短編集

□フレンドノベル
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 放課後はすぐに教室を出てしまう。
 掃除をしなければ何もやることはないからだ。そのうえ、話の輪がすぐにできてしまい、俺が話しかける機会がなくなる。だから、逃げるように出ていくのだ。
 いつも帰り道にある公園で反省会をしている。時々買い食いもしている。今日も木の下のベンチで右手にピーナッツバターを挟んだパンを持っている。
 反省会の成果はない。
 少し伸び始めた髪をいじる。髪を短くして少しでも明るくしようとするが、俺自身は何も変わらなかった。
 周りのほうから話しかけてくれないことに疑問に思ったこともある。
 鏡を見てその理由に気づいた。俺の顔から読み取れる表情は冷静に馴れ合いを好まない表情だ。上目使いに口角が下がり気味、まるで少年漫画の主人公のライバルか悪役のようだ。
 周りに気安く話しかけるなと、オーラを発しているようにも見える。
 実際は話しかけてほしいのだが。
 友達と雑談をすることがないから、感情の表し方を失ってしまったようだ。
 パンを一かじりする。
 人が歩く音がする。
 あごを動かしながら反省を頭の中でする。いつも内容は似たものだ。
 スッと、目の前に数枚の葉が通る。
 この季節はほとんどの葉が枯れ落ちてしまい、木にはない。風も吹かずにいくつかの葉が突然、落ちることもない。
 不思議に思い、俺はおもむろに顔を上に向けた。
 そして、白い何かが顔にへばり付いた。
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