夢小説

□伊作 おねしょ
1ページ/1ページ

「(まただ・・・)」


濡れた冷たい感触で伊作は目を覚ました


同室の留三郎は寝ている


ここ最近、伊作は夜中に目を覚ます


「(寝る前に水分を取ってないのに・・・)」


濡れた褌と寝巻を着替える


「はぁー」


濡れた布団はどうするか


おねしょをするように今日で3日目


3日連続でしている


昨夜までは晴れていて、布団を干すことが出来たが、今は生憎の雨


「(どうしよう)」


濡れた布団を見ていても乾く訳もなく時間だけが過ぎていく


「ん?どうした?」


「!!」


起きてしまった同室の留三郎


「制服に着替えてるが、もうそんな時間か?」


「うんうん、まだ」


「じゃあ何で着替えてんだよ」


答えに詰まってしまう


この歳になって、おねしょをしてしまって起きたなんて言えない


「寝てないのか?」


「寝たよ」


「じゃあどうして・・・?」


留三郎は伊作のただなるぬ雰囲気に気づいた


「マジどうした」


「どうしよう・・・」


伊作は涙目で留三郎を見る


「言ってくれないと対処法とか考えられないぞ」


伊作は意を決したように口を開く


「おねしょ」


「え?」


「おねしょ、した」


「おねしょってあのおねしょか?」


「うん」


どう言葉をかければいいか分からない


「やっぱおかしいよね。この歳でおねしょなんて・・・」


ついに伊作は泣きだした


「まだ時間もあるし、もう一眠りするぞ」


「え?」


「ほら」


留三郎は伊作の枕を自分の布団の上に置いた


「おねしょするかも・・・」


「その時はその時だ」


布団を半分譲る


「精神的な事が原因でおねしょすることもあると聞いたことがある」


「精神的なこと?」


「詳しい事は分からないが明日、新野先生に相談しよう」


「そんな!」


保健委員委員長である伊作が保健委員会の顧問である新野先生に相談することは気が引ける


「理由が明白になったら対処法が見つかるかもしれないだろ?」


「それはそうだけど・・・」


そこは思春期男子の複雑な心境


「伊作が話したくないなら俺が話すから、な?」


「・・・分かった」


伊作が寝たのを確認した留三郎は、濡れた伊作の布団を片付ける


手ぬぐいを濡らし、シミにならない慎重に


「目の下に隈が出来てる。これじゃあ文次朗と同じだな」


結っていた髪を解き、手櫛で梳く


疲れがたまっていのか伊作は起きない


次の日の朝、朝一で校医の新野先生の元に二人は向かった


早い時間帯ということもあって、誰もいなかった


「怪我でもされたのですか?」


ひたすら俯いて顔を上げない伊作に新野先生は優しく訪ねた


「実は・・・」


留三郎が伊作に代わって新野先生に説明する


「そういうことですか。辛かったですね」


伊作は思わず泣きだした


「恐らく精神的なものだと思いますので、しばらくしたら良くなりますよ」


「対処法とかはありますか?」


「そうえすね〜・・・失敗してもいいと大きく構えてるくらいですかね」


その日の晩から伊作の枕もとには褌と予備の寝巻が置かれた


「遠慮なく起こしてくれたらいいからな」


「うん」


「誰にも言わないから」


「ありがとう」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ