短編集用本棚。

□真実が言えた
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彼女の元を離れて早10年――――――――








なぜ貴方がこの私の目の前にいるのですか?




10年前に私は貴女の前から消えた。





理由は単純、これ以上貴女を好きになってはいけないと脳が訴えたから。















10年前あの日、私と希和さんは些細なことでケンカをしてしまいました

内容は私のせい。









「私は貴方が嫌いです」




【.....え?】




突然のたった一言。



この言葉で、私と彼女の関係は壊れました






――――――――――壊れたと思っていた。





彼女は笑顔で言う




【また、会いましたね】






私の全てが音を立てて崩れていく感覚がする。



あんなに突き放したのに。

あんなに大喧嘩をし、最後には忽然と消えたのに


彼女は鬼と化してやってきた




「なぜ希和さんがいるのですか」



【そりゃ死んじゃったからかな?】




そんな顔で言わないでください

貴女にはまだ死んで欲しくなかったのに




何故ここに.......




【私ね、自分でもなんとなく分かってたんだ。自分の死期が近いってこと】



そんなこと、人間の貴女では分かるはずないでしょう。


【それと同時に鬼灯さんともまた会えるって確信してたの。こころのどこかでね】




おかしい おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい........――――――――















なのに何故、嬉しいという気持ちが湧き上がってるのでしょうか




わからない。





「ここには来るなと言ったはずですが?」



【来ちゃったものは仕方ないですよー】









.......バカな人ですね。
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