絆の軌跡〜過去と未来の交錯〜

□巻之泗 遠征に向けて
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拾八 弟子?

西暦7000 ギルドB2F sideシルク

昨日は散々な1日だったわ。

………結果的に溜まっていたものをぶつけれたから良いけど。
第一に、奴らが悪いのよ。
公の場であんな事をするから、痛い目に遭うのよ。


………、朝からこんな事を考えると苛立ってくるから、気持ちを切り替えましょ。

うん。

で、今はたぶん午前6時、天気は晴れね。昨日程ではないけど、いい天気ね。清々しいわ。

「おや、シルクさん、今日も早いですね♪」
「これが習慣なのよ。フラットさんも早いのね。」

まさか2日連続で先を越されるとは思わなかったわ。
フラットさんは情報屋だから、情報の整理でもしていたのかしら?
ええ、きっとそうね。

「私事ですが、早く起きればシルクさんと話せると思いまして♪」

違ったのね。……って事は、昨日の話の続き、5000年以上前の伝説を聴きたいという事ね。

「フラットさん、熱心なのね。……ええっと、どこまで話したかしら?」

私がこう言うと、フラットさんはどこからかペンとメモ帳を取りだしたわ。
私達の話を聴く時はいつもこう。おそらくメモ魔ね。……表現があまり良くないけど……。

「英雄伝説からです♪」
「そうだってわね。じゃあ、始めるわよ。……」

私は自分達が関わった伝説、英雄伝説を話はじめたわ。

………

一時間後 sideシルク

「…………今日はこのくらいにしておこうかしら?」

時刻は午前7時、ラテ君をはじめ、ギルドのメンバー全員が部屋から出てきたわ。
もちろん、フライも含めてね。

「そうですね♪今日もありがとうございます♪」

フラットさんは私に一礼、続きは今日の夜ね。
私は一度微笑んでから後ろに下がったわ。

「シルク、今日もフラットと話していたの?」
「ええ、そうよ。」

ベリーちゃん、そうよ。
そういえば、ベリーちゃん達はフラットさんだけを呼び捨てにしているけど、何かあったのかしら?
そのうちわかるわよね。

……?この臭い、奴が来たわね。

「[サイコキネンシス]。」

私は予め超能力で空気の層を作り出したわ。
昨日みたいになるからね。

「全員揃ったな♪今日は特に連絡は無いから、全員遠征のメンバーに選ばれるように頑張るんだぞ♪」

フラットさんからの連絡が終わっていつもの号令、気合いが入るわね。

「……それじゃあ、張り切っていくよ♪」
「「「「おー!!」」」」

全員が声をあわせて一致団結、今日も1日が、始まるわね!

ギルドのメンバー、紫はそれぞれ散り散りになったわ。

「ベリー、今日も頑張ろっか。」
「うん!」
「ラテ、ベリー、ちょっと来てくれ♪」

2人が話していると、フラットさんの声、何か用事があるのかしら?

「え?うん。シルク、フライ、ちょっと行ってくるよ。」
「うん。ラテ君、ボク達はトレジャータウンにいるから。」
「トレジャータウンだね?」
「ええ。先に行ってるわ。」

そういえば、まだ詳しくは見てなかったわね。
それにしばらく滞在するから、挨拶してまわらないとね。

ラテ君とベリーちゃんはフラットさんのところに、私とフライは螺旋階段を登ったわ。
流石にもう開いているわよね?

………

トレジャータウン sideシルク

やっぱり、活気があるわね。
私、こういう所、結構好きよ。
私は都会出身だから、落ちつくのよねー。

「シルク、まずはどの店からみる?」

街の雰囲気を感じていると、フライが話題をだしたわ。
そうねー……

「とりあえず、一番近い銀行から行こうかしら?ダンジョンで拾って、沢山貯まってるでしょ?」

確か……私は5000ぐらい、フライはきっとそれ以上ね。

「となると、挨拶ついでに口座の開設だね?」
「ええ。そのつもりよ。」

大金を持ち運ぶ訳にはいかないからね。

私達は建ち並ぶ店の1つ、銀行に足を踏み入れたわ。


数分後 sideシルク

とりあえず、銀行の件はこれでいいわね。

次、いきましょ!

「シルク、次は倉庫に寄ろっか。」
「倉庫?」

フライ、倉庫って、あの倉庫?貸し倉庫の事かしら?

「ブラウンさんに聞いたんだけど、管理人のガルーラに預ければ、責任を持って、しかもタダで預かってくれるらしいよ。」
「えっ?無料なの?」

無料で!?それなら利用させてもらおうかしら?

「うん。シルク、こっちだよ。」

フライ、道案内頼んだわ。








「シルク、ここだよ。こんにちは。」

フライは1つの建物の前で止まって、声を張り上げたわ。
………結構大きな建物ね……。

「あら、いらっしゃいー!」

奥から一匹のガルーラが満面の笑みと共に出てきたわ。
優しそうな人ね。
口調と声からすると、♀かしら?

「君達の事はラテ君とベリーちゃんから聞いているわ。2人は考古学者なのね?」

「「えっ?はい。そうですけど?」」

私達の事を知ってるの!?

「2、3にち前に手強くて紳士的2人組が来たって聞いたから、会いたかったのよー。あなた達は最近、この辺では有名よ。」

情報が回るの、早いわね。

「ボク達って、そんなに有名なの?」

フライは不思議そうに聞いたわ。
私も気になるわ。

「ええ。私はランドって言うけど、君達はどういう名前なんだい?」

ランドさん?は私達にきいたわ。
…………この人、元の時代に似たような知り合いがいたような……。

「私はエーフィーのシルク、よろしくお願いするわ。」

ランドさん、よろしくね。

「ボクはフライゴンのフライです。」

フライとランドさんは握手をかわしたわ。

「ランドさん、……」
「私の事は気軽にランドおばちゃんって呼んでくれるかい?」

さっそく………えっ?

[おばちゃん]って、そんなに年いってたの!?若々しいから、もっと下かと思ったわ。

「え?ええ。ランド、おばちゃん?さっそく私達の道具をいくつか預かってくれるかしら?」
「ボクもお願いします。」
「いいわよ。」

そうさせてもらうわ。

私達は最低限の物以外を全部預けたわ。

「じゃあ、お願いしますわ。」
「ええ。おばちゃんに任せて。」

ランドおばちゃんはにっこり笑ったわ。
私達もつられて笑顔。
良い人ね。

私達はしばらくランドおばちゃんと雑談で盛りあがったわ。


数十分後 sideシルク

ランドおばちゃんとの会話、楽しかったわ。
きっと仲良くなれるわね。

そして、私達は今、一軒のショップの前に来ているわ。

「シスさん、トランスさん、今日は何かオススメはありますか?」

フライは二匹のカクレオン、片方は色違いね、に話しかけたわ。
この人達がきっと昨日言ってた人ね。

「フライさん、いらっしゃい!」
「今日は[睡眠の種]がお買い得だよー!」
「じゃあ、3つ、もらおうかな?」

フライはポーチから450円……いや、ポケを取りだしたわ。
定価はいくらなのかしら?

「まいどありー!」

普通の色の方が威勢良く言ったわ。

「ところでフライさん?彼女は?」

今度はもう1人が私の方を見て言ったわ。
2人とも、初対面だから、自己紹介しないとね!

「私はエーフィーのシルク、フライと同じで考古学者をしているわ。」

今日2回目の自己紹介、もちろん笑顔でしたわ。第一印象が肝心だからね。

「シルクさん、お願いしますね!」

ええ、こちらこそ、よろし………

「噂は本当だったんだ〜。本当にいたんだ〜。」

……くお願い……?

「「!?」」

突然声がして、私達は驚いて振り返ったわ。
突然だったから、フライ、声が裏がえっていたわよ?

振り返ると、一匹のミズゴロウ。彼がよんだのね?

「ボク達のこと?」「私達の事かしら?」
「はい。シルクさんにフライさん、ぼくを弟子にして下さい〜!」

そうそう、私達にいろいろ教えてもらって…………!!?

「「えっ!?今、何て言った!?」」

今、弟子にしてって言ったわよね!!?
それに、どうして私達の名前も知っているのよ!??

「ぼくを、弟子にしてください!ぼく、伝説とか歴史に興味があるんです〜!」

気持ちは嬉しいけど………、

「ところで、君は?」

フライが目の輝きが眩しい少年に聞いたわ。

「あっ、ぼくはミズゴロウのウォルタです。」
「ウォルタ君?あなた、学者を志しているのね?」

嬉しい事だけど、私達は過去のポケモン。まだこの時代の事も把握出来てないのに……。

「うん。各地の伝承について調べて旅するのがぼくの夢なんです〜!」

!? この子……まるで旅を終えた時の私達をそのまま投影しているかのよう……。

「いやー弟子は………」
「フライ、私はいいと思うわ。“夢は叶えるもの”でしょ?私達には事情があるけど、叶えてあげるぐらいはできるんじゃないかしら?フライ、出逢った当時のあなたみたいにね。」

フライは乗り気じゃないみたいだけど、私は構わないわよ。

ある時の私達と重なって…………。

「いいの〜?」「でも、シルク、ボク達は……。」
「わかってるわ。この子、私と重なるところがあって、放っておけないのよ。もし、戻る方法がみつかったら、引き継ぐ人がいないでしょ?」

私はフライの言葉を遮って、諭す。

「………………シルクがそういうなら、そうするよ。うん、そうしたほうがいいよね?わかったよ。」

フライ、私のわがままを聞いてくれてありがとう。

「うん、ウォルタ君だったね?君を弟子、いや、仲間として受けいれるよ。」
「本当に〜!?ありがとうございます!!」

ウォルタ君は溢れんばかりの笑顔でよろこんだわ。

「ウォルタ君、いろいろ教える前にいくつか話しておく事があるから、海岸に来てくれるかしら?」

仲間になるからには、私達の事を知ってもらわないとね。

「話〜?うん、わかったよ〜。」

私達は、ウォルタ君を連れて日差しが強くなり始めた海岸に向かったわ。
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