BL

□ここなら永遠にひとつのまんま
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「は、あっ」
「悪りぃ。もーちょい頑張って」

分厚いカーテンで遮断して、電気なんてぜんぶ消してしまって。
真っ暗な部屋の中で最愛の人を抱く。
表情見えないのだけが、ちょっと残念だ。

熱い、熱い、吐息に紛れる音、は、水音。
ぐちゃぐちゃ、粘っこい人工物と天然物が交じり合って、卑猥で、魅力的。

「うぅん、…ふ、ぅあぁっ」
「は。その声、マジやべぇ」

耳元で聞こえる啼き声は扇情的。

「な、もう入れてい?」
「ん、はやくっ」

仲本の腕が俺の腰に巻きついて体全体で誘われる。

仲本は「いつも俺ばっか劣勢でむかつく」とよく言うけれど、本当に劣勢なのは俺のほうだ。
塵一つ分だって勝てたことなんてないのに、仲本は自覚してないらしい。
負けた、と思ったときに見せるすねた顔がかわいいから、その事実も、すねた顔がかわいいってことも言ってはやんないけど。



指でぐちょぐちょにした後膣に、すでに限界が近いものを押し当てる。

「ん、熱ッ…」
「ナカ入ったらもっと熱くなんぞ。覚悟しとけ?」

そう言って、わざとゆっくり入っていく。
ぐっと締め付けられる痛みは嫌だけど、震える仲本は想像するだけでもかわいいからガマンガマン。

「はっ、あ、」
「ン。最後まで、入った。…マジきつ…」

仲本の体が力んでいる。
けど何も喋らないってことは、また唇ぎりぎり噛んでいるのかな。

うん、そういう姿もかわいくはあるんだけど、別に痛い思いさせたいわけじゃないんだよね。
サドでないので。

「なぁ、動いて平気?」
「いーから、さっさと、動け、よっ」
「りょーかい」

求めてくれるなんてかわいすぎる。
うれしすぎる。
幸せすぎる。

イッたら絶対、この細い体を抱き締めよう。

「ふあぁっ」

腰を少し動かしただけで、仲本の口から色っぽい声が漏れた。
声だけで俺の心にはズドンと何か大きなものが生まれる。
欲望ってこれのことなのかな。

「も、ガマンなんてできねーし」

ちょっと痛くてもごめん、許して。
そう心で謝って、俺は腰振るスピードを速めた。
その速さに合わせて仲本の声が耳に届く。

繋がってる。
この瞬間間違いなく、俺たちはひとつになっている。

真っ暗な部屋の中、形さえも曖昧で、それでも間違いなく心なんていうところの芯なんてものはおんなじで、肉なんて細かな区別を排除してしまえば、間違いなく、ひとつなんだ。



なんてすばらしく、幸福。






「高石ぃ」
「慎って呼べよ」
「たーかいしっ」
「…なんでございましょ」

行為を終えたあと、一人じゃ広くて二人じゃ狭いベッドに潜って眠ろうとしていたら、とつぜん声をかけられた。

「お前さ、俺になんか言うことねぇの?」
「…激しくってすみませんでした。おじいちゃん相手にひどいことしたなって、ちゃんと反省してますよ」
「そうだよ、おじいちゃんはいたわらなきゃ、って誰がおじいちゃんだ!」
「おじいちゃんが怒った〜!」
「だーもうっ、ばかっ、知んねぇっ!」

知んねぇ!とか言いながら、なんでこの子は抱きついてきたんだろうね。
わかんねぇ。かわいい。たまんない。一個上のくせに。

ということで抱き返し。

触れ合う肌が気持ちよくて、仲本は俺の胸に顔埋めてるからシャンプーの匂いが素朴で良くて。

「仲本」
「…なに?」
「俺いま超幸せ」
「……言っとけ」

は。言っとけってなんだよ。
しかもセリフに似合わず、俺抱く腕の力強くなっちゃってっし。

(まるで世界に二人だけしかいないみたい)

なんて幸せ。
ここには俺と、仲本の、二人だけ。

「仲本」
「ん?」
「ずっと一緒にいよーな」
「…言っとけ、バカ」

うん。うん。
言わせてもらうよ。これからもずっと。

「お前がいなきゃ、やだから、ずっと、一緒にいような」

ずっと、一緒に。





END

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