skmくん受け10

□付き合ってそうで付き合ってない先輩と後輩
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#1 え、俺だけですか?


最近気づいたことがある。
仲が良いってのもあるんだろうけど、俺の知ってる仲が良い距離感じゃないような気がする。ってか、違う。

■え、俺だけですか?

「舘さんと俺って、ゆり組で所謂幼馴染だよね。」
「なに急に。阿部が聞いてたら喜びそうなこと言うね」
「別に阿部ちゃんを喜ばせたいわけじゃないんだけどさー。俺らって、みんなから見て仲が良い?」
「仲が良いっていうか、もう家族みたいだよね。仲が悪いとも思わないし、なんていうか当たり前っていうか。」
「どうしたん、しょっぴー。そんな言うの珍しいやん」
「いやー、なんかさ、仲が良いって、なに?」

俺の質問に、話を聞いていたメンバーもハテナを浮かべてる。

「なにその質問。」
「喧嘩でもしたん?」
「してねーよ。なんかさ、めめとさっくんって仲良いじゃん。」
「まぁ、先輩後輩って言ってるくらいだしな。」
「だよな。でも、俺の思う仲良しとなんか違う気がするんだよ。」
「どういうこと?」

俺の発言に照がつくづく分からないといった表情で聞いてくる。

「俺と舘さんは、別にくっつきもしないしハグとかしねーのよ。」
「まぁ、そんなんしたら俺ら驚きすぎて固まってまうわ。」
「だろ。でも、あの2人は平気でしてるからさ、なんか仲が良いの概念がわかんねーというか。」
「でもしょっぴー、さっくんとなら結構引っ付いてるやん。」
「まぁ、そうなんだけど、なんかどういったらいいんだろ、あーわかんねぇ」
「佐久間のキャラってのもあるんじゃね?俺は佐久間と距離近いし、普通だと思うけどさ。」
「俺も距離近いタイプやし、さっくんと普通にハグとかするしな」
「そーなのかな。確かに、言われればそうだけど…。」
「結果、佐久間の距離感がバグってるっていう結論に達するよな。」
「それは間違いないな。俺も驚く距離感やもん。」
「だから、翔太も気にしないでいいんじゃね?」

あーだこーだ考えているうちに、2人の中では結論が出たようで、さっくんの距離感がバグっているという答えに結びついてた。
ってか、別にどうやって仲良くしたらいいか分からないって悩んでたわけじゃないんだけど。
なんとなく腑に落ちないが、この腑の落ちなさをどう表現していいのかわからない。
上手く言えない俺は、言葉を濁すしかなかった。

照とさっくんがニコイチで仲がいいのも知ってるし、康二が引っ付きたがりなのも知ってる。
でも、めめとさっくんの仲が良いってなんか違うんだよな。
なんていいうのか、ハチミツみたいなとろーりとした仲の良さというか。
でも、俺と感覚が違うからなのかな、なんて思うことにした。


そんな話をしてからしばらくした頃、全員での仕事があり、いつも通り各々自由に過ごしていた。
例えば、照は安定に筋トレしてるし、ふっかはゲームしてる。いつも通りの光景。
あー安心する。SnowManって感じで。
俺もめめとラウと世間話とか化粧水の話とか、仕事の話とかのんびり過ごしてた。
そしたら思い出したようにめめが

「あ、俺腹減ったからおにぎり食べよ。」

とか言い始めた。
同じB型だから思うけど、自由すぎじゃね。最近忙しそうだったし、腹も減るわな。

「え、いいなー。僕もなんか買って来たらよかったー。」

育ち盛りの末っ子はおにぎりという単語だけで空腹を感じているようで、羨ましそうに目黒のを見ている。あざといな。
見られている目黒は意にも介さず立ち上がると鞄の方には行かず、なぜか阿部ちゃんと康二とクイズ大会をしているさっくんの方に向かって行った。

え、なんで?って思ってる俺のことなんて知るわけもなく、めめはさっくんの肩に手を置き話しかける。

「佐久間くん、おにぎりってどこにある?」
「あー、俺のカバンに入ってっから、勝手に取っていいよ」
「ん。あんがと。」
「いーってことよ。」

それだけの会話をするとさっくんはクイズを再開し、目黒はさっくんのカバンに向かいガサガサと漁り、コンビニの袋を持ってきた。おにぎりの他には水ぐらいしか入ってない袋。
そして、どかっとさっきの位置に座ると、水を取り出し、何事もなくおにぎりを食べ始めた。お水も目黒の分なのね。

「いーなーおにぎり。美味しそう。」

どうもおにぎりを諦めきれないラウールはあわよくば頂こうとしているが、それよりも、その前。
え、なに、なんで目黒のおにぎりをさっくんが持ってるの?お前ら別々に来てたよな。
仮にも先輩のカバンそんな躊躇なく漁る?
さっくんは、めめのためだけにコンビニ寄ったの?
ってか、さっくんもめめもさ、当たり前というか、いつも通りって空気してるけど、今までそんなことなかったじゃん。
同じ思いの人がいないかと周りを見渡してみるけど、全員普通で、焦っているのは俺だけで。え、俺が間違ってんの?

「め、目黒。」
「どしたのしょっぴー。」
「おにぎり、さっくん、なんで?」
「ふはっ、なんでカタコトなの?」
「しょっぴーウケるー。」

いや、カタコトにもなるだろ。舐めんなよ。こっちは動揺してんだ。
いや落ち着け。

「なんで、さっくんがおにぎり持ってんの?」
「あー。前の仕事が押してさ、コンビニ寄れそうになかったから佐久間くんに頼んでおいたんだよね。」
「えー。佐久間くん優しいねー。」

普通に答える目黒の隣でラウールがなんか言ってるけど、いや、ツッコミどころ満載だろ!
頼むならマネさんとかあっただろうし、当たり前のようにさっくんを選んだのはなんでだよ。
別に買ってくるのはいいんだけどさ!けど、なにこの感じ!

あまりに俺以外が普通だから、なんでだよって言えそうな雰囲気じゃなくて、やっぱり言葉にできない俺は考えることを放棄することにした。

わかんねーけど、やっぱり俺の知ってる仲良しとはちげーんだよな。


#2 以前からそうでしたっけ?


先日のおにぎり事件は俺の中に更なる疑念を生みつけて過ぎ去っていった。
あの後、特に変わったこともなくいつも通りだったから、やっぱり気にしすぎだったなと楽観的に考えてた自分を恨もうと思う。

■以前からそうでしたっけ?

今日はyoutubeの撮影で、朝からいろんなペアで動画を撮っている。
今は、ラウとか康二とか阿部ちゃんとか涼太とかが撮影してて、待機組は俺と照とふっかとさっくん。っても、さっくんは動画撮影に乱入しようと会議室の方に行ってる。だから、部屋に残ってんのは3人だけ。
ほんと他のメンバーの動画好きだよな。動画見てても画角の外からよくさっくんの声入ってるし。まぁ、あの笑い声に元気もらえるから、みんな嬉しいだろうけど。
そう思いながら美容の記事を見てたら、ふっかが

「今日めめは?」

なんて言い始めた。確かにめめの姿を見てないな。

「忙しいから、後で合流じゃね?」
「確かに、ドラマに映画の番宣に…。まじ忙しそうだもんな。」
「さくが、お前ご飯食べてんのか!って会うたびに聞くのも分かるよな。」
「親戚のおじさんって言ってたくらいだもんな。」
「ってか、翔太さ、こないだの悩みは解決したの?」

ここにいないビジュアル担当の話をしてたら、ちょっと前の話を思い出したのか照が話を振ってくる。

「なに、ナベ悩んでたの?」
「ちげーよ。」
「悩んでたじゃん。」
「悩みってか、どうなのって、確認だから。」
「なになにー、教えてよ。」
「なんかね、翔太が、仲が良いってなにって言ってて」
「え、思春期の悩み?」
「ちげーし。なんか、めめとさっくんの仲の良さが、俺の知ってる仲の良さと違うなって話。」
「めめとさく?」
「そう。こないだもおにぎりとか買ってたし。」
「舘さんも翔太にグミ買ってくんじゃん。」
「そうなんだけどさー。なんか違うのよ」
「なにそれ。よくわかんねーけど、気になってんの?」

ケラケラとふっかが笑って、あーこいつもなんも気になってねーんだなって思って、やっぱり上手く伝わらないこのもどかしさに、あ“ーってなってたら、能天気な声が入ってきた。

「やー、やっぱ佐久間さん人気者だわ!」
「お。噂をすれば。」
「お、ふっか。おっちー。噂ってなに?」

ホクホクとした笑みで入ってきたさっくんが、照にくっつきながらふっかの言葉に反応する。

「いや、今ね、ナベとさ、」
「あーーーーー!」

ふっかがさっくんに俺のことを言おうとするから、大声をあげて遮った。
なに言おうとしてんだよ!気まずいじゃん!バカなの?

「え、急になに?なんで翔太叫んでんの?」
「叫びたい年頃なのよ。佐久間、気にしないであげて。」
「え、なに、言っちゃダメなの?」
「なんか言いにくいじゃん。」
「叫びたくなる年頃ってどんな年頃だよ。え、マジでなになに?」
「佐久間、佐久間。なんでもないよ」
「そうそう。さっくんは気にしないでいいから。」
「隠しごとはずるいぞ!」
「いや、隠し事じゃなくてさ…」
「なんか言いにくくて」
「なんだよそれ!!」

自分だけ仲間外れにされたと思ったのか、さっくんはプンスカと怒っている。
別に仲間外れにしたいわけじゃないんだけど、本人には言いにくいじゃん。分かれよ!

「言いにくいって、気になるじゃん。」
「ほんとに言いにくいから。」
「なんだよ、翔太!言いにくいことって!」

俺がどんだけ言ってもさっくんはなかなか折れてくれなくて、ほんとどうしよ、って悩んでてたら、

「俺、お化けとか怖くないから大丈夫だよ!!!」
「え?」

まさかの発言に俺は、固まってしまったよね。
さっくんにとって言いにくいことって、お化けの話なの?
ってか、別にさっくんがお化けが怖いだろうなんて思って言いにくいわけじゃないし。
なんだこの天然。

「さくまぁー。そうじゃないのよ」
「さくちゃん、かぁいいねぇ。」
「なんだよ!2人とも!騙されないからな!」

さっくんの天然っぷりに、照もふっかもデレデレじゃん。ほんと甘いよな。
さっくんは、照の肩にもたれ掛かりながら反論してるけど、ふっかに撫でてもらって、もう絆されかけてる。ちょろいな。
これを機会に、ふっかと照が話題をずらしてくれる。さすが夫婦だわ。

「ってかさ、佐久間、今日、服おしゃれだね。」
「お!照、いいセンスしてんねー。」
「そんなん持ってたっけ?」
「うんにゃ。これ蓮の。」
「は?」
「え、目黒の?」
「うん。前借りたんだー。おしゃれだろー。さすが俺の後輩!」

さっくんは、むふふーなんて笑いながら両手を広げてパーカーを見せてるけど、さすがに照もふっかも驚いてる。そーだよ、さすがにこれは驚くよな。

「え、さくちゃん、めめの服着れんの?!おっきくねーの?」
「失礼な!佐久間さんだって、オーバーサイズでいけますー。」
「目黒のでいけんなら、俺のも貸すわ。」
「え、マジ?」
「さくちゃん、俺のも貸してあげるね!」
「ふっかのはやだ。煙くせーもん。」
「うぉぉぉい!」

え?ふっか、驚いてる理由、そこなの?
いけるとか言ってるけど、明らかにオーバーすぎだろ。腕ビヨビヨだし、彼パーカーじゃん。
で、照も貸そうとすんなよ。ふっかは残念だな。
はははは、面白いなお前ら。

「ってか、そうじゃなぁぁぁぁい!!!!」
「うわ、また翔太が叫んだ。」
「なんだよ翔太。」
「いや、え?俺だけ?」
「だからなにが。」
「え、さっくんさ、俺ら、そんな服の貸し借りとかしてた?」
「んにゃ?いや、したことねーな」
「だよな。なんで、急に」
「え?なんとなく!貸してくれるって言うからさ。」
「佐久間のおかげで、これからメンバーでの貸し借り増えるかもな!」

にゃははって3人で笑ってるけど、なんとなくってなんだよ。

「なに、翔太も借りたいの?」
「そうじゃないんだよ。」

あぁ、頭痛してきた。
今回も全くもって話の通じない、まるで世にも奇妙な物語の世界みたいな
メンバーに、頭を抱えるしかない俺だった。
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