杜若

□陸話
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―縁側



池田屋事件の後、やはり長州の奴等に不穏な気配がある
しかし、長州は中々動きを見せなかった。おまけに、鬼達の気配も感じる事が出来ていない

苛立って来ていた俺の所に丁度巡察終わりの原田さんが来た



千歳「あ、左之さん」

原田「おう千歳か。どうした?」

千歳「いや昼の巡察、十番組だったからどうだったのかな、って…」



俺は素直に尋ねた



原田「特には何も無かったぜ」

千歳「綱道さんの情報も?」


今日の巡察には千鶴も同行していた。だから、情報が何かしら見付けられたかと思ったが…


原田「ああ、全く …ただやっぱり町人たちの様子が忙しねぇな」



見つけたのは、俺も思っていた事だけだった



千歳「そういや…、昨日の巡察、引越しの準備している人がちらほらいたな」

原田「ま、おおかた戦火に巻き込まれまいと京から避難し始めて るって所だろ」

千歳「…長州の奴等が京に集まってきてるからか?」

原田「おう。その関係で、警戒強化の命が出たんだ」



後ろからやって来た永倉さんがそう継いだ



千歳「…新八っつぁん」

原田「池田屋の件で長州を怒らせちまったからな。 仲間から犠牲が出れば、黙っていられないだろ?」

永倉「千鶴ちゃんに言ったら、新選組は京の治安を守るために戦っているのに、なんて言ってくれたけどな」

千歳「京の人間は、幕府嫌いだから仕方のない…ってか」

永倉「ああ」

原田「どちらにせよ、俺たちは俺たちの仕事をする。 長州の連中が京に来ても追い返すだけさ」



その時、ふと池田屋事件の事が思い出された



千歳「(…長州の輩が来たら、風間達鬼も…きっと来る)」



そうなると面倒だな…



原田「もしかすると近いうちに、上から出動命令が出るかも知れねぇ。千歳も、気ぃ張っとけよ。」

千歳「おぅ」
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