喰種の涙
□悲しみの連鎖
1ページ/2ページ
気づくともう1日過ぎていた。
しかも夜の帳が降りている。
『うっわ、寝すぎた。』
むくりと起き上がり顔を洗う。
机の上を見ると、メモ書きとラップのかかった
お皿。
メモ書きを見ると、そこにはタケさんからの
メッセージ。
──凛音へ
ここ数日きているが、寝たきりだな。
起きたらちゃんと飯を食え。
タケ
タケさん、お母さん……
『ありがたく、頂きます。』
もぐもぐとご飯を食べる。
あ、美味しい。
食べ終わり、お皿を洗っていたら外から
人の声がした。
「なぁ、真戸さん知ってるか?」
「ああ、変人だろ?」
変人の一言にむかっと来た。
けど、そのいらつきも次の1言で消えた。
、
「あの人、喰種に殺されたってよ。」
パリィン、と軽やかな音を立てて俺の手に
在った皿が割れた。
真戸さんが
死んだ?
あの人が、死んだ?
気づいたら、部屋を飛び出していた。
後ろから人の声がする。
多分、待てとかそう言ったことを言ってるんだろうけど。
喰種に反応するゲートを飛び越え、出入口を
出る。
ただただ、真戸さんと血の匂いがする所を
探して走った。
たどり着いた所は、薄暗い橋の下だった。
ぱしゃり、ぱしゃりと音を立てながら進んでいく。
えぐられた柱とか、戦ったあとが
見られた。
『真戸、さん。』
" 凛音、起きなさい。仕事に行くから早く。"
" ああ、彼は亜門鋼太郎といってね。
私の新しいパートナーだよ。"
" そうそう、私の娘に会ってみないか?
暁というんだがね、妹を欲しがっていたんだ。"
" 私のことは父親と思ってくれて構わない。
むしろ、その方が嬉しい。"
『何、死んでるんですか……!! 』
" 凛音、私がもし殺されても泣かないでくれ。
娘の涙には弱くてね。"
『泣きません、だから、もう、ゆっくり休んでください。』
今までお疲れ様でした、真戸一等捜査官。
誰もいない場所へと、深く、深く頭を下げる。
『今度、墓参りに行かせてもらいます。』
今は、ここに居させてくださいね。
そういって、瓦礫の山に腰を下ろした。
,