skmくん受け10

□いつから知ってた⁉︎
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あぁ…今日の収録やらかしちゃったなぁ
幸い今日の共演者さん達は優しくてフォローしてくれたけど…
普段から明るい俺でもネガティブな時もある
そんなときは自分でもわかるくらいどん底まで落ち込んでしまう
なんとなく風に当たりたくて暗い夜道をフラフラと歩いて家に向かう
そんなとき普段は見ないこじんまりとしたケーキ屋さんを見つけた
淡いピンクの外壁に白の繊細な装飾で飾られた可愛らしい外観だ
落ち込んだときは甘いものでも食べようかな…
そんな気持ちになり、まだやっているかな?とそろっと扉を押してみる

「いらっしゃいませ〜」

こんな時間だと言うのに定員さんは愛想良くお出迎えしてくれた
こんな遅くにごめんなさいと心で謝っておく
なんのケーキを買おうかなとショーケースを眺めるとそこには見た目は普通のケーキなのにやたらと名前が気になるケーキ達が並んでいた

・転ぶたびに筋肉がつくケーキ(チョコケーキ)
・泣くたびに女の子になるケーキ(ショートケーキ)
・怪我をするたび若返るケーキ(抹茶ケーキ)

などなど
なんとまぁ魔法チックなケーキばかりだなと思い眺める
そう言うコンセプトのお店なのかな?
と思いショートケーキを選んだ
泣くたびに女の子になれたら優しくしてもらえるのかななんてありもしない妄想をしながら

「お会計500円になります」

さっきの愛想のいい店員さんがお会計をしてくれる
ケーキを受け取るときに

「こちらのケーキの効果は3カ月となっております。また、魔法の発動から魔法の効果は3時間ほどとなっておりますのでご注意ください。それでは良い魔法ライフを」

なんのことだかわからず、え?と聞き返そうとするとそこは自宅の前だった
自分の妄想に気を取られているうちに家の前に着いてしまったのだろうか、と不思議に思っていると自分の手には先ほど買ったケーキの箱が握られている
なんのことだかわからないが、ケーキだし早く食べないと賞味期限が切れてしまう
鍵を開け、手を洗い、お風呂に入ってリビングに向かう
魔法が起こったらいいなと思いながら冷蔵庫にしまったケーキをお皿に出して頬張る
上品な甘さが口の中に広がり幸せな気分になる
今日のことは忘れて次に活かそう
いつもなら寝ない時間にベッドに潜り眠る

大好きな俺のシンメの阿部ちゃん
俺は彼のことが恋愛的な意味で好きだ
よく自分にだけ優しくしてくれる人を選びなさいなんて世間では言われているけれど俺は誰にでも優しい彼が好き
頭はいいのに変なところでAB型が出てしまうお茶目なところだって好きだ
でもこの気持ちは伝えるつもりはないし結ばれたいとも思わない
彼のそばにいられればそれでいいんだ…
だって恋人には終わりがあるけど友達なら死ぬまでそのままでしょ?
今は辛いけれどいつかこの恋も笑える日が来るのかな


目を覚ますと自分の頬が濡れている
あぁ、また泣いてしまった
いつものことかと対して気にすることもなく大好きな嫁たちへおはようを言いに行き、顔を洗うため洗面所へ向かう
パシャパシャと顔を洗うと鏡の中には見知らぬ女の子
いや、正確に言うと俺が女の子ならこんな顔だろうなって顔の女の子がいた

「…は。?」

翔太で言うところのパニックパニックである
な、なんで?
なんで女の子がここに?
いや、俺が女の子に?なったのか?
そんな漫画じゃないし…
いや、心当たりがあるとすればあのケーキだ
まさか夢で泣いたから?
と言うことはあと3時間は女の子ということだ
これは非常にまずい
今日はメンバーと打ち合わせの予定でしかも今すぐに家を出ないと間に合わない
どうすればいいかわからず俺は紫の最年長に電話をかけ、集合場所のスタジオの人気のないところで待ってくれるように頼んで家を出た

「なるほどね〜?ケーキを食べたら女の子になったと?」

なぜそんなに冷静に話を聞いてくれるのか、俺の話をすんなり信じれるのはきっと、最年長である彼だからこそ出来のだろう

「そうなんだよ…効果は3時間らしいんだけど…」

「いいよ、打ち合わせはちょっと遅らせてもらえるように頼んでおくから」

そう言って優しく微笑む深澤
さすがはリア恋枠

「ありがとぉ…」

半ば泣きそうになりながら礼を言う

「泣いたら女の子の時間が増えちゃうでしょ?お願いしてくるからここで待ってな」

どこまでもイケメンなこいつに惚れてしまいそうになる
いっそ惚れてしまおうか
出来もしないことを考え彼のことが頭をよぎる
ふっかは優しい
でも阿部ちゃんだって優しい
優しい彼は誰にだって柔らかな笑みを振りまいて
そんな彼が好きなのに俺にだけ見せてくれればいいのにって思ってしまう
好きなことは伝えられないのに彼の隣を取られるのが嫌で嫉妬してしまう
付き合っているわけでもないのに
そんなことを思いながら1人待っているとスタスタと歩く音が聞こえた
ふっかが帰ってきたかな?なんて思い顔を上げると

「おはようございます。ここのスタッフさんですか?佐久間の姿が見当たらないんですけど何か連絡きていたりしますかね?ついでにここはどこでしょう?佐久間を探していたら迷っちゃって…」

そこには俺が好きな彼の姿が
おっちょこちょいなとこも好きなんだよなと思っている場合ではない
俺は今女の子なのだ
どうしたら良いか分からずじっとしていると奥の方からのんびりとした声が聞こえる

「あれ〜?阿部ちゃんこんなとこでどったの?」

お前はヒーローかと思うぐらいナイスタイミングで現れる深澤
阿部ちゃんに見つめられているのが耐えられなくなり深澤の後ろに隠れる

「ふっか、その方はお知り合い?」

若干怒気を含んだような阿部ちゃんの態度に初対面で挨拶もせず深澤の背中に隠れればそりゃ優しい彼でも怒る
よなと思い

「あの…ごめんなさい。佐久間、くんの親戚で…」

この後なんて言えばここにいる理由になるのかぐるぐる考えていたら上から

「ここの仕事の見学がしたいってことで見学に来たんだよな?」

機転の効いた最年長が助けれくれる

「へぇー!そうなんですね!」

笑顔で返してくれる彼に罪悪感を覚えまた深澤の後ろに隠れる

そんなやりとりをしているうちに時間は迫ってきていた
ケーキの効果は3時間
もうすでに残りわずかである
やばい
ばれる
そう思い深澤の服をギュッと掴む
お願いだ…伝わってくれ
そう念じながら彼を見上げると

「さくちゃんもそろそろ着くみたいだから俺らは先に行こうか」

「俺帰り方わかんなくなって困ってたんだよね」

「じゃあ桜ちゃんまたね」

桜って?…俺か!

「はい…また今度!」

2人が角を曲がったと同時にぽわんっと言う音と共に男の姿に戻った
打ち合わせを遅らせてしまっているので急いでふっかたちに合わないルートを選びみんなのところへ向かう

阿部ちゃんと会った女の子と全く同じ格好のまま
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