野球

□願わくば。
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部屋へ入るなり恋人のベッドに押し倒された。そりゃそうだろうな、とどこか冷静な自分がいる。
球場で会うだけの日が続き、ローテーションやら調整やらの関係で、2人きりになるのはおよそ1ヶ月ぶり。
朗希は俺への興奮を隠すことなく、目をギラつかせてキスをする。

「んむ、ふっ、ぁ」
「ん、みやぎ……」
甘えた声で強請るように名前を呼ばれる。俺がこういう声に弱いと知っているから。わずかに口を開けば、その隙間から舌を差し込まれる。
「んぅっ、ふ……」
「みやぎ、みやぎ……」
熱の籠った声で何度も名前を呼びながら、シャツの裾から大きなてのひらが潜りこんできた。指先がやわやわと胸元を刺激すると、腰が浮いて俺の口からは意味のない声しか出てこなくなる。
「ぅ、あ、ろー、きっ、やっ!」
「気持ちいい?」
「ひゃ、なめ、ちゃ、や…!」
あっという間に服を脱がされ、朗希の舌が乳首の回りをゆっくりと這う。ぞくぞくと背筋が震えて、下半身が昂っていくのが分かる。隠そうと膝をもじもじと擦りあわせたが逆効果で、朗希の手が服の上から勃起したモノを撫でる。
「やだ、ろーきっ!」
「さわりたい…ね、いい?」
「ぅぅ、も、がっつきすぎ、だって」
「しょーがねーだろ、久しぶりなんだから」
そう言いながら朗希は下着ごと俺のズボンを脱がしてしまった。勃ち上がったちんこの先が濡れていて、俺も相当期待してしまっているのを実感せざるを得なかった。にやりと笑った朗希は、長い指を俺のモノに絡めた。
「ぅああっ!」
「宮城も、シたかった?」
「ひ、しらな、ぁああっ!」
「俺はね、ずっと宮城に触りたくてしょうがなかったよ」
明け透けな朗希の願望に、俺は思わず戸惑ってしまう。久しぶりにも関わらず、朗希の指先は的確に俺の善いトコロばかりを攻める。
「ひ、ぃっ…も、ろぉき、ん、あぁっ!」
「気持ちい?」
「ん、そこ、ばっか、ぅあ、イイっ…!」
素直に快感を口にすれば、より気持ちよくなれる気がする。すぐそこまで絶頂が来ているのがはっきりと分かるのに、朗希は緩やかな快感しか与えてくれない。
ひいひい鳴く俺を見下ろす表情に、余裕はなさそうだった。
「っはぁ、宮城…」
「ん、なん、か…やけにデカくね?」
すっかり勃ち上がった朗希のモノは、記憶にあるモノより大きくなっている気がして、思わずごくりと息を飲む。体格に見合ったサイズのソレは、腹に着く勢いでそそり立っている。
「あんまヌイてなかったからかも」
「だからって、そんな…いや、たまにはヌケば?」
「なんか、もったいなくて」
「いや…そんなデカいの俺、相手出来ないよ?」
思わず腰が引けてしまったのを、朗希にぐい、と引き寄せられた。そして太腿をぐっとくっつけた間に、いつの間に取り出したローションを塗りたくられる。
「何する気…いや分かった言わなくていい」
「察しがいいね」
ぬるぬるに濡れた太腿の間に、凶器のようなモノが差し込まれる。ぬちゃ、と厭らしい音を立てて抜き差しされる熱いモノに、思わず身震いする。
「、っは、ぅ、んっ」
「これ、イイの……?」
「ん、いーよ、宮城は?」
「よく、わかんない……っ、」
時折俺の裏筋をすす、と刺激される。朗希は、は、と短く息を漏らしながら俺の股の間にちんこを差し込ませ続ける。
あまり見た事のない色気の滲んだ表情に、俺は戸惑うしかない。せめて朗希に気持ちよくなって欲しいと、内腿にぎゅっと力を込めた。
「っく、じょーず…」
「ん…きもちい、の…?」
「うん……だってほら、セックスしてるみたいじゃん?」
朗希の言葉に、どきりと胸が震える。
性的な接触は抜きあいに留まる俺たちは、まだ繋がったことがない。俺の負担を考えて、オフシーズンまで待とうと決めた。
朗希がこんなふうに、行為を連想させる言葉を口にしたのは初めてだ。誰にも触られたことのない、自分で触ったこともないのに、繋がるソコが疼くのを感じた。
「ろうき、えっちしたい…?」
「うん。宮城、は?」
「不安なことは、ある。けど、朗希と、したい…ぅ、わっ!や、なに、やぁっ!」
「卑怯だ、そんなん言われたら、止まれなくなる、だろっ!」
「っ、ちょ…!ろぉきっ!」
俺の腰をがっしりと掴んで、抜き差しする速度を上げる。ぬちゃ、くちゃ、とローションが立てる水音が部屋に響く。朗希に言われたから、余計に意識してしまう。こんなの、ほとんどセックスじゃないか。
「ぅ、うあ、ろーき俺、で、そうっ」
「ん、俺も、」
「ひ、ぁ!だめ、そんなにしちゃ、」
「いっしょに、ね。みやぎ」
「ぅ、で、るぅ…ろうき、も、出るっ…!」
「ん、っく……!」
朗希が短く呻いて、俺のちんこ目がけて精液をぶち撒ける。俺も達して、自分の腹を汚した。2人ぶんの精液で汚れた俺を、はあはあと息を切らして朗希が見下ろす。
ベッドサイドのティッシュを箱ごと引き寄せて、取り出した数枚で俺の身体を拭っていく。
「シャワー浴びる?」
「うん……待ってちょっと動けない……」
「いいよゆっくりで」
「朗希」
「ん?」
「……そんなデカいの俺、入れられないから何とかしといて」
「大丈夫、ちゃんと宮城のココ、ガバガバにしてあげるから」
「人をビッチみたいに言うなっ」
さっきまでの甘い空気はすっかり無くなって、軽口のやりとりを交わす。
オフの約束が俺たちを繋ぐ鎖だ。改めてそう認識して、下腹が甘くきゅんと疼いたのは、今日が初めてだった。擬似セックスみたいな触れ合いが、俺の中のなにかを目覚めさせてしまったのだろう。
朗希に気付かれたら厄介なことになりそうだ。
力の入らない身体をゆっくりと起こしながら、小さな秘密を抱えてしまったと思わずため息を漏らした。
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