絆の軌跡〜過去と未来の交錯〜

□巻之拾弐 たいせつなひと………
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六拾壱 未来へ

西暦7000年 トレジャータウン sideラテ

「皆さん、お待たせしました。」
「あっ!シャドウさんが来たよ!!」

僕達が口々に話していると、交差点のほうから待ちに待った人物が姿を現した。

先陣をきってシャドウさん、口と腕を縛られた[ジュプトル]………。

腕ならともかく、口まで縛らなくても………。

そして、ジュプトルを取り囲むように3人の[ヤミラミ]。

これだと完全に逃げ場がないね。

ちなみに、何故かは知らないけど、この場にシルク達はいない。

…どうしてなんだろう……。

いつもならこういう時はいるはずなのに………。

「そういえばハクさん?何で今日はシルク達はいないの?」

ベリーが僕の隣にいたハクさんに聞いた。

………実はこの2日間でハクさんとシリウスさんと、シルク達を通して仲良くなったんだよ。

今まで話したことがなかったけど、ハクさんって、こんなに明るい人だったんだね!?

シリウスさんは相変わらず口数が少ないけど、前よりは話してくれるようになったかな?

それに、シリウスさんってシルクとフライと同じで[過去]のポケモンだったらしいよ!!

知らなかった………。

「何でかは知らないけど、来れない理由があるんやって。………ウチらも知らないけど………、」

「「理由?理由って?」」

僕達は思わず声を揃えた。

どうしてだろう………。

「………シャドウさんが[未来]に帰ったら話してくれるそうです……。」

帰ったら………?

「帰っ………」「皆さん、今回は[ジュプトル]の逮捕………、[星の停止]……」

「………の阻止にご協力頂き、ありがとうございます。」「!!!♯♨、✓♥!!」

僕達が続けてハクさん達に聞こうとする前に、遂にシャドウさんが話はじめた。

「……縛られていたら何も話せないね……。」

シャドウさんの言葉を聞いた途端、ジュプトルが何かを訴えはじめた。

…………何を言ってるのかわからないけど……。

ベリーが僕にしか聞こえない声で呟いた。

「つべこべ言わずに来い!!」
「っ!!」

ジュプトルは、1人の[ヤミラミ]に、黒くて禍々しい渦に突き落とされた。

………もしかして、あれが[未来]に繋がる入り口?

ジュプトルを突き落とすと、取り囲んでいた[ヤミラミ]達も渦の中に飛び込んだ。

「………皆さんの協力が無ければ、極悪人の[ジュプトル]を捕まえる事が出来ませんでした。本当に、ありがとうございました。」

シャドウさんは深々と頭を下げた。

「………名残惜しいですが、私もそろそろ戻ります。」

頭をあげると、全体を一通り見渡してから、渦に向けて一歩一歩歩きはじめた。

…………もう、会えないんだ………。

僕達の瞳からは自然と涙がにじみ始めた。

「……あっ、そうだ。ラテさん、ベリーさん、少しここに来てもらってもいいですか?」

「「え?」」

突然呼ばれて僕達は、別れによる悲しみで俯いていた視線を正面に向けた。

………霞んでよく見えないけど………。

「……個別に挨拶をしたいので…。」
「……ラテ、いこ。」
「………うん。」

僕は溢れる涙を拭い、人混みをかき分けてシャドウさんの正面に立った。

「……シャドウさん、短い間でしたけど、ありがとうございました。」
「もうお別れなんて、寂しいよ……。」

僕達は、思い思いに別れの言葉を述べた。…………嗚咽混じりに……。

もう、会えないんだね………。

瞳から涙が溢れた。

「お別れ…………か。それはどうかな?」

「「えっ?」」

???

「別れるのはまだ速い!!!」

シャドウさんは突然両手を振りかざし、僕達を鷲掴みにした。

!!?どういう事!??

「「「「「「「!!?」」」」」」」

あまりの光景に辺りは騒然となった。

僕達は掴まれたまま引き込まれる。

…………!!

驚きと恐怖で身体が竦んで、動けない。

抵抗出来ずに、黒い渦に引き込まれた。

「ラテ君!!!べ……」

渦が閉じる直前、聞き慣れない低い声が僕の名前を呼んだ気がした。

聞き終える前に、完全に遮断された。

…………ここから先は、どうなったかわからない………。

……気を失ったから………。







………

西暦7200年 ??? sideラテ

「…………テ、ラテ!! ……良かった。気がついたね……。」
「…………ここは………?」

ベリーにつつかれて、僕は何とか意識を取り戻した。

「わたしもさっき気づいたばかりなんだけど……、なんかわたし達、閉じ込められているみたいだよ!!」
「えっ!!?閉じ込められているだって!!?」

ベリーの言葉で、朦朧としていた意識が鮮明なものになった。

えっ!!?嘘でしょ!?

言われて、見渡すと、ギルドの食堂ぐらいの部屋……だね………、ここは……。

あの後、僕達ってどうなったんだっけ?

僕は[記憶]を探りはじめた。
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