涙の池

□僕のヒーローアカデミア
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〈初めましてな世界〉



みんなは輪廻とか転生とかって信じる?


あっ、突然なんだこいつなんて目で見ないで。
いや、本当真面目にさ。


俺は信じてない。

俺は自分の目で確かめたものしか信用しないような質だし、まず前例がない。

あったとしても記録とかには残せるわけないけどさ。



けど、それは前の俺の話。

今の俺は信じてる―――いや、信じざるを得ない状況にいる。




なんでかって?それはな――


「あなた、見て!紅が起きたわよ。」


「本当だ!紅〜、わかるか〜?お父さんだよ〜!」


目の前には儚げな容姿をした美人な女性と、少し頼りなさげに見える男性、そして―――



『あぶうー…(わかるよー…。)』



赤ちゃん語しかしゃべれなくなった俺――渡瀬紅がベビーベッドに横になっていた。


なにこれ。




*    *    *    *    *


俺、渡瀬紅は文系大学2年で毎日課題に追われながらも友人と飲み会をしたりバカ騒ぎしたりする、そんな普通の学生だった。



あの日も、そう。いつも通りの生活をしていたはずだ。


朝、大学までの道のりを全力ダッシュして、大学で自分の取っている授業を受け、終わったら友人とだべって帰る、そんな日常を過ごしていた。


帰り道、通り魔に会うところまでは。


アパート(ボロ)までの帰る途中、ふらふらと下を向いて歩く男が俺の前から来た。


広い道だったけど、ぶつかってもお互い嫌な思いするかもと思い、男が歩いている方とは逆側へ逸れる。


が、男もなぜか俺の動きに合わせて逸れた。


なんだあの人、と思ったのもつかの間。
急に男がばっと俺の方を見たかと思ったら、すごい勢いで突っ込んできた。


ぶつかった衝撃と、遅れて腹部に痛みが走る。


『いって…ぁ…!?』


痛みのもとを見やると腹部には深々と刺さっているナイフ。


男はナイフを引き抜くともう一度、今度は別の場所に刺した。


『ぐ、!こ、のやろ…!!』


持っていたバックを振り回そうとするが、相手に押し倒され、されるがままの状態。


(痛え…し、なんか寒い…)


徐々に下がる体温とぼやける視界。

狂ったように口元を歪める男はナイフを振り下ろす手を止めない。



(俺、死ぬのか、な…)


むしろ、これで生きてられるって奇跡だよなぁ。



(もっとやりたいこととか、やり残したことあるんだけど、もう無理だよな…)



友人と飲む約束もまだあったし、恋愛もまだまだしたかった。


(けどもう、それはかなわない夢か。)


ふ、と細い息を吐きだし、眼を閉じた。


























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