ハニ受け2
□夢幻輪廻
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「…ドギョマ」
返事をしたらダメだ。
「……ドギョマ、もう寝た?」
今日は絶対にこのまま眠る。
一切の光を遮断した真っ暗な部屋。
さっきまで馬鹿みたいに騒いで、他愛もない話をして、笑いの余韻の絶えないまま円満におやすみを言って、
いつも通りそれぞれのベッドに入った。
それから数分。
眠りに就こうという時に囁くような小声で僕を呼ぶ。
「ドギョマ、まだ起きてるだろ?」
黙って返事をせず寝たフリを通そうとする。
また暫くして、シーツの擦れる音、ギシッとベッドが軋む音
「ドギョマ」
今度はすぐ近くでジョンハニの声がする。
それでも返事をせずにいると、勝手に布団の中に潜り込んできて僕の腰に手を回す。
布越しに、背中に伝わってくる体温はやけに熱い。
もうとっくに起きてる事はバレてるだろうけど、めげずに空寝を続けると下腹部に手を伸ばされ、おもむろにそこを握られる。
「…ヒョン!」
「やっぱ起きてるじゃん」
片腕を回すようにして払い除けるとケラケラと笑って、背中に隠れながらひっついてくる。
「……ねぇ」
耳裏を舐められ、ゾクッとした感覚を振り切る。
「……シよ」
追い打ちをかけるように首元に口付けられ、振り払ったはずの右手は再び這うように僕をなぞる。
「…………シたい」
耳元にかけられる熱の篭った声。
こうなるともう、何度突き放そうが無駄だった。
服の上から上下に扱かれると不本意にも僕のそこは形を成し始める。
「……勃つの早い。ドギョミも溜まってた?」
当たり前だ。
ジョンハニの髪が長かった頃、何を血迷ったか一度告白して…………それなりに、こっ酷く振られたわけだけど。
その時からずっと一方的な思いがあった。
それなのに、思わせぶりに親しくしたり、いざって時はかわされて、いいように振り回されている。
そのジョンハニヒョンの"お気に入り"らしい僕は、他のメンバーよりも優先される事が多く、そこに優越した気持ちがないかと言ったら嘘になる。
何より一緒にいられるなら…
そう思って惚れた弱みで甘やかして来たけど、
ついに、自慰行為まで手伝わされる羽目になるとは。
「こっち向いて」
ため息を吐き振り返ると、そそくさと僕を取り出してまだ何の反応もしていないジョンハニをヒタリとくっつける。
それだけでもう僕にとっては目眩のする行為だった。
「気持ちよくしてあげるから」
ジョンハニは重ね合わせたお互いのそれを、手で包んで擦りあげる。
「…ドギョムも……手…」
言われた通り片手を差し出すとジョンハニは僕の手ごと包み込んで緩く擦った。
「ぁっ…はぁっ」
手の平の中で次第に大きさを変えていく。
こんなのは拷問と同じだ。
何が辛いってこのヒョン、シたいなんて言っておきながら一度も僕と体を繋ぐ事を許さない。
高めるだけ高めておいて、自分が満足したらそこで終わり。
言わば生殺し状態にされる。
「ドギョミも動いて」
さっさと終わらせれば耐える時間も少なくてすむ。
僕は何の前触れもなく、勃ち上がったお互いを性急に扱いた。
「ッふあぁっ」
驚いて逃げ腰になるジョンハニを抱き寄せて、その細い手の平ごと上下させると、胸元に顔を埋めて声を漏らす。
「あぁっ…ん…ぅ…」
男のくせに甘ったるいその声を聞けばうっかりその気になりそうになるけど、それはこの人の思う壺だ。
手の握る力を強めて裏側を擦り合わせると、本当に気持ちがいいのか腕の中でジョンハニが震え出す。
「……はぁっ、ぁっ…あっ」
人差し指で先端を撫でれば、空いた方の手でギュッと僕の袖を握りしめた。
「…ぁっ…!ぁっ…ドギョミ…んっ……きもちい…い……」
擦り寄られて、頬に髪が触れるたびいい匂いがして、こんな風に素直によがっているジョンハニを目の前にすると僕も妙な気分になってくる。
僕も男であって人並みに性欲はある。
思い人に腕の中で艶めかしい声を出されたら、手を出すなと言われる方が難しい。
「…んっ…はぁ…っ…ドギョマ、俺のこと…好き?」
毎回頻りに聞いてくる同じ言葉。
その質問は多分、僕に向けられたものじゃない。
だけど僕はジョンハニが満足する答えを知ってる。
「もちろん、好きだよ」
本当に残酷な人だ。
ここまでされて、少しくらい仕返ししたってバチは当たらないんじゃないか?
熱に浮かされて、冷静さを失った僕はジョンハニを引き離すと後ろを向かせて背後から抱きしめる。
「…ドギョミ?…どうした?」
答えの代わりにジョンハニの服をずらし、柔らかい双丘へと自身を押し付ける。
「……!!や…やだ………!!」
ジョンハニはビクッと体を跳ねさせると、途端に取り乱した。
僕はその体を押さえ込むと自身をジョンハニの入り口にあてがう。
「やだ、それは……ッ!ドギョム……」
ジョンハニの僕を呼ぶ声が、徐々に震えていった。
「どうして?シたいんでしょ?」
更にグッと力を入れて押し込もうとすれば、ジョンハニの全身が強張る。
「いやだ……やったら…許さない……っ!…お前の事、嫌いになるからな…!」
僕はピタリと動きを止める。
その言葉を聞くと、暗示のように僕の体は動かなくなる。
脅しになるとわかって、僕がジョンハニを好きだとわかっていてわざとそんな事を言ってくる。
「何でそんなに頑なに守るの?…あの人には相手にもされてないくせに」
「……ッ‼」
まさか僕からこんな事を言われると思わなかったのか、わかりやすくその体は固まる。
僕がもう一度自身を擦り付けると、ジョンハニは怯えた声で拒否を続けた。
そしてついには、肩を竦めて涙声で訴える。
「……やだ……ドギョムッ……」
本当に僕は、この人には弱い。
泣き声一つ聞いただけで絆されて、鬼になりきれない僕も僕だけど。
この人に移った僕の情は、どうやらどんでもなく深いらしい。
その頭をそっと撫でる。
だけどやり場のない僕の気持ちも、少しは発散させて。
僕は後ろからジョンハニの柔らかい太腿を割ると、そこに僕のを差し込んだ。
「ッ!?なに?何して…」
動揺するジョンハニ余所に、その両足を閉じると股座をなぞる様にゆっくりと動き始める。
「……これ、これやだ………んっ」
滑りのいいそこは思ったよりも感触が良くて、次第に動きを早めればジョンハニからはくぐもった声が漏れた。
「ゃっ……ぁっ…へんた…ぃ……ぅっ」
自分の事を棚に上げて随分なことを言う。
根元から入り口までを先端で繰り返し撫でていると、僕を拒否した入り口は、通る度にヒクヒクと息衝いた。
焦れったくなったのか、僕にバレないように自分を慰めようとする。
その手を払い除け、両手首を纏めて搦め捕る。
まるで本当に繋がってるかのように何度も出し入れを繰り返すと、その度にジョンハニはなんとも言えない声を上げた。
「んぁっ…ぅぅ……ドギョマ…さわってよ…」
「ヒョン、僕の気持ち少しはわかってくれた?」
「うん…わかった、わかったからぁ…っ」
少しも耳には届いてないだろうな。
僕が片手でジョンハニを握ると、待っていたとばかりに僕の手を勝手に使って自ら腰を動かし始めた。
同時に僕も擦られて、息を詰める。
「……はぁ、はぁ、あぁぁっ」
息遣いに合わせて扱いてやれば、喉を反らせてよがる。
焦らされていたそこは手の動きを早めただけですぐにでも弾けそうなほど張り詰めていた。
「ぁっ…あっ…ドギョマ……もうっ…」
後ろを擦り上げながら、ジョンハニから溢れ出た先走りを指でぐりぐりと先端へ押しつける。
ジョンハニはビクビクと震えて、耐えきれずに僕の手の中で果てた。
太腿にキツく挟み込まれた僕は強く引き込むように窄まる入り口を肌で感じて、これが体の中だったらどれだけ…なんて考える。
中の収縮を肌越しに感じて、僕はジョンハニの下腹部に思いを放った。
『ドギョマ、起きてる?』
この無限の繰り返しから、
僕はずっと、抜け出せないでいる。