絆の軌跡〜過去と未来の交錯〜

□巻之拾弐 たいせつなひと………
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六拾参 処刑

西暦7200年 牢獄 sideラテ

「ええっと、確かシャドウさんに呼ばれて………。」

僕はさっきまでに起こった事を記憶を頼りに探りはじめた。

「……突然シャドウさんに掴まれたよね?わたし達?」
「で、そのまま引きずり込まれた………。「えっ!?ってことは……もしかして……。」」

数分考えて、ある結論にたどり着いた。

「「ここって、[未来]!?」」

僕達は顔を見合わせ、声を揃えた。

嘘でしょ!?

ジュプトルならわかるけど、なんで僕達まて[未来]に!?

「あの渦に引き込まれたってことは、絶対にそうだよ!!」
「うん。でも、どうして僕達まで………。」

時代はわかったけど、ここは一体どこ!?

薄暗いし、鉄格子の引き戸がある以外何もない………。

……………まるで牢屋みたいだ……。

でも、牢屋って悪い事をした人が入れられる場所のはず…。

僕達は探検隊“悠久の風”として沢山の人達を助けてきたのに、どうして………?

それに、僕達は現代のポケモンのはずなのに、どうして………。

「…………目が覚めたか……。」

僕が思考を巡らせていると、金属が擦れる音と共に扉か開いた。

「!? なに!?」
「僕にもさっぱりわからないよ!?」

この部屋唯一の入り口から4人のの[ヤミラミ]が入ってきた

「大人しく来い!」
「!?目を塞がれた!?」
「何も見えない!?」

突然、目を何かで覆われた。

!?

「っ!?押さないでよ!!」
「痛っ! 僕は後ろ脚を蹴られた!」

僕達はまるで腫れ物のように誘導された。

これだとまるで、囚人………。

僕達がなにをしたっていうの!?

僕達は寧ろジュプトルを捕まえようとしていた側なのに!?

僕とベリーは、訳がわからないままどこかに誘導された。

………

同刻 sideグラス

「クソっ!あと少しだったのに……。」

俺は気がついたら、ロープで縛られ、天井から吊されていた。

腕まで縛られて何も出来ん!

それに、初めて戦ったが、シャドウ、強過ぎるだろ!!

俺のPPが無くなるまで散々いたぶった挙げ句、[ヤミラミ]共に集中攻撃された。

卑劣は戦法でかかってくるとは思っていたが、ここまでとは………想定外だ………。

俺は歯を食いしばった。

…………チェリー、ラツェル…………すまん……。


俺が無念さに打ちひしがれていると、鋼鉄の扉が音をたてて開いた。

すぐに[ヤミラミ]達が姿を現した。

「処刑の時間だ。[縛り玉]!」
「くっ!!」

狭い部屋に入るとすぐに、玉の効力を俺に向けた。

たちどころに俺の自由は奪われた。

「[切り裂く]!」

俺が拘束されたのを確認すると、別の一匹が高く跳び、俺を吊していた縄を切った。

「っ!!」

重力に引かれ、俺は地面に叩きつけられた。

「[金縛り]!」
「くっ!!」

更に縛られ、縄、玉、技による強烈な痛みに襲われた。

俺は思わず顔を歪める。


俺はこのまま為す術がなく、護送された。

この先に待ちかまえているのは処刑か?


………

数分後 処刑場 sideグラス

俺は大部屋に誘導され、一本の柱に縛りつけられた。

ここに到着すると、技の一つが解かれた。

だが、きつく結ばれて身動きがとれない……。

「…………だから、放してください!!」
「わたし達が何をしたっていうの!?」
「いい加減黙れ!!」

奴らが俺の周りから離れた頃、広い部屋に3つの声が響いた。

最後のは[ヤミラミ]だとわかったが、残りは誰だ?

………最近聞いたような気がするが……。

こいつらも、俺と同じように縛られた。

「目隠しが外された!」
「でも、どうして僕達が……。」
「わたし達は何も悪い事はしてないのに……」
「シャドウの気に障る事をしたんじゃないのか?」

おそらく、[イーブイ]と[アチャモ]の会話に口を挟んだ。

「「!? ジュプトル!?」どうしてあなたがここに!?」

「おそらく、処刑されるところだろう…。」「シャドウ様、処刑の準備が整いました。」

「「処刑!?」」「………ご苦労だった……。」

俺達が口論をしていると、事の元凶が姿を現した。

「シャドウさん、わたし達だよ!!気づいて!!」」「奴らを縛り付けました。」

「……今のシャドウは目的のためなら手段を選ばない奴だ。だから、何を言っても無駄だ。それより、ここからは小声で話せ。」「……よし、よくやった。…」

「小声で?」
「そうだ。 とにかく、今はここから逃れる方法を考えろ。」
「技の準備は出来ているな?」

「手段?手段って、どうやってですか!?」「もちろんで御座います。」

「[ヤミラミ]は攻撃の時、8割ぐらいの確率で[乱れ引っかき]を使う。それは無差別に対象を切り裂く。」「いつでも執行可能です。」

「そっか!もし縄に当たった、ロープが緩む。その時に攻撃すれば、逃げられますね!」「シャドウ様、御指示をお願いします!!」

「でも、もし[乱れ引っかき]を使ってこなかったらどうするの!?」「では、始めろ。特にグラスには重点的にな!!」

「その時はその時だ!!」「「「「ウィーーー!!」」

作戦会議が終わると同時に、奴らが技のために身を構えた。

………信頼した訳ではないが、耐えるんだ!!

「「「「[乱れ引っかき]!!!」」」」

「「「くっ!!」」」

[ヤミラミ]達は容赦なく俺達に切りかかる。

「今は…………耐えるんだ!!」

大ダメージを受けるが、これは想定内。

「………あっ!縄が緩んだ!」
「僕も!」
「よし、今だ!!

斬撃は縄に命中し、俺達を拘束する力が弱まった。

このタイミングを逃す訳にはいかない!!

俺達は隙をついて奴らに捨て身で攻撃する。

「「「「!!?」」」「何っ!?」

俺達に不意を突かれ、奴らは吹っ飛んだ。

「これでも食らえ!!」

俺は隠し持っていた[光玉]を発動させた。

その隙に、こいつらと共に身を地中に隠す。

「[光玉]を目くらましに!?すぐに収まる!!」

奴の声がこだまする。

「「!? 消えた!?」」
「まだ近くにいるはずだ!!追え!!」

黒の悪魔が悔しそうに叫ぶ。

すぐに走る音がして、やがて辺りは静まりかえった。

よし、ひとまず危機は去ったな。

俺達は地上に帰還した。

……………よし、誰もいないな……。
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