一対の光
□第1話 左刀の双剣使い
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02 琶の国 Side翔
翔「……ふぅ、着いたついた。」
支度を済ませた僕は、腰に双剣を携えて相方の住む邸宅へと向かった。
伝統的な石造りの住宅街をまっすぐ歩くと、視界が開けるのと同時に立派な石垣が堂々と姿を現した。
その壁は中央に鎮座する、城にも似た豪邸を取り囲むようにそびえ立ち、その周りにただならない存在感を与えている………。
…そう、この豪邸が僕のパートナー……、凛が住む家。
僕が住む安アパートとは雲泥の差だね……。
翔「すみません、凛をお願いします。」
僕は自虐的な感想を心の奥底に押し込んで、この邸宅を警備する門番に話しかけた。
A「かしこまりました。」
そう言うと、二人いるうちの一人が門をくぐり、この彼女を迎えに行った。
……待っている間暇だから、凛の紹介でもしておこうかな?
彼女の歳は僕と同じで15。
彼女の家系は召喚士の名家で、一族の何人かは国の議会にも出席している…。
家系専属の召喚獣は、爆属性の威力がかなり優秀と言われている[フェニックス]。
凛自身も[フェニックス]と契約していて、戦闘が苦手な僕をいつもサポートしてくれている。
……男の僕が率先して戦わないといけないんだけどね……。
ちなみに、彼女も僕と同じで位は参等。
属性は炎で波長はδ-A.
こんな感じかな?
A「お待たせしました。」
…あっ、どうやら丁度来たみたいだね?
B「ふぁぁー………。」
さっき中に入っていった門番は、眠たそうな少女を連れて戻ってきた。
その彼女はどうやら起きたばかりみたいで、服が乱れている……。
髪のほうも、「今まで寝ていました!」とでも言うようにに荒れている…。
…正直、これから任務だからもっと早くおきてほしいね……。
…さすがにもう1年一緒だからもう慣れたけど……。
翔「…凛、何回も言ってるけど目覚まし時計、買ったら?」
凛「…うーん……、うるさいわね……、まだ食べてる最中じゃない……。」
……だめだ、完全に寝ぼけてる…。
凛は大きな欠伸をしながら呟いた。
翔「はぁー…。 雄志さんと合流するまでには目を覚ましておいてよね。」
僕はため息交じりに言った。
これもいつものことだよ…。
そして、僕は半ば強引に凛を引っ張るかたちで
彼女の邸宅をあとにした。