第三章「三日目」
□第十二話【今日からお仕事です(社畜の目)】
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今日の朝食は、焦げた卵焼き――ではなく、今回はきちんとした卵焼きであった。
それと、味噌汁にご飯に冷食のおかずであった。
二人はモリモリ食べ、完食する。
『「ごちそうさまでした!!!」』
吉良は立ち上がり、さっさと食器を片していく。
すると、丁が吉良に向かって、話しかける
「...今日はいつ頃帰ってこられるのですか?」
『んーそうだなぁ。残業っていうのがなかったら、6時......あの丸い時計で言いうと、6の数字のところで終わる予定だよー...あっこれねー』
と言って、時計の6の数字を示す
「ということは、だいぶ先なんですね。」
『そうね。まぁ、いつもそんなものよー』
「そうですか...」
丁は顔を俯かせ、ポツリとそう呟く。
『そ、そんなに落ち込むことないよっ!!ちゃんとここに帰ってくるし、5日間行ったらまたお休みだから。ね?』
「...本当ですか?」
『うん!!』
丁はちらりと上目遣いのような感じで、吉良を見てくる
『じゃあ、約束しようよ!!!』
「?何をするのですか。」
すると丁は上目遣いから今度は首を横に傾ける
『私が此処にちゃんと帰って来れるようにする約束!!』
「ちゃんと帰ってこれるように、する約束...?」
丁の首は更に傾けられる。もはや身体ごと傾いている
『そう!!指切りしよう!!』
「また、ですか?」
『...ダメかなー?』
「いいですけど...約束というのは、人を縛るという意味でもありますよ?...この場合、私は外に出ませんので一方的な縛りになりますが」
丁は怪訝な顔つきで、顎に手を添えそう話す
『いいよー。それに、丁くんを寂しがらせたくないし!!』
「...私は別に、寂しくなんてありませんが、」
丁はふいと顔を逸らす。
『ありゃ、今日の丁君は何時になく素直じゃないなーお姉さんちょっとショック』
吉良はそう言うと肩を落とす。思いっきり
「...そろそろ身支度を整えなくても宜しいのですか?」
『あ゛!!もうこんな時間じゃんっ歩いて近いとはいえ、さすがにまずい...』
吉良の仕事場は徒歩10分くらいのところに構えられている
だからと言って、距離はあるのであって悠長にはしていられない。
『あっ丁くん!!一応機械に説明の文書いといたから!!ご飯食べる時に見てね!』
「あっはい分かりました」
そう言ってどんどん支度をする。
「......」
『えーっとどこ置いたっけ。あー!!あれもないじゃん!!』
吉良は慌ただしく、寝室や脱衣所などを駆け巡っては整えていった――――――――――
『じゃあ、行ってくるね!!』
「はい。必ず帰ってきてくださいね?」
『大丈夫だよ!...ちゃんとおうちに帰ってくるからね』
そう言うと、吉良は丁をぎゅっと抱きしめ、背中をぽんぽんと軽く叩く
『じゃあいってきます!!』
「.......」
丁はひらひらと手を振るだけで、何も言ってこなかった―――――――――――
最近丁くんが乙女化してる気がするのは気のせい。