絆の軌跡〜過去と未来の交錯〜

□巻之拾壱 残された秘宝
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伍拾七 再調査

西暦7000年 ギルドB2F sideウォルタ

「……えー、ということで、今日は[水晶の洞窟]に向かうよー♪」

「「「「「おー!」」」」」

一夜明けて、ぼく達は準備をするために散り散りになった。

………シルクが予想した通り、やっぱりシャドウさん………、いや、シャドウは未来のポケモンだったよ……。

ということはつまり、チェリー達を追っているのは確実だよ。

シロからの情報だと、シャドウには何匹かの手下がいるみたい。

……万が一戦闘になったら、手下達が加勢するかもしれない………。

そうなると、チェリー、グラスさん、………、奴は気づいているのかわからないけど、ラテ君にも危険が及ぶ……。

特にラテ君は自分の正体を知らないはずだから尚更。

………もし、グラスさん達とシャドウが鉢合わせしたら戦闘は確実に起こる……。

[真実]を知っているぼく達……、特に[真実の英雄]のぼくが遭遇を阻止しないと!

そのためにも、2人のうちのどっちかと合流しないといけない!!

「フライ、ウォルタ君、私達で絶対にシャドウの企みを阻止しましょ!」

シルクがぼく達に真顔で語りかける。

「もちろんだよ!」
「[真実]を知っているのはぼく達だけだから、言われなくてもそのつもりだよ〜!!」

ぼく達は大きく頷いた。

もちろん!

[真実]を背負う者として……、絶対に……、阻止してみせる!!

ぼく達は右手、右前脚を重ね合わせた。

「[絆]の名に賭けて………、いくわよ!!」

「「うん!!」」

ぼく達はいつも以上に団結した。

…………ぼく達の[未来]を守るために………。

………

水晶の洞窟 浅奥部 sideラテ

「ブラウンさんが言った通り、本当に綺麗なところだね!」
「うん。こんな景色、初めてだよ!!」

僕達は、あまりの光景に感動で声のトーンがあがった。

赤、青、緑、黄色……、色とりどりな鉱石が光り輝いているよ……。

ここがダンジョンってことを忘れそうになるくらい見とれてしまうよ………。

「……あっ!ラテ!さっそくきたよ!」

ベリーの言葉で僕は幻想的な世界から帰還した。

……相手は[ゴローン]と[ゴルバット](出現ポケモン、忘れました。by@)。相性はイマイチだね……。

「うん。相性はイマイチだから今回は道具を使って一気にいくよ!!」
「うん!!」

僕はバッグから[爆睡玉]を取りだしながらベリーに伝えた。

………さあ、いくよ!!

玉の発動と共に、戦闘の烽火(のろし)があがった。

相手はたちどころに睡魔に襲われる。

「[火炎放射]!」「[シャドーボール]!」

ベリーは[ゴルバット]に向けて燃えさかる火炎を、僕は[ゴローン]に向けて漆黒の弾を放った。

僕達の技は命中。相手の体力を大幅に削った。

「ベリー、次はあれをいくよ!!」
「うん、任せて!」

次に僕は、[鉄の棘]を取りだした。

それを僕は撃ちだした。

「[炎の渦]!」

ベリーがそれにリング状の炎を纏わせた。

「[真空切り]!」

そして僕が空気の力で2つに切り裂く。

炎の刃は真っ二つに別れ、それぞれ斜めに軌道を変えた。

「「っ!!」」

赤の細針が命中し、相手に高温の炎がまとわりついた。

二秒もすると、相手は二体とも崩れ落ちた。

……これが僕達、“悠久の風”の連携技だよ。

飛距離の短い[炎の渦]を[鉄の棘]に纏わせる事で飛距離が改善される。

そして、僕の[真空切り]でダメージを受けずに分裂させることができる。

この技で数々のお尋ね者を捕まえてきたよ。

「……とりあえず倒せたから、先に進もっか!」
「うん!ベリー、気を抜かずに行こう!!」

僕達は、高まる志気をそのままに、まだ見ぬ世界への扉を目指した。

盗賊の[ジュプトル]を捕まえるために!!

………

数十分後 浅奥部 sideシルク

「フライ、私達は今日は極力エネルギーを、ウォルタ君はPPを節約していくわよ!!」
「もちろん、」
「そのつもりだよ〜!!」

私達は、姿を現した敵に注意を向けた。


………えっ?どうして私達とウォルタ君とでは違いがあるのかって?

……今まで説明しなかったけど、5180年代にあった[終焉の戦]の影響よ。

その前後では、技の使用回数についての性質が変わるのよ。

きっと、大量に使用された兵器のせいね。

私、フライ、シリウスみたいな[終焉の戦]以前のポケモンは、全ての技でエネルギーを共有しているのよ。
容量が多い代わりに、使い切ると全ての技が出せなくなる弱点があるわ……。

対して、[終焉の戦]以後のポケモンは、技それぞれでエネルギーの容量が独立しているの。
その代わり、各容量は少なめだけど、一つの技を使い切っても別の技を使う事ができるらしいわ。

説明は以上よ。そろそろ話に戻らないとね!

「2人とも、さっき渡した種を使って!![シャドーボール]、[ベノムショック]!」
「[猛毒の種]だね〜?」
「いつでもいいよ!!」

私は口元で漆黒と紫のエネルギーを混ぜ合わせた。

その間に、2人は毒々しい色の種を取りだした。

[猛毒の種]とは、私が最近開発したもので、食べることで毒状態にする効果を持っているわ。

製法は、[ただの種]があったら一番いいけど、無かったから、何でも良いから種を真水に浸す。
そこに少量の[オレンの実]の果汁を加えて電気を通しやすくする。
導線の代わりに[鉄の棘]を2本、先端だけ浸してそこに電流を流す。
すると、種の成分がイオン化されて抽出される。
この操作は【電気分解】を応用したわ。

抽出されて[ただの種]になった物を取りだして、私の場合[ベノムショック]を種に纏わせる。

その後、それを加熱しながら圧縮する。

3分ぐらい維持すると、[猛毒の種]が完成するわ。

話に戻ると、フライとウォルタ君は敵対している二体にそれを投げつけた。

それと同時に、私は暗紫色の弾を二発生成した。

時間差で発射し、それを4つに拡散させた。

それが命中し、相手の守りが軟化される。

そこに毒が襲いかかるから、倒れるのも時間の問題ね。

「よし、ひとまずこれで大丈夫だね〜。」
「ええ、そうね。私も殆どエネルギーを使ってないし、完璧ね!」
「うん。やっぱり、シルクも[化学]も凄いよ。」

フライが言い終わったところで、相手は技を出す前に力尽きた。

一応、攻撃技は使ってないわ……。

「相手も倒したし、先に進もうか。」

「うん!」「ええ、そうね。」

私達は、目的地に向けて歩みを進めた。

………

数十分後 中奥部 sideハク

「………ハク、これはマズいよ………。」
「そうやね……。一体一体はそうでもないけど、これだけいると厄介やな。」

ウチらは順調に進んどったんやけど、ここでまさかの足止め………モンスターハウスに入ってしまったよ………。

相手の数は10体……、しかもウチらは囲まれてるよ。

「シリウス、ここは全力でいかないと突破出来そうにないわね!!」
「……確かに。ここはゴールドクラスのダンジョン………、油断できませんね。[影分身]!」

ウチらは互いに背中を預けた。

シリウスは、5つの分身を作り出した。

「[竜の舞]!」

ウチは志気を高める。

「一瞬で片を付ける!![捨て身タックル]!」

5人のうち4人の分身が、相手に向けて四方に突進する。

「[アクアテール]!」

ウチは瞬時に尻尾に水を纏って、地面に打ちつける。

打ちつけると、尻尾の水が当たりに飛散する。

技の反動で、ウチは上空に投げ出される。

その瞬間、シリウスの技が命中し、分身達が消滅した。

「[かまいたち]!」「[10万ボルト]!」

ウチは高電圧の電撃を放ち、2人のシリウスは風の刃でそれを切り裂いた。

乱気流が発生し、電撃が不規則に拡散する。

10体中6体に命中し、そのうちの5体が力尽きた。

「[悪の波動]!」「[アクアテール]!」

間髪を入れずに、シリウスは黒い波を発生させた。

ウチは長い身体で勢いをつけて、降下しながら尻尾の水の鞭で一体に思いっきり叩きつけた。

その反動でまた投げ出される。

宙に舞ったその時、シリウスの波が相手を襲う。

ここで3体が崩れ落ちた。

「ハク!!あとは頼んだ!!」
「任せて!![逆鱗]!!」

シリウスは巻き込まれないように一歩下がり、ウチは竜の猛攻を開始した。

ウチは[キーの鉢巻き]をしてるから、思いっきり技を出せるんよ!!

1体目、

「!!?」

尻尾で打ちつける。

2体目、

「っ!!」

身体をくねらせ、腹の辺りで突撃する。

最後、3体目、

「ぐっ!!!」

頭で思いっきり頭突きを食らわす。

3体目にヒットしたのを確認すると、ウチは技を解除する。

技を当てた相手はほぼ同時に崩れ落ちた。

「…………危機は脱しましたね……。」
「そうやな。 新手が来やんうちにすすもっか!」
「………そうですね……。」

ウチらは足早にこの場を立ち去った。

あっ、ウチには動かす脚がなかったね!
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