絆の軌跡〜過去と未来の交錯〜

□巻之七 真実とは
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参拾参 真実、覚醒

西暦7000年 誘いの坑道北 sideウォルタ

「「目覚めるパワー]、[シャドーボール]!」
「[ドラゴンクロー]!」
「[水の波動]〜!」

「「「っ!!」」」

シルクは2つの技を混ぜて、フライは青黒いオーラで相手を切り裂く。
ぼくは[水の波動]で相手を混乱させる。

相手に命中して、4体中3体が倒れた。

やっぱり、シルクとフライは凄いよ。
だって、ぼくはここでは2体に一体ぐらいしか一発で倒せないのに、シルク達は確実に倒せているんだよ!

ぼくもシルクとフライみたいに強くて賢いポケモンになりたいよ〜。

「シルク、フライ、あれいくよ〜!」
「ええ、わかったわ! 発散っ!」

シルクは留めていた黒いエネルギーで風を起こした。

うん、これで大丈夫だね。
ぼくのこの技は威力が高いけど、敵味方関係なくダメージを与えるから、あまり出来ないんだよね……。

「[地震]〜!」

ぼくが地面を踏みならすと、大きな横揺れが発生した。

「「くっ!!」」

ぼくの周りにいた相手が一斉に倒れた。

………本当は少しずつシルク達がダメージを与えていてくれてたんだけどね…。

「ええっと、とりあえずは落ち着いたかな?」

一応は、いいかな?

「そうね。 私もバトルの感覚感覚を取り戻せたし、丁度良かったわ。」
「ボクも、技の確認も出来たから満足だよ。」

2人とも、1ヶ月のブランクが全く感じられないよ。

「やっぱり2人はすごいよ。だって、鈍るというより、むしろ強くなってるしね〜!」

本当に憧れるよ〜!

ぼく達は闘いながら出口を目指した。

………

誘いの坑道北出口 sideフライ

「あっ、もしかして、あれって出口じゃない〜?」

ボク達が薄暗い洞窟を進んでいると、待ちに待った光、薄く差しこんだ光が眩しいよ。

「きっとそうね。行きましょ!」
「うん。やっと着いたよ。」

言うや否や、シルクとウォルタ君は上機嫌でかけていった。

シルクは年の割に大人びているから、ああやってはしゃいでいるところを見ると安心するよ。きっとシルクは大人だと思っている人は多いんだろうなー。

「あっ、待ってよ!」

ボクはおいてかれそうになったから、慌ててその後を追いかけた。

数分後

「うわっ、凄い景色!」
「絶景ね!」
「つい見とれてしまうよ〜。」

洞窟を抜けると、見事な光景が広がっていた。

青く澄み渡った空に白い雲のコントラスト……、

それにくわえて、木々の緑が映えているよ。

それらを背景にひときわ大きな山がそびえ立つ………。

まさに写真家がないて喜ぶ光景だよ。

「坑道を越えた先にあるって言ってたから、あの山の山頂がきっと[真実の頂]だね。」

情報屋のフラットさんが言っていたことだから、確実だね。

「ええ、きっとそうね。」
「ぼく、一度でいいからここに来てみたかったんだよね〜!」

「早く行きたいところだけど、ボク達は病み上がりだから、そろそろ休憩をとろっか?」

ボクは絶景に見とれている2人にこう提案、……なにしろ、ボク達にとってはは1ヶ月ぶりの旅だからね。

「シルクの喉も心配だし……。」

シルクはまだ完全には治ってないから……。

「…………、わかったわ。フライの気遣いを無視するわけにはいかないわね。 なら、そうするわ!」

シルクはボクを見てにっこり微笑む。

シルクはよく無理をするから、きっと1ヶ月前も……。

「じゃあ、この辺で休もっか〜。」

うん。

ボク達は、適当な陰を見つけて小休憩をとった。


数分後 sideシルク


ここ、本当にいい景色ね。
私が長年旅してきていろんな絶景を観てきたけど、この光景は5位以内にはいる光景よ。


「改めて言うけど、本当にいい景色だね。」

フライが林檎にかじりつきながら、感嘆の声をもらしたわ。

「うん。ぼく、この景色が気に入ったよ〜。」

ウォルタ君も感想を………

「あれ?この辺では見かけない種族……。誰だろう?」

………いい……?

研ぎ澄まされた私の聴覚が、遠くの誰かの声を捉えた。

私は声がしたほうに目線をやった。

ええっと、黒い毛並みで小柄なポケモン………、あの種族は[ゾロア]ね?

「あれ?シルク?どうしたの〜?」

私の様子に気付いて、ウォルタ君は不思議そうに私に聞く。

「遠くで誰かの声がしたのよ。……あっ、ちょうどその人がこっちに来たわ。」

遠くで足音、風をきる音………、走って来てるわね。

「シルク?あの人のこと?」

フライが彼?の存在に気付いたわ。

「ええ。きっとあの子はたぶん私達と同じでまだ未成年ね。」
「こんな所で何をしているんですか?」

声からすると、彼は私達の所にたどり着いて、疑問を投げかけたわ。

「ダンジョンを抜けてきたから、少し休憩をね。」

私は笑顔で少年の問いに答えたわ。

「えっ!?ダンジョンって、[誘いの坑道]を抜けてきたの!? もしかして、あなたたちって、探検隊なの!?」

ゾロアの彼が目を輝かせて言ったわ。

でも、私達は違うのよね……。

「いいや、残念ながらボク達は学者だよ。」
「ぼくはまだ見習いだけどね〜。君は〜?」

フライ達も答えたわ。

「そうなんだ……。あっ、おいらはゾロアのルアン、年は15で、この近くの村に住んでいるんです。」

一瞬表情が曇ったけど、ゾロアの彼、ルアン君は元気よく自己紹介したわ。

「よろしくね〜。ぼくはミズゴロウのウォルタ、13歳だよ〜。」

ウォルタ君は、右前脚をだしてルアン君と握手を交わしたわ。

「ボクはフライゴンのフライ。考古学者をしているよ。 ルアン君、ボクは何歳に見える?」

簡単に紹介すると、フライは彼に問題をだした。

きっとはずれるわね…。

「身体はおおきいし、声も低いから………、22歳ぐらい?」
「いいや、ボクはもう最終進化だけど、まだ16だよ。」
「えっ!?おいらとほとんど変わらないの??」

ルアン君は驚きで声が裏がえった。

「そうよ。 私はエーフィーのシルクで、私も同じ考古学者よ。ちなみに、私の年は19よ。」

私も笑顔で答える。

「えっ!?きみも??」
「そうよ。だから、敬語は使わなくていいわよ。」
「ぼくのほうが年下だしね〜。」

そのほうが、[絆]が深まるでしょ?

「うん。なら、そうさせてもらうよ。」

私達もルアン君と握手を交わしたわ。

また1つ、[絆]の橋が架かったわ。

………

真実の頂4合目 sideシルク

ルアン君と話しているうちに、いつの間にか山を大分登ったわ。

えっ?何でこうなったのかって?

あの後、私達は[真実の頂]の神社に向かっている事を話したら、ルアン君もちょうど行くところだったらしいから、一緒に行くことになったのよ。

ルアン君のお父さん、その神社で神主をしているらしいわ。

道中で私達の出身の街の話とか、趣味とか話しながら登ってたのよ。

……もちろん、私とフライが5000年前のポケモンであることと、私が[絆の従者]であることを伏せてね。

「へぇー。一回行ってみたいなー。」

残念ながら、私とフライの故郷には来れそうにないわね………。

「ルアン君?ルアン君って夢とかあるの〜?」

ウォルタ君は、ここで話題を変えたわ。

「おいらは、とりあえず父さんの仕事を継ぐ事かな?おいら、一人っ子だし……。」
「ぼくも兄弟はいないよ。 ぼくの夢は、歴史に埋もれた[真実]をつきとめることだよ。  実は、ぼくは母子家庭で、お父さんの顔を見たことがないんだよね……。だから、いつか父さんに会うことも夢かな?」

えっ!?ウォルタ君!?

「ウォルタ君、あなたにお父さん……いなかったのね……。私と境遇が似ているわ……。」

ウォルタ君、私はあなたをほおってはおけないわ!!

「えっ!?シルク!?」

ウォルタ君が振りかえる。

「今まで言ってなかったけど、私の両親は私が幼い時に亡くなったのよ。」

私は場の空気が悪くならないように、声のトーンを上げて言った。

「でも、仲間がいたからちっとも寂しくなかったわ。」

私は笑顔で語る。

本当はしばらくの間孤独だった事を隠すために……。

「…うん、やっぱり持つべきなのは信頼できる[仲間]だよね?」

フライが空気を読んでくれたわ。

………ありがとう。

………

真実の頂5合目 sideシルク

「ここがおいらの父さんが勤めている神社だよ。」

あれからしばらくして、社らしき建物がみえてきたわ。

「あれ?頂上じゃないんだね?」

フライがルアン君に聞いた。

ここまでダンジョンも何もなかったから、私もまだまだ先だと思ったわ。

「うん。昔は頂上にあったみたいなんだけど、何百年か前に移動してきたんだよ。ここから先はダンジョンになっているから。」

………よく考えたら、そうよね。
ここは人気の観光名所って言ってたから、ダンジョン化していたら一般の人は来れないわよね。

「へぇ〜。でも、どうして今日は人が少ないの〜?」

確かに、人が疎らね。

「ちょうど今日は月に一度の閉山日なんだよ。 父さんー!来たよ!」

なるほどね。
ルアン君は社に向けて声を張り上げた。

しばらくすると……

「ルアン、お前が来るなんて珍しいな。」

ゾロアークが姿を表したわ。
当然と言えば当然だけど……。

「ちょっと気分的にね。」
「だが、その人達は?」

その人の視線が私達に向けられる。

「山の麓でできた友だちだよ。」
「私はエーフィーのシルクです。」
「ぼくはミズゴロウのウォルタ。」
「そして、ボクはフライゴンのフライです。」

私達は簡単に自己紹介………、これで今日は2回目ね。

「そうか……。ん?ウォルタ君?だったかな?君の鞄から光が漏れているが……。」

「「「「え?」」」」

私達はその人に指摘され、声を揃えた。

確かに………何かが光輝いているわね……。

「本当だ〜。取り出してみるよ〜。」

ウォルタ君は鞄の中を探りはじめた。

「うわっ!凄い光!!」

鞄からひときわ輝く丸い石が取り出された。

「もしや、それは[ホワイトストーン]!?」

でも、どうして[ホワイトストーン]が!?

……………あっ!!もしかして………

「ここは[真実の頂]………、それゆえに、ここの神社は[真実]にまつわるものが奉られているはず……。そして、ウォルタ君は持つ石は[ホワイトストーン]。これは[レシラム]が姿をかえたもの………。[レシラム]は[真実の使者]…………。」

ってことは………………この現象は………、もしかして………。

「[レシラム]が………覚醒するわ………。」

あの時も、建物の外から激しい光が差しこんでいたから、確実に………。

「えっ!?シルク、それはどういう……っ!!眩しい!!」

フライが言い終わる前に、[ホワイトストーン]の光が強さを増した。

………っ!眩しすぎて目が開けられないわ!!






…………………、収まった?

私は恐る恐る目を開けた。

…………!やっぱりね………。

「[真実]を求めし者よ。今、ここに、我が身、覚醒せん!」

そこに、白く、美しい毛並みを持つ、大きなドラゴンポケモン、[レシラム]が舞い降りた。

「まさか…………代々語り継がれている伝説のポケモンが見られるなんて………。」
「凄い………、カッコイい〜。」
「このポケモンが、[レシラム]……?」

ルアン君、ウォルタ君、フライの順番にいったわ。

知らないのも当然ね。

「汝はこの時をもって、[真実の英雄]に任命された………。」
「えっ!?ぼくが〜!?」

レシラムは、ウォルタ君を見おろして言ったわ。
………とうとうこの時がきたわね……。

「そうだ。我が名は…………」
「シロさん、久しぶりね。 あっ、シロさんにとっては5000年ぶりね。」

「「「「「!!?」」」」」

私の思いがけない言葉に、一同は騒然とする。

この際、私の正体を明かそうかしら?

「何故拙者の名を………」
「私も[英雄伝説]の当事者なのよ。18代目、[絆の従者]と言ったらわかるかしら?」
「18代目………確か[真実]が8代目の時……。」

シロさんが考えこむ。

「えっ!?シルク!?」

ルアン君が驚いて聞いた。

「この際、打ち明けると、私とフライはタイムスリップして5000年前から、この時代に来たのよ。そして、私は18代目の[絆の従者]よ。」
「…………確かに、18代目の種族は[エーフィー]、なら、[テレパシー]が使えるはず……。」

つまり、証明すればいいのね?

《ええ、確かに、使えるわ。》

「「!?」」「汝の言、誠だな……。確かに、確認した。」「あの後の事はクロさんから聞いているわ。」

「…………」

フライと私、シロさんを除いて、残りの三人は目が点になっているわ。

……………、無理ないわね。
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