絆の軌跡〜繋がりの導き〜

□第2章 平和な時が流れる町
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7 LS 再会

夕方前 トキワシティー付近 sideシルク

シルク《大分良くなってきたわね。》
コロナ〈本当に!?〉
ショウタ「って事は、次のジムも……。」
シルク《ええ。きっと大丈夫よ!》

2時間以上にも及ぶ私の個別指導が功を征して、新人トレーナーのショウタ君の判断力と、コロナちゃんの動きが良くなったわ。

……えっ?何で指導しようと思ったのかって?

……ただの[絆]の気まぐれよ!

教えるのか好きってのもあるかもしれないけど、今日は[トキワ]シティーに泊まる予定だったから丁度良かったわ。

私は、彼らの好評をしながら笑顔を振りまいた。

ちなみに、ついでだから彼女の名前を彼に伝えたわ。

コロナ〈シルクさん、今日はありがとうございます!〉
シルク〈こちらこそ、初心に帰れて楽しかったわ!〉

私は一回微笑んで、目的の町を目指して歩きはじめた。

ショウタ「………行っちゃう前に1つ聞いてもいいかな?」
シルク《ん?どうかした?》

突然呼び止められ、私は振りかえった。

ショウタ「君は野生なのにどうしてそんなに強いの?」

実は、私はトレーナーのポケモンだって事を伏せてここまで教えてきたわ。

ジムを巡るつもりって言ってたから、また会える可能性は少ないと思ったのよ。

私達、もうこの地方のリーグは制覇しているから!

だから今私達は何かいい研究テーマがないか個々に行動しているって訳。

シルク《なら、試してみる? 空の[モンスターボール]を出してくれるかしら?》
ショウタ「えっ?うん!」
コロナ〈って事はもしかして、わたし達の仲間に……?〉

私に二つの期待を乗せた視線が向けられた。

……ちょっと、申し訳ないけど………。

ショウタ君は自分の鞄からそれを取りだした。

ショウタ「じゃあ、いくよ!」

そう言い、振りかぶってそれを投げた。

弧を描き、私をめがけて飛来する………。

コツって音がし、ボールの機能が作動……………

せずに弾かれる。

ショウタ・コロナ「〈えっ!?〉」

シルク《ここまで黙ってたけど、こういう事よ。 実は私、3つ星トレーナーのポケモンなのよ。》

期待させちゃったから、申し訳ないわね……。

ショウタ「3つ星の!? 1つとる事でさえ難しいのに!?」
コロナ〈………だから、あんなに強かったんだね……。〉
シルク《そう。………だから、私はこの辺で失礼するわね。……ジム戦、頑張ってね!》

そして、私は負い目を感じながら、逃げるように立ち去った。

……………

トキワシティー ポケモンセンター前 sideシルク

シルク〈……さてと…、センターのソファーを借りれるように頼みに行こうかしら?〉

ちょっと予定より遅れたけど、着いたわね。

日が少し傾いてうっすらと色づき始めたから、4時半ぐらいかしら?

私はセンターの入口の前に歩み寄り、そこをくぐ………

???「ティル、ジムに行こっか!」
ティル〈うん!〉

…ろうとした時、1人の少女と彼女のポケモンとすれ違った。

!!

彼女は、もしかして……!!

私はまさかの出会いに立ち止まり、振りかえった。

彼女も同じ事を思ったらしく、同じ行動をした。

シルク・ライト〈ライト!!久しぶりじゃない!!元気だった!?〉「シルク!!まさかこんなに早く会えるなんて思わなかったよ!!」

やっぱり気のせいじゃなかったわ!!

一年ぶりの再会に、自然と私達の声のトーンがあがった。

シルク〈本当にそうね!!ライトはどうしてこの地方に?〉
ライト「目の色も変えれるようになったし、お兄ちゃんに文字も教えてもらったからわたし、トレーナーになったんだよ!!」

ライト、トレーナーになったのね?

自然と会話が弾む……。

シルク〈言われてみれば、黄色から変わってるわね!〉
ライト「でしょ!? オルトに聞いたんだけど、シルク達はそれぞれで研究テーマを探してるんでしょ?」
シルク〈オルトに会ってたのね?そうよ!〉

そういえばオルト、書類をイッシュのアロエさんに届けに行くって言ってたわね。

って事は、帰る船で会ったのかしら?

………きっとそうね!

ティル〈……ライト?この[エーフィ]とは知り合いなの?〉

私達が盛り上がっている横で、ティルという彼が不思議そうに聞いた。

………確か、[フォッコ]だったかしら?

会うのは初めてだけど……。

ライト「うん![シルク]っていう名前で、わたしにとって友達であって師匠でもある存在かな?」
シルク〈らっ、ライト、師匠は言いすぎよ!〉

私の頬が若干赤くなった。

ティル〈ライトの………?〉
シルク〈主従関係は嫌いだけど、第三者から見るとそうなるわね。私、トレーナーのポケモンなんだけど、ライトとは私の仲間、トレーナーと旅した事があるのよ。………で、ライトはこの町にいるって事はジム戦かしら?〉
ライト「うん!ちょうど今行こうとしてたところなんだよ!!」

ライトは揚々とした様子で言った。

シルク〈そうだったのね? ちなみに、ここのジムは虫タイプよ。〉

彼のタイプなら、きっと簡単に攻略できるわね。

ライト「虫タイプなんだー。ティルとは相性がいいね!」
ティル〈う、うん!そうだな!特訓もしてもらったし、楽勝だよ!!〉

ティル君は自信満々に答えた。

活気があっていいわね!

十分に実力があるライトに教わっているなら、期待できそうね!!

シルク〈ライト?……あなた達の初戦、見せてもらってもいいかしら?〉

私は盛り上がっているライトとティル君に訊ねた。

ライト「えっ?うん!いいよ! ……でもシルク?予定とかは………」
シルク〈今日の予定は全部終わってるから、大丈夫よ!〉

ライトの言葉を遮り、私はとびっきりの笑顔で答えた。

この後暇だから、ついていくわ!!

ライト「そつか!なら、行こ!」

ティル・シルク〈うん!!〉〈ええ!〉

そうね。暗くならないうちに行きましょ!


私達は、宵の空に変わりつつあるジムに向かった。

ライト、ティル君、頑張ってね!!
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