喰種の涙

□親子の喰種と悲しみ
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ようやく泣きやんだ研と珈琲の豆を取り、
一回へ戻ろうと廊下に出た。



と、そこにはトーカ、芳村さんと母子が
いた。




母親がこちらへ気づき、にこりと優しそうな
笑みを浮かべた。



「あら?見ない顔ね、新人さんたち?」



研は、そうですと答えて名乗った。



「そうなの。私は笛口リョーコと言います。
こっちは雛実(ひなみ)。」



ヒナミちゃんは恥ずかしいのかお母さんの
影に隠れてしまった。




「あなたは?」



『あ、俺ここのやつじゃないです。神鳴
凜音といいます。』



ペコッと頭を下げるとまた優しく微笑んでくれた。





なんとなく、自分のお母さんを思いだして
少しだけ寂しくなった。






挨拶を終えたとき、芳村さんが笛口さんたちを
別室に連れていった。




『トーカ、あの人たちは喰種だよな?』


「そう。自分で狩れないからここに来てる。」




自分で狩れない、か。



『ん‥‥‥‥?母子の、喰種?』




そういえば、どこかできいたような。









〃もし、親子の喰種がいたら連絡を
しなさい。番のを逃がしてしまってね。〃





(もしかして、真戸さんが言ってたのって、あの人たち?)




あの人たちからは人を殺したような感じは
しなかったし、多分殺したこともないだろう。




俺は笛口さんたちと芳村さんのいる部屋へ
入り、リョーコさんと芳村さんの傍へ行った。





『あの、リョーコさん。』


「?どうしたの?」


『あの、気をつけてください。喰種捜査官が
あなたとヒナミちゃんを狙っています。』




しかも、あの真戸さんが狙っている。

あの人は上等捜査官だ。
実力もあるし、なによりクインケの扱い方が
上手い。




狙われた喰種が生きて残れる確率は、高いとは
言えない。





『それと、芳村さん。もしかしたら近々
ここに捜査官が配置されるかもしれません。』





たしか、配置は来週からだったはず。




リョーコさんと芳村さんは険しい顔をしていた。



『配置されるの、多分上等捜査官と一等
捜査官かもしれないんで一応警告です。』




この情報の横流しがバレたら俺どうなるのかなぁ‥‥‥‥




うん、真戸さんと亜門さんの説教かな。
あとはしばらくの外出禁止。




「うん、わかったよ。ありがとう。」




『いえいえ。あ、俺もう帰りますね。
そろそろ帰らないとCCGの人に怒られるんで。』




真戸さんとかに怒られたら1ヶ月外出禁止令
出されるし。




俺は芳村さんと笛口さんたち、トーカに挨拶して研にお金を払い店を出た。















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