絆の軌跡〜過去と未来の交錯〜

□巻之七 真実とは
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参拾弐 情報屋の勧め

西暦7000年 ギルド sideシルク

遠征から帰ってから、私達は殆ど動けなかったわ……。
歩こうとしたけど、身体に力が入らなくて一歩も動けない。そんな期間が3週間も続いたわ……。

フライは2週間ぐらいで治ったけど、私は喉の火傷が酷くて十分に話せなかっわ……。
[テレパシー]が使えるから何とかなったけど……。あの時教わっておいて良かったわ。
もし教わってなかったら、筆談も出来ないし、うなだれていたかもしれないわ。

一応、私も治ったけど、後遺症が残ったのよね……。
日常生活での会話には困らないけど、大声が出せなくなったのよね……。

でも、とりあえずは以前の声量までは回復したわ。声を失わずにすんで本当に良かったわ。

………ん?私達が治療している間、他の人は何をしていたのかって?

まず、ラテ君とベリーちゃんは、いつも通り依頼をこなしているわ。
努力が実って、ラテ君達の探検隊のランクがゴールドに上がったらしいわ。
そのランクがどのくらいなのかはわからないけど、ラテ君、ベリーちゃん、よかったわね!

ウォルタ君は、私達がこんな状態だから、ラテ君達に同行して、特訓してもらったわ。
お陰で、遠征前より実力が上がっていたわ。それに、[水の波動]を習得しららしいわ。

私達が暇を持てあましている時に、チェリーが見舞いに来てくれたわ。
会話が弾んで、時が経つのも忘れていたくらいだわ。
今度会った時に、近くにある温泉に行く約束をしたわ。
楽しみだわ!

そして、私の喉の状態がよくなってか2週間後………

「シルクさん、フライさん、一度[真実の頂]の神社に行ってみたらどうですか♪」

「「[真実の頂]?」」

朝礼が終わってからフラットさんに呼ばれたわ。

「はい♪[誘いの坑道]を北に抜けた先にあるんです。観光地としても有名なので、行ってみたらどうですか♪」

[誘いの坑道]…………、ああー、遠征の時に通ったダンジョンのことね!

「そうさせてもらうわ!フライにウォルタ君もいいわよね?」
「うん。ボクも賛成だよ。それに、何かの伝承があるみたいだしね。」

そういえば、フラットさんがそんな事言っていたわね。
体調も回復したし、感覚を取り戻すのには丁度いいわね。

1ヶ月ぐらい技すら出していないから、早く行きたいわ!

「伝承〜?」
「うん。ウォルタ君はいなかったから聞いていないと思うけど、1000年前の伝承があるらしいんだよ。」

フライがウォルタ君に説明。
フライは説明するのが上手いから、いつも彼に任せているわ。
きっと、私がするより伝わりやすいわね……。ちょっと悔しいけど。

「そうよ。なら、復帰一発目はそこに行きましょ!」

「うん。久しぶりのバトル、本当に楽しみだよ!」「うん〜。ぼくも、練習の成果が試せるよ〜!」

2人とも声を揃えたわ。
胸が高鳴るわ!!

だって、1ヶ月ぶりのバトルよ!!
その間缶詰め状態だったから、外出したくてウズウズしていたのよ!!

「なら、まずは旅の準備をしないとね!」

フライが弾んだ声で、私とウォルタ君を見て言ったわ。

フライ、私も同じ気持ちよ!!

「じゃあ、行こっか〜。」

ええ!

私達は高鳴る胸の鼓動と共に、賑わい始めたギルドのお膝元に向かったわ。

………

トレジャータウン sideシルク

この光景、久しぶりね!
シスさんにトランスさん、ランドおばちゃんは元気かしら?
怪我していた私が言うのもあれだけどね!

そんな訳で、私達が最初に向かったのは………、

「「いらっしゃーい!」」

そう、シスさんとトランスさんの店。帰って来てから一度も来れなかったから、色々と不足しているのよ。

「シスさん、トランスさん、久しぶりね!」
「1ヶ月ぶりですねー。シルクさんとフライさん、怪我は大丈夫なんですかー?」

シスさんが自前の陽気な声で聞いたわ。

「はい、お陰様でボクは完治しました。」
「私はまだ喉に違和感があるけど、問題ないわ。トランスさん、[穴抜けの玉]と[縛り玉]はあるかしら?あと、シスさん、[木の枝]10本と[オレンの実]をお願いしますわ。」
「「いつものだねー!」合計P2300だよー!」

私はいつもの品を注文………、私はいつもこれを買っていたわ。
ちなみに、“P”はこの時代での通貨単位よ。

「P2300ね? はい、これで全部よ。」

私は財布から小銭を出して、[サイコキネンシス]で手渡したわ。

この調子だと、大丈夫そうね。

「毎度ありー!」
「じゃあ、ボクもいつものやつをお願いするよ。」

私が払い終わったのを見て、フライも注文したわ。

「[睡眠の種]と[惑わしの種]、[銀の針]10本だねー?」

シスさんが待ってましたとでも言うように、奥の陳列棚から目当ての物を取り出したわ。

「うん、それであってます。はい、1500P。」

そう言って、フライはポーチから代金を取り出したわ。もう慣れたものね。

「毎度ありー!ウォルタ君は何か買っていくかい?」

トランスさんが料金を受けとると、彼を見ていったわ。

「ぼくは昨日買ったばかりだから、やめておくよ〜。[復活の種]も使ってないから、また今度にするよ〜。」

せっかくだけど………、って感じね。

「とりあえず、必要な物も揃ったから、この辺で失礼するわ。」

私は2人に一礼、この場を後にしたわ。

さあ、いよいよダンジョンに潜入、この時を待っていたわ!!

………

誘いの坑道入り口 sideシルク

「さあ、ここからが[誘いの坑道]よ。」
「確か前に来た時はラックさんとフラットさんが一緒だったね。」

一時間ぐらい歩いて、私達は入り口の分岐点に来たわ。
南側が[言霊の森]、[濃霧の森]に続いているわ。

「ってことは、シルクとフライは遠征の時はここを通ったんだね〜?……ん?でも、道が2つに分かれているけど、どっちに行くの〜?」

ウォルタ君は、暗がりに開いた二つの穴に気付いて不思議そうにきいたわ。

「北側よ。南に行けば、[濃霧の森]に繋がっているわ。」
「へぇ〜。なら、さっそく行こうよ〜!」
「うん!」

ええ!

さあ、行きましょ!!

私達は北側の洞窟に足を踏み入れたわ。

………

数分後 誘いの坑道北 sideシルク

「入って早速きたね〜!」
「うん、腕が鳴るよ!」
「さあ、始めましょ!」

私達が洞窟に入るや否や、野生のチョロネコ、コロモリ、ダルマッカの手厚い歓迎……。

待ってました!この時を……。

「[ひっかく]!」「[風起こし]!」「[火の粉]!」

相手が同時に攻撃をはじめたわ。

「シルク、フライ、ぼくはダルマッカの相手をするよ〜。[アクアリング]!」
「じゃあ、ボクはチョロネコにするよ。[岩雪崩]!」
「わかったわ![シャドーボール]!」

私達もそれに応じる。

ウォルタ君は水のベールを纏い、フライは岩石を出現させ、私は単発で漆黒の弾を口元に形成したわ。

相手の目前に降り注ぎ、進行を妨げる。

そこで私の弾がコロモリに命中、倒したわ。
何も溜めてないけど、なかなかの威力。きっと遠征での闘いの成果がでたのね。

「フライ、ウォルタ君、時間稼ぎを頼んだわ![サイコキネンシス]、[目覚めるパワー]!」
「「うん、わかったよ!」[ドラゴンクロー]!」
「[水の波動]!」

私は超能力を発動し、暗青色の弾を生成、フライは低空飛行で接近しながら手元に私と同色のオーラを纏う。
ウォルタ君がフライに続いて走り、音波を乗せた水塊で援護。

連携は完璧ね!

「[騙し撃ち]!」「[火炎車]!」

相手も負けじと技をだす。

「一発目っ!」「っ!」

フライの斬撃はダルマッカに命中。
おそらくフライに少しのダメージが加算……。

フライは2発目を当てずに急上昇。

フライの背後から水塊が迫る。

「竜と草で!」

私は[木の枝]を取り出すと同時に拘束していた暗青色の弾を放つ。

途中で両者は衝突して、混ざったわ。

暗翠色に変色し、膨張し始め、水塊につづく。

「っ!?」

立て続けに命中。

相手は耐えきれず、倒れたわ。

……よし、鈍ってないわ!
フライも大丈夫そうね。

ここで私とフライは自分の技を解除。

「よし。 シルク、大丈夫そうだね。」
「フライ、あなたもね!」
「鈍るどころか、遠征の前よりも威力が上がっていたと思うよ〜!」

えっ!?それ、本当?

「本当に?」
「うん〜。[ドラゴンクロー]のオーラの色が濃くなっていたし、技のスピードも増していたと思うよ〜!」
「ウォルタ君も、スピードと威力の両方が確実に上がっているわよ!」

ウォルタ君、1ヶ月の間に腕上げたわね。

「技の状態も確認できたし、先に進もっか?」

「ええ、そうね。」「うん、そうだね〜。」

フライの合図と共に、私達は洞窟の奥へと歩みを進めたわ。
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