一対の光
□第2話 翔の秘密
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01 昼過ぎ 西沙 Side翔
B「今日はありがとうございました。」
あの後、特に苦戦することもなく順調に進んで、予定通り目的の街へとたどり着いた。
到着したその街は同盟を結んでいる榎の国から最も近く、そことの交易が盛ん……。
街を行きかう人々はその大半が商人で、そこから取り寄せた農産物や薬品を主な商品として扱っている。
琶の国のほうからも、技師を派遣して魔法や召喚獣による援助を行っている…。
この他にも、豊富な財源、資源を持っていているため、敵国の幃の国が征服しようと虎視眈々と狙っている。
琶の国にとっても無視できない事だから、交代で術士と召喚士を警備兵として派遣している………。
…途中で話が琶の国の対外関係になったけど、琶と榎の関係はこんな感じだよ。
……で、話を[西沙]に戻すと、この街には術士や召喚士も頻繁に訪れ、ここでしか買えない備品を揃えている…………。
だから、琶の国では[涼沙]と同じくらい賑わってる街なんだよ。
A「お兄ちゃん達って本当に強いんだね!」
翔「ううん、そんな事ないよ。」
凛「私達はまだ参等……、一番下の位なのよ。」
B「そうは見えなかったがなー……。」
フェニックス「クァ………。」
……何か良く見すぎだね……、この人たち…。
うーん…、…でも、無理ないかな?
だって、今日戦った獣は入隊したばかりの兵士でも簡単に倒せる程度……、だけどその事を商人は知らない。
…これが原因かな?
商人は「そんなはずがない!」といった感じで呟いた。
それに対して、僕達の事をよく知っている凛のフェニックスは「まだまだ甘いな…。」とでも言いたそうに首を横にふった。
…確かに、ニュアンス的にはフェニックスのほうが近いかもね……。
だって、僕達の連携は他の参等と比べてまだまだだし、動きと効率に無駄が多いから……。
毎日喧嘩してる有様だし…。
A「だって、お姉ちゃんは<フェニックス>連れてるし、お兄ちゃんだって左手だけで戦ってたんだよ!」
……本当は「使ってない」……じゃなくて、「使えない」からなんだけど……。
少年は目を輝かせながら言った。
…その感動の眼差しが凄く辛いよ……。
凛「確かにそうよね……。 何故かは話そうとしないから知らないけど…。」
……だからと言ってそこまで強調しなくてもいいじゃんか!
彼女は明らかに僕に聞こえるように呟いた。
翔「だから! 今日ちゃんと話すって!!」
僕はそのNGワードにかみついた。
B「2人とも、仲がいいんだねぇ?」
翔・凛「「良くない!!」」
昼下がりの商店街に2つの声が共鳴した。
フェニックス「クァー………。」
そんな僕達に対して、フェニックスは呆れたように声をあげた。