一対の光

□第3話 目覚める“ヒカリ”
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??? Side翔

翔「………っ?」

…………?

……僕って、あの後どうなったんだっけ……?

僕は背後に何かが触れているのを感じ、それと同時に意識を取り戻した。
ぼんやりとする意識のまま、僕はさっきまでの記憶を閉じられた瞳の中で探る……。

……ええっと、確か突風で崖に追いやられて……、足場が崩れて落ちたんだっけ……?


……という事は、ここは“あの世”……?

僕はまだはっきりしない意識で結論を出してから、ゆっくりと目を開けた。

翔「……黒……? ……ここはどこなんだろう……?」

……?

……あれ?

目を開けたその先には……辺り一面の漆黒……。

“自分”という存在以外の全てが黒一色に染められていた。

僕は、疑問に囚われながらもゆっくりと立ち上がった。

???「…どうやら、目覚めたようね?」
翔「!!? 誰!?」

!!?
誰かいる!?

どこまでも広がる漆黒に、それとは対照的な澄んだ声が響いた。

……この声、どこかで聞いたような……。
……どこだったっけ……?

???「“あなたの中に住む、もう一つの生命”……と言ったらいいかしら?」
翔「“もう一つの……生命”……?」
???「ええ、そうよ。」

えっ!?
どういう事!?

姿の見えない声の主は、僕に意味深な発言をした。

???「言い換えると、翔、あなたがそうであるのと同じで、ウチも“呪われ”ている……かしら?」
翔「!? “呪われ”てる!?」

!?

翔「……でも、どうして僕の名前をしってるの!?」

そういえば、この声の主に会ったことないのに何で知ってるんだろう?

僕はその主に、ふと思った疑問をぶつけた。

???「それはあなたの中から12年間世の中を見てきたからよ。」
翔「!? 僕の中から!?」

……もう訳が分からないよ……。

???「そうよ。」

混乱している僕とは異なり、その声は落ち着いた様子で呟いた。

翔「……なら、君は誰なの!?」
???「……とうとうこの時がきたのね……。 …わかったわ。 …これもウチとあなたの“運命”……。 だからウチとあなたの全てを話すわ。」

!!?
僕じゃないのに、僕の事を!?

翔「!? なら、早く教えてよ!」

……僕の事はもう分かってる!!


………“死”んだ……んでしょ?

???「その前に、あなたに全てを受け入れる“覚悟”はあるかしら?」

……やっぱりね……。

翔「うん! ……だから僕はここにいるんでしょ?」

……そんなの、もうはるか昔からできてる!!

???「……分かったわ……。 ……{lic}!!」
翔「うわっ!!」

!!!
眩しい!!

突然発せられた強い光に、僕は思わず目を閉じた。


………?
おさまった……かな?

僕は恐る恐る、ゆっくりと目を開けた。

翔「!!?」

そこには、驚きの光景が広がっていた。

まず、ついさっきまでとは似ても似つかない一面の“白”……。
それがどこまでも広がっている。

そのいたるところに、青いエネルギー体のようなものが漂っている……。

………そして何より……、

翔「!? どうして<アクアドラゴン>がこんなところに!?」

東洋の神話に出てくるような………体長が3mぐらいで蒼い鱗を持つドラゴンが、僕を優しい眼差しで見下ろしていた。

???「<水竜>と呼んでほしいわ。 …それは12年前、ウチが物心つく前にあなたに噛みついたからよ……。 生まれてすぐにウチは実体を失った……。 つまり、ウチにも“竜牙の呪縛”がかけられてるのよ。」

!?
“竜牙の呪縛”を!?

僕の右腕と同じ色の鱗を持つ……、自称<水竜>は自身の事を赤裸々に告白した。

12年前って……、確か僕が子供の<ドラゴン>に噛まれたのと同じ……。

翔「………。」
???「紹介がまだだったわね。 ウチは<水竜>のルィソウ……。 あなた達の言葉で“川”を意味するわ。 声から分かると思うけど、性別は♀。 歳は12。 属性は水・光で波長はγ-@よ。 よろしくね!」

<水竜>……ルィソウと名乗った<ドラゴン>は思い出したように自己紹介した。

………<ドラゴン>にも性別………、あったんだ……。
それに、水のγ-@って、僕と同じだ……。
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