ようこそ学園へ 〜長編〜

□始まり
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頭を擦り涙目になっている男の子が土井先生にお説教されている。
暫くその様子を唖然として見ていた。すると、丸眼鏡の男の子は更に 名前 との距離を縮めて、いつもの事だから気にするな、とそっと教えてくれた。
今怒られているのが、きり丸。自分は乱太郎で、こっちはしんべえと其々の名前を教えると、再びにっこりと名前に笑顔を向けた。

「名前さんて名前なんだってね。土井先生から聞いたよ。怪我も随分良くなったんだってね」
良かったね、と続ける。
そう言われて、ふと、あの時の事を思い出す。助けて貰わなかったらどうなっていただろうか。そんな事を考えると恐ろしくて堪らないが、現実はこうして生きている。それも全てこの子たちが自らの危険を顧みず助けてくれたからだ。
そう思うと 名前 は自然と感謝の言葉を口にしていた。

「うん。本当にありがとう。これもあの時、乱太郎くんたちに助けて貰ったおかげだよ。」
名前 もにっこりと笑顔を向ける。

・・・キレイな人だとは思っていたけど笑うとこんなに可愛いんだ。

名前の笑顔に乱太郎は頬を少し赤く染めた。暫くぽおっとして見つめていたが、端と思い立ったように口を開く。

「そう言えば、 名前さんはあの晩、あそこで何をしていたの?」

乱太郎が訊ねると、それまでお説教していた半助であったが二人の間を割るようにして会話に入る。

「それはだな、 苗字さんは道に迷っていたらしい。」

そう言い、ちらりと名前に目配せをした。
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