杜若
□弍話
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文久三年 十二月
まだ日が出て明るい時間
男装はしているものの、パッと見で女の子と分かる少年が京の町を歩いていた
そんな時
「おい、そこの小僧!!いい小太刀を持っているな。それを渡せ」
浪士たちに絡まれてしまった
「止めて下さい!武士のくせに恥ずかしいと思わないんですか!」
「何だと?生意気なガキが調子に乗ってんじゃねぇ!」
浪士は刀を振り上げた
少年(?)は思わず目を閉じた
その時、刀が交わる音が響いた
「おいおい、まだこんな若い子に、なに刀振り回してんの?」
そんな声が聞こえて、目を開けると、そこには白髪の若い綺麗な顔をした男の人がいた
「若い子の刀まで取ろうとするなんて、武士のかざかみにもおけないね」
「何だと!?貴様とて若いではないか!俺たちに逆らうとどうなるか教えてやる!」
白髪の若い男の人は軽く微笑んだ
そして、見事な手つきで浪士たちを凪ぎ払う
殺しはせずに
浪士たちは恐れなしたかのように逃げていった
「残念。逆らうとどうなるか、まだ聞いてなかったのになぁ」
と、呑気に笑っている
男装少女はそんな様子をぽかんと見ていた時
「キミ、大丈夫?ケガはない?」
ニコリと微笑んでそう言い、浪士たちに突き飛ばされて尻餅をついていた少女に手を差し伸べる
少女は顔が赤くなりながら、その手を取る
「あ、はい//私は大丈夫です。助けていただいて、ありがとうございます」
「そ、なら良かった。気をつけてね。京はあんな奴がいっぱいいるから。じゃあね」
男の人はニコニコしながら歩いていってしまった
「あ…名前、聞いておけばよかった」