魔法の世界

□10年
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 2ヶ月がたち、今年も一年が終わった。僕は、この日が来るのが正直怖かった。


「卒業おめでとう、セシリア」

「ありがとう」


 セシリアがホグワーツを卒業した。


「ほらリーマス、そんな顔しないで」

「……うん」

「手紙は送るから。あと2年、頑張って」

「リーマス、セシリアを困らせちゃダメだよ」

「らしくねーぞ」


 ジェームズとシリウスに言われ、引き止めるように握っていた彼女の手を名残惜しく離す。


「じゃぁ、ふたりともリーマスのことお願いね」

「うん。セシリアも頑張って」


 列車に乗り込もうとしたセシリアが戻ってきた。


「リーマス、手だして」

「?」


 言われた通りに手を差し出すと、その手を包み何かを握らせた。


「今、あげられるものこれしかなくて」


 手を開いてみると、小さな石が散りばめられたシルバーのリングが乗っていた。
 ホグズミードで見つけて、お気に入りだからとセシリアがいつも身につけていたものだ。


「これ、君のお気に入りだろ」

「だからあなたに持ってて欲しい。お守り」

「……」

「ずっと会えなくなるわけじゃないんだし、休暇の時は会いに来てよ」

「……わかった。ありがとう、大事にする」


 頭一つ分小さい彼女は、背伸びをして、触れるようにキスをしてくれた。


「……またね」

「うん、また」


 列車に乗り込んだ彼女を見送って、また僕は、学校での生活に戻った。





 数ヶ月も経てば、セシリアがいなくなった学校生活にも慣れてきた。もちろん、寂しさはあるが、いたずら好きな友人がいるから退屈しない。


「セシリアとはまだ続いてんのか?」

「勿論。フクロウも欠かさない」

「フクロウが可哀想に思えるくらいやり取りしてるからね」

「そんなにしてないよ。セシリアも忙しいみたいだから」

「今、何してるの?」

「マグルの街で、小さなブティックを開いてるって」

「なんでまたマグルの街で……」

「ご両親の故郷らしい」

「へぇ、そういえば、マグル生まれって話してたな」

「ご両親も一緒に?」

「いや、彼女の両親、もう居ないみたいだから、ひとりじゃないかな」

「……そっか」

「次の休暇には逢いに行くのか?」

「もちろん」




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