野球

□短編
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会いたい、会いたい、会いたい。
シーズンの閉幕が近づくにつれて、宮城に会いたいという思いは大きくなっていた。
メッセージのやりとりは毎日のこと、ビデオ通話で顔をみることも出来たけれど、人間欲が出るとはこのことで、やりとりをすればするほど直接会いたい気持ちは留まることを知らなかった。
最後に会った日のことを思い出す。
いつもニコニコしててふわふわとした雰囲気を纏っている宮城が、珍しく弱音を吐いた。
「また会えない日が続くのが、寂しい」
「…それは、俺もだよ」
「だからさ、離れていてもろうきの感触が消えないくらいにしてほしい、」
そう言ってこちらに向けてきた視線は熱に侵されていて。
好きで好きでたまらない人にそんなことを言われて冷静でいられるほどできた人間じゃないから、もう無理って言われても抱くのをやめなかった。
好きだ、愛してる。お互いに何回も愛をささやきあった。最後に珍しく涙を流しながらやだやだって言ってたのは体が限界を迎えたって意味なのか、明日から会えなくなるのがつらいって意味だったのか。後者だったらいいなって自分勝手なことを考える。
会えたらまず何をしようか。
出かけたり、何か食べにいったりするのもいいけれど、2人だけの空間で愛を囁き合うことから始めよう。
早く、あなたと、2人で。
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