とある青年の物語

□第5章 伝説との遭遇
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AM11:50 フキヨセの洞窟最奥部

《その必要はない。》

突然声が響いた。

〈〈えっ、誰なの!?〉♪〉「誰だ……、こんな時に…。」
「誰だ!?ベル!?聞こえた!?」
「うん!頭の中に響いた気がするけど。」
「えっ、……2人も…聞こえたの!?」
〈これはテレパシーじゃあ、ないかしら!?〉「うん。でも、何でだろう?」
「ベル、噂で聞いたことがあるんだけど、ポケモンには数は少ないけど、テレパシーを使って意思伝達できる個体がいるらしいよ。」
「えっ、そうなの?」
《そのとうりだ。》
「「!! まただ!」」

突然一体のポケモンが姿を表した。神々しいオーラを放っている。

《その者の頭痛はすぐに収まる。》
「!!このポケモン、ただものではない!!」
「大丈夫って言ってるけど、ユウキくんの様子がヘンだよ。」
〈ユウキ!?本当に大丈夫か!?〉〈ユウキ♪体がヘンだよ。〉
「ううっ。」

突然ユウキの体がレンズの焦点がずれたように歪みはじめた。

《やはりな。》〈〈ユウキ!?〉〉

しばらくするとユウキの歪みは収まっていた。ピカチュウの姿になっていたが。

「えっ、ユウキさん!?」
〈僕って、……こんな風に…姿が…変わるんだ〉
「チェレン、ユウキくんはちょっとした理由でポケモンになってしまうの。変わっている過程は初めてみたけど……。」
〈ウチらも初めてだわ。〉
〈いつもは寝ている時に変わるからな。〉
《やはりあなた達でしたか。》
「「〈えっ!?〉」」
《[三賢者]の皆さん、お待ちしておりました。》
〈えっ、それってどういうこと?〉

エーフィーが質問した。

《申し遅れました。我はコバルオンと申します。》
「えっ、コバルオンって……」
〈伝説の…ポケモンだよね…。〉
「やっぱり、伝説のポケモンだ。」

チェレンは持っていた図鑑で調べて言った。

《そのとうりです。あなた達はこの地方に伝わる伝説をご存知ですよね。》
「うん。2人の王とゼクロムとレシラムの伝説だよね?」
〈それならウチらも知っているわよ。〉
(理想と真実を求めて…2つの国に分かれて対立したっていう
…話だよね〉

ユウキは少し落ち着いてきたようだ。
《そうです。でもこの伝説には語られていない続きがあるんです。》
「〈えっ、続き?〉」
《はい。要約すると、強い[絆]、[友情]、[志]で繋がった三人の賢者と守護神によって2つに分かれた国は和解したんです。》
「そんな話があったなんて……」
〈ところでその伝説とユウキ達と何の関係があるの〜?〉
《テラキオンというポケモンが[志]の守護、ビリジオンというポケモンが[友情]の守護、そして我の種族、コバルオンが[絆]の守護です。》
「「〈………〉」」

コバルオンは話を続ける。

《そのポケモンは私達の遠い先祖なんです。あなた達との関係は、まず、そこのあなたは人やポケモンとの[友情]を凄く大切にしていますよね?》
「えっ、私?そうだけど?なんでわかるの?」
《あなたとあなたのポケモン達から強い[友情]が感じられます。そしてあなたからは物事を成し遂げる強い[志]が感じられます。》
「えっ、僕が? 確かに絶対に成し遂げたい目標があるけど………」
《そして、ピカチュウとなったあなたは仲間と強い[絆]で結ばれていますね。》
〈えっ、はい。〉
〈でもなんで私達の[絆]の強さがわかったの?〉
〈根拠がないと信じられないな。〉
《そうですよね。言うのが遅れましたが三賢者は同じ村に住んでいたんです。》
〈ユウキ達と同じだね♪〉
《決定的なのが、[絆]の賢者はポケモンに姿を変えることが出来たんです。》
「「〈〈〈〈〈えっ!?〉〉〉〉〉」」
〈ってことはユウキ達と関係がある可能性が高いということか。〉
〈それより、ポケモンに姿を変えることが出来たって、どう考えてもユウキの事としか考えられないわ!〉
《はい。これがそう考えられる根拠です。》
「私達が賢者………。」
「でもどうして僕達が……国も分かれていないっていうのに………」
《その件ですが、私達がいるこの時代に理想を求める者と真実を求める者が同時に現れたんです。》
「〈えっ!?〉」
「〈ってことは伝説が現実で起こるかもしれないっていうことか………〉」
《はい。そういうことです。 私達守護者はそれぞれの賢者につくことになっているんです。》
〈そうなんだ〜〉
《あと、ユウキさん、あなた達に渡しておくものがあります。》
〈渡す物♪?〉

コバルオンはそう伝えると、3枚の布を取り出した(どこからかはなからないが)。

《これは私達に代々伝わる宝具です。そういえばまだあなた達の名前伺ってませんでしたね。》
「僕はチェレンと言います。」
「私はベルです。」
《そうですか。ベルさんにはこのsymbol of friendship 別名[友情の証]をお渡しします。》

そう言い、緑色の布をベルに渡した。

「私にそんなに大切なものを…」

《その布を腕に縛ってください。[友情の証]には心を許したポケモンの言葉がわかるようになる効果があります。 チェレンさんにはこのsymbol of resolution 別名[決意の証]をお渡しします。これには半径5メートル以内にいるポケモンの言葉がわかるようになる効果があります。》

そう言い、赤色の布をチェレンに渡した。

「僕にも…。」
《同じようにつけてください。 ユウキさんにはこのsymbol of bond 別名[絆の証]をお渡しします。自由に姿を変えられるようになる効果があります。どの宝具もつけてから3日間軽い頭痛の症状がでますが、きっとあなた達の役に立つでしょう。》

そう説明しながら青色の布をユウキに渡した。

《ちなみにそれはあなた達にしか効果がありません。あと、一度つけたら症状は出ないので安心してください。》
〈これでこの宝具の効果が実感できるでしょう。〉

コバルオンは伝達方法を切り替えた。

「本当だ。言ってる事がわかる……。」
「頭に声が響いてないのに………。」
〈きこえてるんだな。〉
「!?この声は誰?」
〈俺だ、コジョンドだ。〉
〈〈本当にわかるみたいね〉♪〉
「確かにわかる。」
〈ところでユウキはどうすればいいの〜?〉
〈確かに。僕だけ効果が違うし………〉
〈今の状態だと、ユウキさんの人間の姿を強くイメージしてください。〉
〈うん。〉

するとユウキの姿がまた焦点がずれたように歪みはじめた。

一分後

「………本当だ。元に戻ってる。」
〈逆の場合も同じです。 あと、[絆]は[絆]同士、[友情]は[友情]同士、[志]は[志]同士離れていても意思伝達ができます。  私から話す事は以上です。〉

ユウキ達はコバルオンの話を聞き終えた。

………

PM3:00フキヨセの洞窟入り口

「なんか大変な事になりましたね。」
「でもいいじゃん!ポケモンの言葉がわかるようになったんだし!」
〈伝説みたいな事がおこるまでは平和に過ごせるってことだな。」
「そうだね。」
(ユウキくんのポケモン達、心を許してくれてたんだ。嬉しいな。)
「僕も姿をコントロール出来るようになってよかったよ。」
〈そうよねー♪〉
〈あっ、そういえば何か忘れている気がするのは気のせいかしら。〉
〈何かする事ってあったっけ〜?〉
「……………あっ!」
「「〈水のジェル、届なきゃ!〉」」
「〈そうだった!すっかり忘れてた!〉」

ユウキ達は急いでホドモエシティーに戻るのだった。
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