされる。
唯・・・・、美菜・・・・
彼女たちは無事だろうか。
家族も心配しているかもしれない。
元の世界に戻れるのだろうか・・・。
考える時間が出来ると、頭の中は悲観的な言葉ばかりが浮かんでくる。
不安で押し潰されそうになり、自分を奮い立たせるかのようにギュっと片方の手で胸の辺りの服を強く掴む。
それでも込み上げる思いは涙と共に視界を滲ませていった。