その瞳の奥に

□新聞
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『そろそろ新学期の準備しなきゃ…。
 あ!ケイト!』

「どうしたのです?」



荷造りしようとトランクを出すとポケットにそのままに入れてた用紙を見つけて、慌ててちょうど通り掛かったケイトを呼び止める。



『これにサインが欲しいの』

「なんですか?」

『学校の書類よ。ホグズミードって言って、そこに行くのに親か保護者のサインが必要なの』

「わかりました。サインしてあとで持ってきますね」

『ありがとう!』



バサバサ

羽の音を立て窓枠に止まるフクロウが手紙を届けに来た。



『ありがとう。アーロン。

 …あ、今日の新聞ね』



エイダの施設では魔法界の新聞はない。
そのため、ハーマイオニーとロンが交代で手紙と一緒に送ってくれる。

新聞を広げると一番に目に飛び込んできた記事に心拍が早くなった。


《シリウス・ブラック アズカバンから脱獄》


『シリウス…ブラック……』



エイダはペンダントを開く。
幼い自分と新聞に映る人。
変わらずキスをするシーンを繰り返し写している。



『アズカバンって…どういうこと…』



エイダはたまらなくなり、新聞を持ってケイトの部屋を尋ねた。



『ケイト!』



ケイトは驚いたように目を見開いた。



「どうしたのですか…慌てて。書類なら今ちゃんとサインしていますよ」

『ケイト…私の、お父さんについて何か知ってるの…?』

「…なぜです」

『こ、これ…』



魔法界の新聞を見せると、渋い顔をし席を立つと部屋の扉を閉めた。



『ケイト…』

「…私は、魔法界のことはよく分かりません。しかし、あなたが施設に来た時、連れてきた方が仰ったんです。

 「この子の身分は隠すように。本名を名乗らせてはいけない。この子のために」…と、、

 その人も詳しくは教えてはくれませんでした。ただ、あなたのお父様は、"重大な罪を犯した"と……」



あの日…

─『ぱぱぁ!』

─「そいつに触るんじゃねぇ!…エイダ!」



『あの日、パパはアズカバンに……』





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