skmくん受け10

□オオカミくんに気をつけて
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 さて、話は冒頭に戻る。
 狼化した蓮は、甘えん坊になる。付き合い始めてからそれはより顕著になった。今だって蓮は、帰ってくるなり、モコちゃんを別室に運び、俺をソファに押し倒し、ぎゅうぎゅう抱きしめて、俺の目元や頬っぺたや唇のあたりをぺろぺろぴちゃぴちゃと舐めてくる。俺はといえば、されるがままだ。
「さくまくん、うれしい」
 散々俺の唇を舐めたあと、蓮はきらきらした瞳でじいっと見つめながら、囁いてくる。
「もう、二週間もふたりっきりになれなくて、ほんとにつらかった……」
「うん、俺もだよ。会えてよかった」
 頭をよしよしと撫でてやると、ふふ、と蓮は笑う。そして、やわらかい声で言う。
「……たべたい……」
「……なにを?」
「さくまくん」
 そう言うなり、蓮は俺が履いていたワイドパンツを下着ごとずるっとずり下げた。そして、むき出しになった俺の脚を持ち上げ、ガブ、と尻たぶに歯を立てる。
「うおあ!」
 甘噛みではあるものの、つい大声をあげてしまう。そりゃケツ咬まれたら大声も出るって。しかし蓮は意に介することなく、歯を立てては、その部分をまたぺろぺろ舐める、ということを繰り返す。甘噛みされる痛みと、熱い舌で舐められる濡れた感触が交互に襲ってきて、なんともいえない気持ちになってくる。
 付き合い始めてから、蓮が狼化するきっかけはひとつではないということを教えてもらった。一つ目は疲労が溜まっていること。二つ目はリラックスしていること。これは付き合う前からなんとなくわかっていた。問題の三つ目。それは、ムラムラすると狼化しやすい、ということだ。
 今日は多分、ムラムラして狼化しちゃったんだろうなあ、というのは、このように俺の下半身を夢中で咬んだり舐めたりしている蓮を見れば、すぐわかる。
「さくまくん……ふぅっ……は、」
 蓮は俺の脚をがば、と開かせて、今度はちんこの上の陰毛が生えてるところや、ちんこの下の玉袋らへんのところに、鼻を突っ込んでふぅふぅ荒い呼吸をしたり、ぴちゃぴちゃと舌を伸ばしてきたりする。さすがに、かぁ、と顔が赤くなった。狼化すると、蓮は俺の体のとんでもないところを嗅ぎたがる。たぶんこれも、狼の習性によるものなんだろう。どんなにやめてって頼んでも、曇りのない瞳で「やだ、さくまくんの全部を味わいたい」と言って絶対譲ってくれない。だから俺は、恥ずかしさのあまり真っ赤になりながら、体のあちこちを嗅いだり舐めたりされるのに耐えるしかないのだ。
 それにしても、蓮の家に来る前に、自分の家でシャワー浴びといてよかった。さらにいえば、念のためお尻の中も洗浄しておいてほんとによかった。こいつ、サカったら、こっちがシャワー浴びてるかどうかとか関係なく顔突っ込んでくるからな……
「ぅ……」
 下半身をこんなにもいじくりたおされて、反応しないわけがない。いつの間にか、俺のちんこはぴん、と立ち上がって、先走りをこぼしはじめてる。蓮はそれを目ざとく見つけて、躊躇なくぱくんと口に入れた。そして、舌や手を使って、ぐちゅぐちゅと刺激する。
「しゃくまくん、きもひぃ?」
 口にちんこをくわえたまま、蓮が上目遣いでそう聴いてくる。とんでもない絵面だ。
「う、うん、きもちい……」
 恥ずかしさに耐えながらそう答えると、蓮は嬉しそうに目を細めた。そのまま、口をすぼめて、じゅるるる、とちんこ全体を吸われる。その強すぎる刺激に、俺は吐精した。
 吐き出させる用のティッシュを取る間もなく、蓮はそれをごくん、と飲み下す。俺は慌てた。
「飲んだの?吐けっていつも言ってるのに」
「ふふ、のんじゃった」
 蓮は、精液を飲んだ直後とは思えないような、さわやかな笑顔を俺に見せた。そして、着ていた服を脱ぎはじめる。ニットを脱ぎ捨てると、鍛え上げられた上半身が現れて、つい鼓動が速くなった。それなりに鍛えてるという意味では、俺も負けてはいないはずだけど、やっぱり恋人の体にはどうしてもドキドキしてしまう。蓮は続けて、スキニージーンズとボクサーパンツも脱いだ。今まで服に隠れていた、ふさふさの灰色の尻尾が飛び出す。
「さくまくんも、全部脱いで」
「……うん」
 頷いて、シャツに手をかける。中途半端に脱がされていた服を、全て脱ぎ去ると、蓮の尻尾がぶんぶんと揺れているのが見えて、ちょっと笑ってしまう。
「さくまくん、ぎゅってさせて」
「いいよ」
 ソファの上で、蓮は素っ裸になった俺を、ぎゅう、と抱きしめた。何も着けていない肌が触れ合って、あったかくて気持ちいい。ぽかぽかする。
 しばらくして、蓮は体を離して、俺と目を合わせて、またニコ、と笑った。ゴキゲンだなぁ。
「うしろ、ほぐすね」
 いつの間に持ってきたのか、蓮はいつも使っているジェルを手のひらに絞り出した。両の手のひらを重ね合わせてあたためた後、さっきのニコニコ顔とは打って変わって真剣な表情で、俺の後ろに指を伸ばす。
 付き合い始めた当初、俺たちはふたりとも男同士のセックスの経験がなくて、試行錯誤しながら体を繋げることになった。一度、蓮のちんこがデカすぎて、俺の尻の穴が切れてしまったこともあった。血が出ているのを見つけて、ショックを受けた蓮の表情を、いまだにはっきりと覚えている。「ごめんね、さくまくん、ごめん」と繰り返し謝る蓮の耳と尻尾は、しょんぼりと垂れていた。ケガしたのは俺なのに、なんだか蓮の方が可哀想な気がしてしまった。それ以来、蓮はセックスする前は、必ず自分の手で、しっかり俺の後ろをほぐすのだ。(事前にシャワーでほぐしてあるから、もういれてもいいよ、と言っても、絶対にそうしない。)
 ぬる、と蓮の太い指が、内側に入ってくる。早い段階で前立腺の部分を探り当てられて、思わず息を漏らした。セックスを重ねるうちに、男の尻の中、手前の方には前立腺っていう部分があって、そこを触ってもらうとめちゃくちゃ気持ちいいんだって知った。正直、かなり癖になってる。最近、ひとりでちんこをしごくだけじゃ、なかなかいけなくなってしまったぐらいだ。その部分をコリコリと蓮の太い指でいじめられると、ものすごい快感が襲ってきて、頭がぼうっとしてくる。
「ぅ……ぁあ、あうっ、」
 だらしない声が口から勝手にこぼれて、泣きそうになる。蓮は、いつの間にか入れる指を二本に増やして、その部分を軽くたたいたり、挟んでこねたり、かりかり引っかいたりしてくる。背筋がびくびくと波打つような感覚。
「……さくまくん、かわいい」
 顔を真っ赤にして、ふぅふぅ息をしてたら、蓮がそう呟いて、覆いかぶさって顔を近付けてきた。ぺろぺろとまた口の周りを舐められたので、俺もべえっと舌を出して絡ませた。蓮と舌をにゅるにゅる絡ませてキスするのは、きもちいい。なんだか、世界にふたりだけしかいない、ような気がしてくる。
 一方、キスしている間も、蓮の指は絶え間なく俺の前立腺をいじくっている。お尻がぶる、と震えた。このままじゃ、またいってしまいそうだ。
「れ、ん……もういれて、おねがい」
 唇を離し、蓮の目を見つめて、うわずった声でそう懇願する。蓮の喉が、ごくんと唾を飲み込んで上下するのが見えた。
 蓮は指をずるっと抜いて、サイドテーブルの引き出しの中のスキンを取った。それを手早く装着して、俺のうしろに、ばっきばきに硬くなった、凶器みたいなちんこを押し付ける。改めて、やっぱり規格外にでけぇ。
 ふぅ、はぁ、と、ふたりぶんの荒い吐息が部屋のなかに響く。蓮が、熱に浮かされたような目で、こちらをじぃっと見下ろす。そのまま、ずぷん、と蓮のちんこが俺の中に挿入される。
「ふ、ぁああぁっ、や、ぁっ、」
 俺の尻の中を、蓮のちんこが突き進んでいく。でかいので、当然全部は入らない。一度、奥の方までぐぷぷ、と入った後、蓮は腰を引いた。そして、手前の前立腺の方を、こちゅ、こちゅ、と擦り始める。
「ぁ、あぁ、んぅ、う……」
 蓮のふとい亀頭が、前立腺の部分にぎゅうっと押し付けられてるんだと思うと、お腹の奥がきゅぅんと切なくなってくる。俺は両手を伸ばして、蓮の首の後ろに回した。蓮に抱っこされるような体勢で、そのまま動きに身を任せる。
「あうっ……れん、おれ、いく……」
 きもちよすぎて、もう耐えらんない。そう呟いたら、蓮がさらに腰の動きを速くした。それにつられて、あっという間にいってしまう。俺のちんこが震えて、ぴゅっ、ぴゅっと、蓮の割れた腹筋めがけて精液をこぼした。
「さくまくん……」
 蓮はまた嬉しそうな顔をして、ちんこをいったん抜いて、俺の頭をわしゃっと撫でる。その顔を見たら、なんでもさせてあげたいという気持ちになって、俺はぐるんと後ろを向き、うつぶせになった。
「れ、蓮、おまえのそれ、ぜんぶ……いれていいぞ」
「え、でも」
「いいから。明日、休みだし。なんとでもなる」
「さくまくん……」
 蓮が、甘ったるい声で俺の名前を呼ぶ。そのすぐ後に、ずぶ、と蓮のちんこがまた俺の中にはいってきた。そのまま、今度は深い奥のほうへと進んでいく。
「んっ…ぅ……うぅ、」
 声が漏れる。まだ全部は入ってない。蓮が、俺の腰を後ろから掴んで、とん、とん、と奥の行き止まりの部分をちんこでノックする。前立腺をされるのも好きだけど、奥を突かれるのも、実は結構好きだ。蓮のちんこ全体を、俺の尻でしごいてやってる感じがあって、なんかいい。
 でも、蓮が入ろうとしているのは、さらにもっと奥の方。そこに行きたくて、蓮は辛抱強く、ぐ、ぐ、と奥を押し続ける。これも、セックスを重ねるうちに、知ったことだ。男の体の奥には結腸って部分があって、そこを使えば蓮のちんこは全部入るし、俺も我を忘れるほど気持ちよくなれる。
徐々に、ゆっくりと、体の奥をこじあけられていく感覚に、思わず息を詰める。
 ノックを続けているうちに、ふいに、ぐぽん、という毛色の違う音が、お腹の奥から聞こえた。あぁ、奥にいったんだ、蓮のちんこが全部はいったんだ、って理解する。その瞬間、これまでとは比べ物にならない快感が、下半身を襲う。
「う、ぅあ、あぁあああっ」
 さっきとは違う声が喉の奥から勝手に出る。体の奥まで串刺しにされるような、体の奥から内臓を引きずり出されるような、そんな桁違いの感覚。蓮も、苦しそうに息を漏らしながら、奥にカリの部分をハメたまま、腰を揺さぶる。ぐぽっ、ぐぽっ、という音が聞こえてきて、きもちいいんだか、くるしいんだか、いたいんだかもうよくわからなくなってくる。
「あ、う、うううう、くぅっ」
「さくまくん、すき……」
 ちんこで俺の奥をどつきながら、蓮はそう耳元で囁いてくる。そのすぐ後、うなじのあたりにずき、と痛みが走るのを感じた。たぶん、蓮が咬みついてるんだと思う。セックス中、感極まると、蓮はこうして俺の項を咬むのだ。そして、咬んだ部分をまた労わるようにぺろぺろと舐める。
「さくまくんも、おれのこと、すきって言って」
「す、すきぃ、れん、すきぃ……う、うあああっ」
「おれも、すき……」
 うっとりとした声。やがて蓮の動きが止まり、どくん、と震えて、ああ、蓮が射精したんだ、とわかった。それに呼応するように、じょわぁ、と股のあたりがあったかくなるような感覚があった。
「……あ、さくまくん、おもらししちゃったね」
 蓮が、やわらかい声でそう言った。たしかに俺のちんこからふとももにかけての部分が、びっしょりと濡れている。これ、俺がやっちゃったのか……。
 幸いなのは、さっき脱いだ服が、その下敷きになってくれたことだ。
「……ふふ、ぼーっとしちゃってる?」
 蓮はちんこを抜き、俺の体をぐるんと仰向けにひっくり返して、俺の火照った顔のあちこちに、ちゅ、ちゅ、と口づけた。俺は、ぼんやりと蓮の満足そうな顔を見上げた。
「ハメられて、うれションしちゃったのかな。さくまくん、犬みたい」
 そう言って、蓮は俺の体をひょいっと抱き上げた。お姫様抱っこってやつだ。
「俺がお風呂で洗ってあげるからね」
「……ん」
 灰色の尻尾が、ふりふりと揺れる。蓮は、俺をお風呂で洗えるのが嬉しいらしい。蓮が嬉しいならいいか、といまいちよく回らない頭で考えた俺は、おとなしく蓮の腕に身を預けた。

 お風呂で体を洗って、ソファの上の濡れた服を洗濯機に放り込んで、ようやく俺たちは食卓で向かい合ってビーフシチューにありついていた。
 別室で待ってもらっていたモコちゃんにも、出てきてもらった。幸せそうに蓮の足元に座り込んでいる。
 蓮は、俺があらかじめ作っておいたシチューに、目を輝かせていた。「すごいじゃん!」と言われ、まぁ別にそこまですごくはないけど、「俺は先輩だからな」と胸を張って偉そうにしておいた。シチューは結構おいしくて、俺も蓮も二杯目をおかわりした。
「あ、蓮、耳また出てる」
 お風呂から出た段階では消えていた灰色の耳が、シチューを食べているうちに、また現れていた。蓮も、あ、と今気付いた顔をする。
「え、あ、ほんとだ」
「おいおい……お前、そんな自分でも気付かないうちに耳出して、大丈夫なの?ドラマの現場とかさ……」
 心配になってそう言うと、蓮は少しむくれた表情になった。
「大丈夫だよ。俺、ドラマの現場で、こんなにくつろがないし」
「そうなの?」
「うん。俺がこうなるのは、さくまくんとふたりきりの時だけ」
「……お前、めっちゃ可愛いな……!」
 思わず席を立ち、ぎゅうっと蓮を抱きしめてしまう。俺に抱きしめられながら、「ほんとに可愛いのは、さくまくんだけどね」と蓮が言う。その言葉の意味はいまいちよくわからない。でも、灰色の耳を出して、こちらをやわらかく見つめる蓮を見ると俺は、この可愛い狼のためなら、どんなことでもやってやりたい、と強く思うのであった。
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