杜若

□伍話
1ページ/3ページ



元治元年六月


土方さんに呼び出され部屋に行くと千鶴に総司、平助がいた



土方「お前に外出許可をくれてやる。市中を巡察する隊士に同行しろ。隊を束ねる組長の指示には必ず従え」



あぁ、千鶴の外出許可が出たんだ
でも何で俺達まで?



土方「総司、千歳、平助。今日の巡察はお前らの隊だったな?」

平助「なるほどねー……。だから当番の俺らが呼ばれたって訳か。
でも今回は俺より総司達向きじゃないかな。今日は総司の一番組が昼の巡察を担当だろ?」

沖田「平助の八番組は夜担当だし、夜より昼が安全だって言うのは僕も同じ意見
でも逃げようとしたら殺すよ?浪士に絡まれても見捨てるけど、いい?」

土方「いい訳ねぇだろうが、馬鹿。何の為にお前に任せると思ってんだ」

千歳「何言ってんだよ総司…」



この馬鹿は…;

ちなみに今は長州の人間が不穏な動きを見せていて本来なら千鶴は外に出せる時期じゃないらしい
しかしいつまでもお預け食らってる千鶴を気にして、やっと外出許可に至ったようだ



千歳「……なんだかんだで優しいよねぇ土方さん」

土方「うるせえ!///」

沖田「……ぶくく…(笑)」

土方「総司……笑うな!(怒)」


しかし俺は巡察に行ったのを後悔した
だって山南さんの説教が…(泣)


ーーー


山南「大したお手柄ですね
桝屋に運び込まれた武器弾薬を押収し、古高俊太郎を捕らえてくるとは」



山南さんが皮肉たっぷりに俺と総司に言った



千歳「うぅ…」

沖田「そうするしかない状況だったんですよ
いいじゃないですか。結果的にうまくいったんですから」

山南「上手くいったからいい?
我々は桝屋の主人が長州の間者と知ったうえで泳がせていたんじゃありませんか」

平助「桝屋の動きを見張ってた島田君や山崎君に悪いと思わないわけ?」



平助が言うと、丞が口を開いた



山崎「我々のことなら気にしないでください」

島田「桝屋の監視を続けてきたものの手詰まり状態でしたから
沖田さんたちが動いてくれたおかげで古高を押さえることができましたよ」

山南「それは結果論です」



山南さんが真っ向から否定する
新八っつぁんも口を挟んだ



永倉「お前らは殊勝だねぇ……
それに引き換え総司は……」

千鶴「私が悪かったんです
父様を見かけたという話を聞いて、後先も考えずに店へ行ってしまったから…」

千歳「いや、俺もちゃんと千鶴を見てれば…」

山南「君への監督不行き届きの責任は沖田君にあります」

土方「それに関しちゃ、外出を許可した俺にも責任がある
こいつらばかり責めないでやってくれ」



土方が声と共に入ってきた



原田「土方さん、古高は何か吐いたのか?」

土方「……風の強い日を選んで京の街に火を放ち、その機に乗じて天子様を長州へ連れ出す
……それがやつらの目的だ」

永倉「京の街に火を放つだぁ!?
長州の奴ら、頭のネジが緩んでんじゃねぇのか?」



新八っつぁんが呆れた声を上げる

そりゃそうだよね。長州は尊王派で知られていし

同じことを平助も考えてたみたいで



平助「それって単に天子様を誘拐するってことだろ?
尊王掲げてるくせに全然敬ってねーじゃん」

千歳「本当だよねぇ」

斎藤「………何にしろ、見過ごせるものではない」



一もそう言った



土方「古高が捕縛されたことで奴らも焦ってるはずだ
今夜にも会合を開いて善後策を講じるだろう」



土方の言葉に近藤が頷いた



近藤「うむ、そうだろうな
長州が会合を持つ場所は?」



近藤さんの質問に島田さんが答える



島田「これまでの動きから見て、四国屋、あるいは池田屋のいずれかと思われます」

近藤「よし、会津藩と所司代に報せを出せ
トシ、隊士たちを集めてくれ」



今夜は捕り物になりそうだな


しかし綱道さんは長州の人間と桝屋に来たことがあるらしい
長州ということは綱道さんは尊攘派になったのか…


池田屋は近藤さん率いる隊士10名、四国屋は土方さんが率いる隊士24名

俺は総司と一緒に池田屋に行くことにした
千鶴は危険だから留守番
ちなみに山南さんも屯所警備に残る



千歳「それじゃ行きますかー!」



俺たちは池田屋に向かった
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ