ハニ受け4
□親友
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1時間後。
あの後適当に身体を拭かれたジョンハンは、あれよあれよと再びジスのベッドの上に寝かされ、喘がされていた。
「あぁ、あぁっ!ぁ〜〜!」
「かわいい……何回イくの?」
顔に似合わずしっかりと筋肉のついた身体で、ジスはジョンハンの腹を音を立てて突きまくった。既に数え切れないほど絶頂を迎えたジョンハンは、涙と唾液で顔中をベタベタにし、身体も様々な体液でぐちゃぐちゃの状態だった。そしてそんなお世辞にも綺麗とは言えないジョンハンを見て、ジスはうっとりと『かわいい』と言って目を細めるのだ。
「い、いっちゃ……ッ!」
「どうぞ」
「〜〜ッあ!ぁ、ぁあ、ひっ、とま、とまっで……!ぁあ、しんじゃ、ぅ!」
終わらない絶頂に恐怖するジョンハンは必死に目の前の男に縋るが、男は全く聞く耳を持たず容赦なく腰を動かし続けるばかりだ。
涙でぼやける視界で、必死にジスの姿を目に収めようとするジョンハンは叫んだ。
「ひっ、ぃ、じ、すぅ!たすけっ、ふ、ぅ…しぬ……ッ!」
「そんな簡単に死なないってば。お前それ毎回言ってるけど死んでないでしょ?」
「やだぁ!!も…っ、イけ、なぃい!」
「イってるじゃん」
頭をシーツに擦りつけて必死に訴えるジョンハンの声も、ジスは一言で一蹴してしまう。
どうしたら止まってくれるのか。
思考を巡らそうとするが、そうするよりも前に快楽に全て飲み込まれて頭が真っ白になる。ジョンハンは絶望していた。
「だいたい、こうなるって分かっててなんで学習しないの?馬鹿すぎでしょ。……それとも、乱暴に犯されたくてわざと他の奴と仲良くしようとしてるの?」
「ッ、ちがっ!」
「ねえジョンハナ。チョン・ウォヌがそんなに気に入った?あいつに抱かれたかったんでしょ。わざわざ僕がいない隙を狙って……ほんと悪い子だね」
またあの冷たい瞳で見つめられたジョンハンは、涙を流しながらもジスの言葉を聞いて必死に首を振った。
もちろん、そんなことをしても何か意味があるわけではなく、ジスの機嫌は変わらなかった。
「好みの男見つける度に引っかけようとしてさ……。数ヶ月前は中国からの留学生……ジュンって言ったっけ?知らないうちに連絡先交換してるから焦ったよ」
「ひ、ぅう、ぁあ!」
「中学の時はミンギュって奴もいたよね。あいつはしつこかったな……。まさか卒業してからも連絡取ってないよね?」
「ッ、とって、なぃ……!」
そんなこと聞かなくてもわかるだろ。
定期的にスマホをチェックしてくるくせに、今更何言ってんだ。
ジョンハンは心の中でそうこぼした。
「ウォヌとは連絡先交換した?」
「ぁッ、う、ぅ。し、た……っ」
「そう。後で消しておかないとだね」
真顔で呟いたジスが、腰の動きを速めた。
ジョンハンは許容量を超えた快感に目を見開いて、ひたすら叫んだ。
「ぁあッ!や、ぁ、ああ!」
「……はぁっ。僕もイきそ……」
「ぅあぁ!やぁ、あ!じ、すぅ……ッ!」
「ん、ジョンハナ……。出る……っ」
ジスが再びジョンハンの中に種を残す。既にジスも6回目の射精だった。
「は、ぁ、あ、ん」
「やば、もう溢れてきちゃうな……」
「んんぅ!ふ、ぁ」
性器を抜いた瞬間、ジョンハンの後孔からどろっと白いものが溢れ出した。6回分の精液を腹に溜めているのだから当然だ。
息を整えながら、苦しそうにジョンハンは口を開いた。
「も、はいんない……っ」
「そうだね。……僕ももう出ないかも」
さすがに疲労を滲ませて呟くジスに、ジョンハンは一筋の希望の光が見えた気がした。
もう終われるかもしれない。早く終わりたい。早くいつもの優しい親友のジスに戻って、いつも通り笑い合って眠りたい。早く、……早く。
心の中で気持ちをはやらせたジョンハンは、ジスの次の言葉を待った。もう終わろうって言ってくれ、そう願って。
「よし、お腹の中のやつ出していいよ」
「……へ?」
「苦しいでしょ?いいよ、出しな。見ててあげるから、自分の指でかき出して」
「ぇ?や、お風呂で……」
唖然とするジョンハンの呟きに、ジスは「ここでやって」と無慈悲にも答えた。
どこまでも羞恥を与えようとしてくる親友に、目眩がしてくる。
ここで逆らってもいいことなんてない。
それを理解しているジョンハンは、重い体をなんとか動かして自身の後孔へと指を持っていく。ジスの視線を感じ、屈辱と羞恥に襲われながらも中の液体をかき出そうとした。
「ふ、ぅ。ぁ、ん」
「……………………」
「っ?や、なに!なんで撮るの……!?」
じっと見つめていたジスが突然自分のスマホを持ち上げ、カメラを起動させた。嫌がるジョンハンだったが、ジスは有無を言わさない瞳で言った。
「早く出して」
「っ……でも」
「いいから。これは僕しか見ないよ。……まぁ、お前が今後他の奴に手を出そうとしたら別だけど」
物騒なことを言い出すジスに、ジョンハンは涙目で鼻を啜りながらも精液をかき出す作業を再開させた。無機質なカメラを向けられている事実に自然とどんどん涙が溢れ出してくる。
あまりにも自分が惨めで、滑稽だと思った。
「…………はぁ」
「っ!」
しばらくジョンハンをじっと見つめていたジスだったが、彼は突然ため息をついてカメラを切り、ジョンハンのすぐ傍へと近寄った。驚いたジョンハンは涙目のままジスを見上げ、何をされるのかと怯えた表情を浮かべている。
ジスはそんなジョンハンの髪に優しく触れ、弱々しい声で話し始めた。
「……お前、ほんとエロい。ムカつく」
「え……?」
「そんなエロいとこ、他の奴に見せるの?そんなに他の奴に抱かれたいの?なんで、他の男のとこに行こうとするの」
ジョンハンの髪を撫でながらジスは続けた。
「僕にとってはお前が世界で一番かわいいのに。お前以外のやつなんて、どうでもいいのに」
「ジス……?」
「……なんでお前は、僕だけじゃダメなの」
苦しそうに呟くジスに、ジョンハンは胸の奥がきゅっと詰まるような心地がした。
だって、なんだか。親友のそんな顔は、見たくない。
__あれ。
親友って、なんだっけ。
いつから俺は、親友にちんこ突っ込まれてイかされるようになったんだっけ。
いつから俺は、親友の異常な執着に気付いたんだっけ。
それを受け入れるようになったのは、いつだったっけ。
……でもそんなの、どうでもいいか。
だって今更、ジスを突き放すことなんてできない。
ずっと、受け入れるしかなかったじゃないか。
気が付けばジョンハンはジスに抱きついていた。
「ジョンハナ……?」
「ジスヤ…………お前だけだよ。俺も、お前だけ」
「……ほんと?」
汗でベタベタな肌同士がくっついて気持ち悪かったが、ジョンハンはジスを更に強く抱きしめた。不安げにジョンハンの肩に顎を乗せたジスも、ジョンハンを抱きしめ返す。
全身が痛くて重いし、これ以上ないくらいしんどいけれど。彼を、抱きしめなければいけない気がした。
だって俺は、ジスの "親友" だから。
自身に言い聞かせるようにジョンハンはそう唱えた。
「……明日は、どうするの?ウォヌとデートに行く?……それとも、僕と一緒にいる?」
顔をあげ、確かめるようにジスは問いかけた。
ジョンハンは一度ウォヌの顔を思い浮かべた。一瞬、胸が痛んで泣きそうになる。だが、なんとか堪えたジョンハンはやがてジスの目を見つめて言った。
「俺は、ずっとジスと一緒にいるよ」
「……そう。じゃあ連絡先消す前に、ウォヌには断りの連絡入れとくよ」
「……うん、いいよ」
頷いたジョンハンに、ジスは嬉しそうに笑った。そこにあるのは、もういつも通りのジスの姿だ。
安心して、ゆっくりとジスから離れたジョンハンは体力の限界からベッドに倒れ込む。もう身体がしんどくて仕方なかった。
満足そうに微笑んだジスが、労るようにジョンハンの頭を撫でて囁いた。
「後処理はしておくから、もう寝てていいよ」
「……うん」
段々と狭くなるジョンハンの視界で、ジスが笑う。
「……ジョンハナ。お前はこれから先ずっと、僕だけ知っていればいいんだよ」
「……ジスもね」
「もちろん。
……だって僕はお前の、" 親友 "だからね」
ジスは低い声で呟く。
その言葉を最後に、ジョンハンは意識を手放すのだった。