一対の光
□第4話 竜として
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01 精神世界 Side翔
ルィソウ「……と、こんな感じね。」
<水竜>の姿の僕は“ぼく”の姿のルィソウの話しに聞き入った。
……そっか……。
僕も凛も助かったんだね?
<シュエット>の群れも追い払えたみたいだし、本当によかったよ。
……それにしても、噂では聞いていたけど<竜>っていろんな魔法知ってるんだね?
さっきだけでも5つもあったよ。
翔「うん、わかったよ。 ありがとね。」
ルィソウ「こちらこそ! ウチも初めて風を感じて空も飛べたから感謝してもしきれないわ!」
…ルィソウ、本当に嬉しそうだね。
彼女は弾けんばかりの笑顔と共に笑った。
……元の姿では分かりにくかったけど、<竜>にもちゃんと表情があるんだね?
……ちなみに、それぞれの姿が変わっても声はそのまま。
…でも、よく見ないと分からないけど瞳だけは違う…。
人の僕は元々黒いけど彼女の鱗と同じ蒼色。
<水竜>のルィソウは蒼だけど黒くなっている……。
……ちょっと分かりにくかったかな?
…言い換えると、<水竜>の姿の僕は瞳が黒く、人の姿のルィソウは蒼くなっている……。
ルィソウ「翔、一応あなたにもいくつか魔法を教えておくわ。」
翔「でも、ルィソウが使ってた{rinaqua}はたぶん{r}系だし、凛に教えたっていう{nafal]}は炎属性でしょ?」
地面……って言ったらいいのか分からないけど、頭の位置が高い僕は見下ろし、彼女は見上げながら相手に言った。
……だって、僕の属性は水。
{r}系は弐等にならないと使えないから無理……。
{changent}はどれになるのか分からないし、{rilechangult}はそのさらに上の{rt}系……かな?
だから参等の僕には使えないよ……。
ルィソウ「そうよ。 …だから翔に教えるのは別の魔法。 {cure}、{wall}、{lic}、{nlik}の4つ。 どれも今まで翔が気づかなかっただけで使えなかった光属性……。 それも参等でも使えるものよ!」
翔「4つも!?」
そんなに教えてくれるの!?
僕はどこにあるのか分からない耳を疑った。
ルィソウ「まずは{cure}。 一言で言うと回復魔法。 浅い刺し傷程度の怪我と痛みを癒してくれるわ。」
翔「回復…? なら、僕達が使ってる{hiar}とは関係あるの?」
同じ回復魔法なら僕達も使ってるよ?
僕は元の姿よりも遙かに長い首を傾げた。
ルィソウ「もちろん、あるわ! 遙か昔、雷-光属性を持つ<竜>が人も使えるように{cure}から創ったってウチらの中では言われているわ。」
<変異種>しか持たないって言われている、雷属性の…?
翔「!? そうなの!?」
ルィソウ「ええ! だから、{hiar}は{cure}の劣化版になるわね…。 次に{wall}。 これはウチが使った{riwall}の強化元よ。」
翔「って事は、攻撃から身を守れるの?」
{riwall}は壁を作れるって言ってたから、そうなるよね?
彼女は黙々と解説を続ける……。
ルィソウ「そうよ! 3つ目は{lic}。 これは翔も見たはずよ? ここでウチと初めて会った時に使った閃光を放つ魔法……、あれがそうなのよ。 ……ここまでの3つは補助系の魔法……。 翔にとってピッタリの魔法ね。」
……ルィソウ?
一言多くない?
……確かに、補助魔法の{hiar}は得意だけど……。
そもそも僕の劣性波長は威力が低い@。
おまけに持ってる魔力が少ないのも原因なんだけど……。
ルィソウ「最後に{nlik}。 これは凛に教えた{nafal}の光属性版よ。」
翔「ええっと、何本かの属性の棘を飛ばすんだっけ? 亜種が偶に使ってる……。」
へぇー。
獣が使ってる技も魔法なんだ……。
ルィソウ「本数は違うけど、そういう事よ! 分かったかしら?」
翔「うん!!」
どれも役立ちそうな魔法ばかりだよ……。
{lic}は目くらましの代わりに使えばいいのかな?
僕は「ありがとう」って付け加えて、1mぐらいある長い首を動かして感謝の意を伝えた。
ルィソウ「……あっ! 言い忘れてたけど、{rilechanjult}を使ってから24時間は魔法の効果が続くから、人の姿に戻れないから!」
翔「はい!??」
今、何て言った!?
ルィソウ「だから明日の午後まではウチの<水竜>の姿で過ごして!」
彼女の言葉を聞き、青いエネルギー体しかない真っ新な空間に1つの驚きが反響した。