野球

□敵わない人
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「ただいまー!」
宮城におかえりと言ってもらえることが楽しみすぎて、つい声のトーンが上がりつつ帰宅を知らせるも、期待していた返事がない。
ぽてぽてと歩きながら「おかえり、ろーたん」ってにっこり笑いながら迎えてくれると思ったのになぁ。
リビングを覗くも宮城の姿はない。キッチン、風呂場、トイレも確認したがいないようだ。
靴はあったし宮城の匂いもするから、間違いなく家には居るはず。分かってはいるのだが、姿が見えないことに少しの焦りを感じつつ、まだ見ていなかった寝室のドアを開ける。
すると、中からぶわっと漂う宮城の強く甘い香り。
その香りにクラクラしつつ、中の光景を見た俺は思わず絶句してしまった。
寝室にあるクローゼットとタンスの引き出しという引き出しは全て開けられ、ベッドにはこんもりと服の山が出来ていた。
しばらく目の前の事態を飲み込めないでいたが、ピンとある事に気が付いた。
これはもしかして、噂に聞く「巣作り」というやつでは…?
だとしたらこの服の山を作ったのは宮城で、その本人は恐らくこの中に居るのだろう。
恐る恐る服の山に近付き、「みやぎ…?」と声をかける。するともぞもぞと山が動いたかと思うと、服の隙間から俺が出掛ける前以上に顔を赤くし、表情を蕩けさせた宮城が顔を出した。
「ぁ……ろーき、ごめ……これは、その……
そふぁーにおいてあったろーたんのふくをね、たたもうとおもったら、なんか……もっとほしくなっちゃって……きづいたら、かってにたんすあけて、ふくひっぱりだしちゃって…うぅ…、ちらかして、ごめんね…?」
じわりと目に涙を浮かべ謝る宮城。
何度でも言う。俺の宮城が可愛すぎる。
「……気にしないで?それよりみやぎ、これはね、巣作りっていって、αの服を集めるΩの本能なんだって。だから、何も変なことじゃないんだよ?上手に巣作りできてえらいね…?」
ゆっくりと、発情期に入り頭がふわふわしているであろう宮城に優しく語りかける。
すると宮城は誉められて嬉しいのか、更に表情を蕩けさせ、はふ、と熱い息を吐いた。
「ぅぁ…ッはぁっろーたん、もっと、ほめて…?あと、ぎゅってしたいから、こっちきてよぅ……」
もぞもぞとこちらに向かって手を伸ばす宮城。
手を出した拍子に少し崩れた服の山の隙間から、宮城が俺のトレーナーを着ているのが見えた。
その破壊力たるや凄まじく、宮城に対する可愛いと愛おしいが止まらなくて我ながら大丈夫かと思う。
せっかく宮城が作ってくれた巣をなるべく崩さないよう、もぞもぞと中にお邪魔する。
服を掻き分け宮城の全身が見えるようになると、トレーナーの下には宮城のむっちりした生足が鎮座していた。
「………みやぎ、下は…………?」
上手く働かない頭でなんとかそう問いかける。
「した……?…ぁ…えぇと………、ぱんつ、ぐちゃぐちゃになっちゃったから……ぬいじゃった……」
恥ずかしそうにトレーナーを下に引っ張りながら言う宮城。
好きな人+彼トレーナー+下半身裸なんてもう、反則中の反則だろ…
理性が焼き切れるのを頭の片隅で感じながら、なりふり構わず宮城の唇を奪った。
「んむ…ぁ…ふぁあ……んふ、はぁ…やっぱり、ほんものの、ろーきのにおいがいちばんすきぃ……」
キスの合間に、健気な犬か猫のようにぺろぺろと俺の唇を舐めながら宮城はとろんと笑う。
「…はぁっ…、みやぎも、めちゃくちゃいい匂いするよ…?」
「ん、そぉ…?…はぁっ…ね、ろーき、いっぱいいちゃいちゃしよ……?」
身体中を火照らせた宮城から積極的にちゅ、ちゅ、と全身にキスを送ってくれる。
それが嬉しくてされるがままでいると、すす…と股間に顔を寄せられ少しビクッとしてしまった。
「んふ、ろーたんかーいいね……ねぇ、ここ、なめていーい……?」
まさかの宮城からの申し出。
全身が沸騰するかのように熱くなるのが分かる。
「……いーよ、みやぎ。好きなだけ舐めな…?」
頭を撫でながら了承すると、覚束ない手付きでジッパーを下ろそうとするので手伝ってあげる。
パンツとズボンをずり下ろし、既に宮城の匂いと蕩けきった姿に全力で立ち上がっている自分のモノを、宮城の目の前に差し出す。宮城はそれをうっとりと眺めたかと思うと、おずおずと舌を出し先端をぺろりと舐めた。
子猫がミルクを舐めるかの如く、ぺろぺろと先端を舐め続ける宮城。視覚からの刺激としては暴力的なまでの破壊力があったが、物理的な刺激としては物足りない。少しそわそわした気持ちでいると、まるでそんな俺の心を見透かすかのように、ゆっくりと口の中に竿を迎え入れられた。
わ、あったか…やわらか…。
初めての感覚につい腰が動きそうになる。
しかし、宮城がどういう風に俺を慰めてくれるのかとても興味があったので、なんとか力を入れて持ちこたえた。
ゆるゆるとその小さな口の中に俺のものが出入りしている。初めてで感覚が分からないのか、ほぼ唇でなぞるだけくらいの刺激しか与えられない。
そんな宮城の口淫に物足りなさを感じながらも、慣れていないその姿に興奮は増すばかりで、息が上がるのが抑えられない。
「はー…っ……みやぎ……もうちょっと、口、萎められる…?」
俺からの要求に上目遣いでちらっとこちらを見たかと思うと、そのままきゅっと締まる感覚がした。
そのまま再び顔を上下に動かされると、ぞわぞわと背筋を快感が駆け巡った。
「ん…っ…は……み、やぎ、じょーずだね…♡」
懸命に奉仕を続ける宮城の頬をすり、と撫でると、うっとりとその手にすり寄ってくる。
可愛い小動物のような顔をした宮城の口に俺のグロテスクなちんこが突っ込まれているその光景に、背徳感と征服感でどうにかなってしまいそうだ。
程なくして射精感が込み上げてくる。
いつもより早いのは、何よりも視覚からの刺激がでかいからだろう。
「…っ!…み、やぎ、も、でそう…っ!…ね、おれのせーし、飲んでくれる…?」
何故かどうしてもそうしてほしくなりお願いすると、目元を綻ばせこくりと頷いた。
「みやぎ…!出る…っ!…く……っ!!」
自分でも驚くほど早く、あっという間に宮城の口の中に精を吐き出していた。
量が多かったのか、口に入りきらなかった精子がどろりと宮城の口の端からこぼれ落ちる。
口の中の精子をこくりと飲み込んだのを確認してから、口から溢れたそれを指で拭い口元に持っていくと、ちゅうちゅうと指を吸う宮城。
俺のもので汚された宮城は、項を噛むのとはまた別の形でマーキングをされたかのようで、可哀想で、とても可愛かった。
「はー…っ、みやぎ、気持ちよかったよ…。今度は俺がたくさん善くしてあげるね…?」
今度は俺から宮城の全身にキスを送ると、いちいちビクビクと反応を示すから堪らない。
左手で全身を撫でながら、右手をそっと後孔に持っていくとそこは既にドロドロになっていた。
「ねぇみやぎ、ここ、おれの舐めただけでこんなになっちゃったの?すっげーやらしーね…」
耳元で吐息混じりに囁くと、それだけで感じるのかびくりと震え、更に愛液が溢れ出てくる。
「ぁ、あ…っぅん、ろーきの、なめてると、このまええっちしたの、おもいだしちゃって…きもちょく、なっちゃったぁ…」
前の時も思ったが、発情期に入った宮城は快感に素直すぎて俺のちんこに良くない。いやある意味良いのかもしれないが。
興奮のあまりそんな下らないことを考えながら、とろとろと愛液を垂らし続けるそこにゆっくりと指を挿れる。
宮城のそこは久しぶりにも関わらず、喜んで俺を受け入れるように柔く、しかしきゅうきゅうと指を締め付けてきた。これは、少し馴らしたらすぐ入りそうだな…。
宮城の匂いに当てられ、俺も徐々に思考に霞みが掛かっていくのが分かる。今回は抑制剤を飲んでいないので、今の内に早く馴らしておかなければ。
「ぅあっぁー…ッ!ひ、あ、あっろーき、そこ、きもちぃっぁ、も、イく、…っ!!」
くちゅくちゅと卑猥な音を立てながら宮城のそこを解していくと、指だけで何度か絶頂に達しているようで前からはとろとろと勢いのない精液を吐き出している。
「みやぎ、俺の挿れる前にイってるの?おれ、さみしーなぁ…」
「あぁごめ、なさ、ぁあっ!も、ゅび、やめ……っ!また、イっちゃぅ、から……ぁあっ!!」
口とは裏腹に宮城のイイところに指をぐりっと押し込むと、また身体を跳ねさせて絶頂を迎えたようだった。
「あーあ、みやぎ、またイっちゃったの…?ふふ、ほんと敏感で、かわいいね…」
指での愛撫に素直に反応を示す宮城が可愛くてつい意地悪をしてしまったが、満足したのでゆっくりと指を引き抜く。
宮城の顔を覗き込むと、何度かイったせいか、既に少しぐったりとしていた。
そんな宮城の頬にキスを一つ落とした後、ベッドサイドのゴムを手に取りペリ、と封を切る。
すると落としていた目蓋をふっと上げ、期待を滲ませた瞳をこちらに向けてきた。
「ぁ、ろーき、」
「…はー…っ……みやぎ、挿れるね?」
手早くゴムを装着し、宮城の入り口に宛がう。
かなり限界が近かったので、誘うように収縮を繰り返すそこに返事を待たず一気に挿入した。
「……っッ!!ぁあああ゙あ゙っ!!!」
急な挿入に見開いた目からポロポロ涙を溢しながら、ビクビクと痙攣し続ける宮城。ナカは俺を搾り取るようにうねり、明らかにイってるいるのだが、下を見遣るも前からは何も出ていない。
これ、ドライでイくってやつじゃないか…?
えっろ…。
「ぁ!ろーき、そこ、ゃら、ぉく、とんとん、きもちょすぎるからぁ!」
「んー…?きもちいならいーじゃん…?ね、ここはいったらどーなるかな…っ?」
そう言いながらおそらく子宮の入り口であろう奥の行き止まりをグリグリと刺激すると、たまらないとでも言いたげに弓なりに上半身を仰け反らせる。
「んんんぅ!あー…っだめ、そこぉ、だめぇ…っ!……ァ……ッ…!!!」
宮城の制止も聞かず、そこをこじ開けるように何度も突くと、ぐぽんと音がし先端が入り口に捩じ込まれた。もう声も出せない程の衝撃だったのか、一際大きく身体を跳ねさせた後、口からは涎を垂らし、目を白黒させるばかりの宮城。
ここが、宮城の子宮。赤ちゃんが育つ場所…。
そう思うとなんだか感慨深く、今にも意識を失いそうな宮城をぎゅうっと抱き締め、耳元で囁いた。
「……いつか、俺の赤ちゃん産んでね?」
そこからの俺は、まるで獣に取り憑かれたかのように宮城を貪り続けた。


「…ねぇ、ろーき、おまえ、えっちしてるときさ、あかちゃんうんでねっていってたじゃん?…あれってぷろぽーず?」
怒涛の数日間を経て、ようやく落ち着いてきた頃。
相変わらず俺の服に埋もれながらそう尋ねる宮城に、ぴたりと動きを止めてしまった。
あの時は意識が飛んでたと思ったけど、聞こえてたんだ。
…ぷろぽーず。
勢いに任せて言ってしまったが、確かにプロポーズと取られてもおかしくないだろう。ゆくゆくはそのつもりであることは間違いないのだが、いやでもセックス中にプロポーズなんて…
「…あれは無し。いや、無しじゃないんだけど…プロポーズはもっとこう、雰囲気のある所でしようかと…」
ぐるぐると纏まらない思考のまま言葉を発したものだから、我ながら何を言いたいのかよく分からない。
そんな俺の心情を知ってか知らずか、宮城はのんびりと言葉を返した。
「ふふ、いーじゃん。べつにふんいきなんていらないし。むしろおまえのへやでふたりっきりのときのプロポーズなんて、さいこーじゃない?おれは、こういうののほうがいいなぁ。」
宮城のゆったりとした低く落ち着く声に、煩雑な思考の波がすーっと引いていくのが分かる。
宮城は、ずるい。同い年のくせに、いつだって俺を包み込んで、ゆるしてくれる。
「…じゃあ、あらためて。
……大弥。俺はこれからの人生、大弥とずっと一緒にいたい。俺と大弥と、2人の子供も一緒に。
将来は多分、メジャーに行く事になると思う。その間は寂しい思いをさせちゃうと思うけど、それを上回るくらい、絶対幸せにするから。………俺と、結婚してください。」
ベッドの上で正座をしながら背筋を伸ばし、一世一代の言葉を告げる。
ぐちゃぐちゃなベッドの上、俺はパンツ一丁、宮城は俺の服にくるまっているも全裸と、思っていたのと全然違うシチュエーションだし、予定よりかなり早いが、言うなら今だと思ったのだ。
こんな締まらない状況でのプロポーズにも関わらず、宮城も真剣に見つめ返してくれる。
端から見たらさぞかし滑稽だろうが、俺達は大真面目だった。
宮城の口が、ゆっくりと開く。
「…ありがとう。でも、俺は朗希に幸せにしてもらうんじゃなくて、一緒に幸せになりたい。もちろん、俺達の子供も一緒に。
アメリカ行っちゃうのは正直寂しいけど、朗希には夢を叶えてほしいから………ずっと、待ってる。戻ってきたら、それからは、ずーっと一緒に、幸せに暮らそうね…?」
そう言ってにっこりと微笑んだ後、おれの首に腕を回しぎゅうと抱き着く宮城。
「あ、そうだ。おかえり、ろーたん。遅くなってごめんね?」
ゆっくりとその背に腕を回しながら思う。
「…ただいま、ひろや。」
…ほんと、大弥には一生敵わない。
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