skmくん受け1

□夏風邪
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朝起きたら、喉が痛かった。
熱はないし、他の症状もない。
取り合えず、歌番組の収録が入ってなくて良かったとホッとした。

話すのも辛いので、マネージャーにはLINEで連絡を取り病院に向かう。
医者からは、「夏風邪でしょう」と言われて、「薬を出すから効かなかったり酷くなるようならまた来てください」と言われた。

マネージャーには、今日の仕事は他のメンバーに代わってもらうから家に帰ってゆっくりと休むように!と言われた。

はあ…。

なんで夏風邪なんて。
他のメンバーだってそれぞれ今忙しいだろうに迷惑をかけてしまった。

取り合えず、グループLINEで連絡すると他のメンバーから「気にするな」、「ゆっくり休んで早く治して」と返ってきた。

ホント、いい奴ら…。
あいつにも心配かけてるだろうな。
スマホの画面を見つめながら、深くため息をついた。


すると”あいつ”佐久間からグループLINEではなく、個人の方にメッセージが入ってきた。



『しょうたくん、今日は早くお仕事終わるから。それまで大人しく寝てなさいね』

『うるせえ!(笑)』
『仕事終わったら色々持ってそっち行くから』

『分かった、サンキュ!ってお前俺の母さんかよ』
『そうよ?さくママです!!』

なんてくだらないやり取りも俺の事気遣っての事なんだと思ったらほっこりとした気持ちになった。

家に帰ってから薬を飲んで、大人しく眠っていた。
随分と眠ってしまったらしく、次に目を覚ましたのは夕方過ぎ。


いくら今日は早く終わるって言ったってまだ来てないよな…と天井を見つめながら再びため息。

(早く会いたい)

風邪のせいで気持ちも弱って来てるらしい。

情けない奴、と自嘲する。

冷蔵庫を開けて、喉が痛くても食べられる物を探すが何もなかった。

ゼリーでも買ってくれば良かったと考えながらスポーツドリンクに手を伸ばした所でLINEの通知音がした。

『しょうたー!!!起きてるー???今そっち向かってるからねー??もうすぐ着くよー!!』
『了解』
『おお!!返事早い!!良かった!寝てたらどうしようかと思った!!笑』
『さっき起きた』
『そっか、あのあとちゃんと寝てたなら良かった!』
『ちゃんと寝てたようるせーな!』などとやり取りし続けていたら着いたらしい。

インターフォンが鳴り、ドアを開けてやると両手にたくさんの荷物を持った佐久間が立っていた。
そんなにたくさん何を持ってきたんだ?と呆然としていると「あの、入ってもいいですか?」と顔を覗き込まれてしまった。

慌ててコクコクと頷くと、「お邪魔しまあす!!!」と元気よく家に上がりこまれる。


荷物を台所にどさっと置き、「色々買ったり持ってきたりしたよー!」と言った。

買って来てくれたのは、さっき食べたいと思っていたゼリーを数種類。
それと、リンゴなど。

そして、さっきから気になってた大きい荷物はリビングの方に。
佐久間は手際良くテーブルにタッパーやお弁当箱等を並べだした。

「何?」と指を差すと「佐久間さんのお手製料理!」なんてエッヘンと腰に手を添えて言う。


「喉痛いんでしょ?喉痛くても食べられそうなのを作ってきたから」

見ると美味しそうなおかずやお粥がテーブルの上に広げられていた。
「取り合えず、食べてみて?」と言われたので、まずはお粥に手を伸ばしてみた。

「うまっ」
「そ?良かった!」

あまりの美味しさに、気が付いたら沢山食べていた。
さっきまでは全然食べる気しなかったのに。

来てくれなかったら、きっとあの後スポーツドリンクを飲むだけで終わらせていたかもと渡辺は思った。

「ごちそうさま」
「はーい」
「料理、上手いな」
「ありがとー!なんか嬉しいけど照れる…!」


喜んでもらえて良かったー!と嬉しそうに目を細める佐久間を見ていたら、愛おしさが湧き上がってきた。
思わず、佐久間の腕を引き寄せ胸の中に引き寄せる。

「翔太…?」
「今日はありがと」
「どういたしまして」



「しょーたー!」
「ん?」
「早く良くなってね」>
「ん」
「早く一緒に仕事したい」
「ん」
「今日もね、みんないたけど寂しかった」
「ごめんな」

前髪をよけ、額にそっとキスを落とした。


(ほんとは口にしたいけど、風邪うつすといけないしこいつもマスクしてやがるしガマン!ガマン!)
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