夢小説
□留三郎 おもらし
1ページ/2ページ
廊下を慌ただしげに歩く音が聞こえる
音の主は留三郎だった
何故、彼が急いでいるのかと言うと、遡ること少し前・・・
「新しく薬を作ってみたんだけど、飲んでくれないかな?」
「嫌だ」
同室の伊作から新薬の実験台になることを求められた
当然のように断ったが伊作の方が一つ上手だった
「今飲んだお茶の中に混ぜてみたんだけど、どうかな?」
「・・・・・毒じゃないよな?」
毒でなければ午後の授業に差し支えないはずだ
「うん」
「で、どんな薬なんだ?」
「利尿剤」
伊作はサラリと言ってのける
だが、留三郎の顔は青くなった
何故なら午後の授業の教師は、授業中に厠に行かせてもらえない
「どうしろと?」
「頑張って耐えるしかないね」
「・・・・・後先考えて実行してくれ」
切実に思った
昼休みの終わりに念のために厠に行き、用を足すが不安は消えない
そんな中、午後の授業が始まった
「(早く終わってくれ)」
授業が始まって直ぐに厠に行きたくなってしまったのある
「(こんな時に限って嫌いな授業かよ)」
人生そう甘くはない
好きな事は時間が経つのが早く感じられるが、嫌いな事や嫌な事は逆に時間が経つのが遅く感じられる