短編集

□チルオレタチ
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 三年、俺達が造られてから、壊れるまでの、最長の期間だ。
 俺達は無機質な機械ではないが、完全なヒトではない。生まれてから二十年の記憶はあるが、それは俺達のものであって、俺達のものではない。

 二〇五三年現在、軍を持つ日本では、公にされていない兵器が開発されている。
あらゆる身体細胞に変わることが出来る万能細胞、これを軍事応用したアンドロイド、またはガンノロイドである。
 二十歳となった男女から、健康診断の際に血液を余分に採取。その血液を使い、個人の遺伝子を抽出。その遺伝子を元に俺達の身体は造られる。
一定の遺伝子を組み込み、筋力を数十倍にする。
体が形成された後、直接的に脳へ電気信号を脳に送ることで身体の制御能力、軍事知識量を高める。
 結果、出来上がるのは自己判断能力を持ち、ナイフだけで戦車、戦闘機と渡り合える生物兵器だ。
俺達は『戦術級人型有機物質兵器』と呼ばれている。
 遺伝子情報にはオリジナルの記憶、生きてきた二十年分もの記憶がある。その記憶により俺達は人格形成される。
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