ようこそ学園へ 〜長編〜
□水に映る月
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「 おはようございます! 」
土井先生が挨拶をしながら食堂へと入って来た。何だかいつも以上に快活な足取りである。
「よお、お前たち!」
そう言って座っている乱太郎、きり丸、しんべえの肩を一人ずつ叩いていく。そして、その顔はやけに嬉しそうだ。
「今日の野外授業は山本先生が出張でお留守だからな。くの一教室も合同だ。さぞ嬉しかろう」
ニコニコと笑う教師と、青ざめて暗いムードの生徒。訳が分からず見守っていると乱太郎が口を開く。
「先生、ひどいよーっ!くの一教室の子と一緒だなんて!」
恥ずかしがっているという風でもなく必死で嫌がっている。
女の子と一緒で嬉しくないのだろうか。名前は疑問に思いそのまま乱太郎たちに聞いた。
「なんで?女の子が一緒だと嫌なの?優しいし可愛い子たちだよね」
嫌な理由が見当たらない、くの一教室の女の子は可愛いし、食堂の仕事も雑用も手伝ってくれる優しい子たちだ。
しかし見ると土井先生も乱太郎たちも皆、唖然としてこちらを向いている。
「・・・あ、あのね。 名前さんにはそう見えるかもしれないけど僕たちには 」
ねえ、と言って乱太郎は困ったように、きり丸としんべえに同意を求めている。
見れば土井先生まで腕組みしながら、うんうんと頷いている。
名前はやはり何故だか分からず首を傾げる。