第五章【奴が来た(下)】

□第二十三話【お出掛け】
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――――――――。




『......はあ』





現在3人は横一列に並び、歩いている
...正直言うと、他の通行者の邪魔だ。





「......」

『あのー...二人とも?』

〔......〕




安全な方から順に、丁、吉良、秋夜である。




『聞いてる...?』

「?はい。なんでしょう?」

〔なんすか?〕




両側二人が注目する。
何じゃねーよ!!





『あのさ、丁くんと手を繋ぐのは分かるよ。...なんで、あんたまで私の手繋いでんのよ?』

〔え?先輩が迷子にならないように?〕

「......ポソッ」


『なる訳ないでしょ。君じゃないんだから』





丁が顔をそらしたのが目の端に映る
絶対凄い顔してるんだろうな...

...とりあえず、手を離そうか




『秋夜くんは、とりあえず手を離そうか?』

〔え〜?なんでっすか?〕

「速く離してください。その手を叩き落としますよ」

〔......いやっすね!〕





吉良を挟んで、二人は火花を散らせる。
ちょっと!邪魔!!主に秋夜が邪魔!




『だーもう!!間違われるって分かんないかな!?』

〔いいじゃないっすか!!減るもんじゃないっすよー〕

〔私の精神がガリガリ減るわ!!!〕





ただでさえ、秋夜の傍に居るだけで疲れがどっと出るというのに
...私を過労死させる気なのだろうか

すると、丁が奴の前に一歩出る
三人はぴたりと足を止めた。




『?どうしたの丁くん。』

〔?〕


「......―――でしょ」



〔『?』〕





丁は何やらぼそぼそと言っているようだ。
そして腕を高く上げ、

振り下ろす――――




狙った箇所は奴の手首。







「吉良が嫌がってるでしょー...がっ!!」





ビシイッ

〔あいだあっ!!?〕


『(おお...さすが、見事に脈が通ってるところを的確に..)』





丁は目をカッと開き、д←のような口をし思い切り手刀を振り下ろした。
...あーあれは暫く、麻痺してるな





〔ぐは...て、手が..すっごい麻痺してるっす。じんじんするっす!!〕


「そうなるよう、的確に狙いましたからね。どうでしたか?吉良。」


『うん。完璧だったよ!!ありがとうね丁くん』





丁は足取り軽やかに、吉良の服にしがみつく
もちろん、助けてもらったし華麗で美しい手刀を見せてもらったお礼に丁の頭を髪が乱れない程度に撫でる。

...せっかくお団子にした髪が乱れちゃ嫌だからね。
あーくそかわっ






「吉良をお守りすると、お約束致しましたからね。当然のことをしたまでです」


『あはは!!そうだったね。ありがとうっ』



〔...っまだいったいっす..〕





奴はまだ、のたうち回っている様だ。
...自業自得といえばそうなると思う

とりあえず、ここで立ち止まってても邪魔になるし公園にでも行くか





『とりあえず、そこの公園にでも行こっか?...ここじゃ通行の邪魔になっちゃうし』

「はい!!」


〔...了解っす〕





あ、そういえばあの時...何話してたんだろ。
私が洗濯物とか風呂掃除してた時―――――

...聞きそびれちゃったな。
帰ったら聞いてみるか







三人は自宅から徒歩5分の近場の―――公園ではなく、少し距離のある大きな噴水がある公園へと向かった。――――――

現在の気温 29.3℃


夏がだんだんとやって来る。
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