ようこそ学園へ 〜長編〜

□水に映る月
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朝早くに起きて準備を始め、昼は雑用、夜は仕込みで遅い。
体の怪我もすっかり良くなっていた為、名前は早く馴染めるように食堂の仕事の他にも進んで働くようにしていた。
一日が終わる頃にはクタクタで部屋へ戻ると倒れるようにして眠ってしまっていたが、その努力の甲斐もあり学園の様子やこちらでの生活の仕方という物が分かってきた。
そして何よりも、学園中の人間が 名前を知るようになり、その勤勉さや努力家な所を評価し好意的に接してくれるようになっていた。

「おはよう〜!」

そう言って次々と食堂へと入って来る子供たちに挨拶を返していると、一年は組の乱太郎、きり丸、しんべえもやって来た。
しゃもじ片手にご飯をよそっていた 名前も笑って挨拶を返す。
しかし直ぐに彼等の様子がおかしい事に気付きそれとなく近付く。

「あ〜あ、やだなー」

食堂の椅子に腰掛けるなり頬杖をつき、きり丸がそう溢す。 名前はそっと近付き聞いてみる。

「きり丸くん、どうしたの?」

見れば他の二人も何やら浮かない顔をして座っていた。

「このあと朝から野外授業なんだ」

きり丸がそう答えるが、 名前はそれが何故嫌なのか分からなかった。
学園生活をして三週間程になるが、その間も野外授業はあった。
何故、今回ばかりこんなに憂鬱そうなのか分からず首を傾げていると、三人の担任である土井先生も食堂へとやって来た。
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