喰種の涙(BLD)

□それは突然に
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東京にある音楽大学。


「おーい奏ー!!講義終わったか?」


講義が終わり、荷物を持った俺を見つける
友人に声をかけられて振り向く。


『おお、終わったよ。昼食べに行こうとしてた。』


「一緒に行こうぜ!俺も終わったからさ!」



肩を組まれ、半ばひきづられるように食堂へ
行く。



これが、音大生である俺の日常だ。






『んで、なんだっけ?ツキヤマ?さんは
結局どうなった訳?』


作ってきた弁当の唐揚げをパクリと口の中へ
入れそう問いかける。


学食?うるせぇ金がねぇんだよ!
バイトの給料と相談した結果が弁当なの!



「あー、月山はなんかベッドの中だった。
ショックだったんだろうな。カネキ居なくなったし。」



『ふーん……』



俺の友人は〈東京喰種〉っていうマンガに
はまっているらしく、俺に熱く力強く語る。


それはもう、とても力強く。



この前なんて漫画を押し付けられた。

「マジで面白いから読め!」って……俺は
譜読みしなきゃいけないの!!




「あー!俺喰種になりてぇ!」


『お前みたいなのがなったらすぐにCCGに狩られるに決まってるだろ。』



んなわけないだろ!とギャンギャン叫ぶのを
無視して弁当を片付ける。



さて、帰るかな。



『んじゃ、俺帰るぞ。話はまた夜電話で聞くから。』



「おう!またな!」



友人に手を振り、楽譜や本が入ってるバックを
持ち帰り道を歩く。



(喰種か〜。)



この世界にいたら怖いな。生憎、居ないけど。



信号待ちをしていたら、足元に何かが当たった。




『?何だ、猫か。』




足元にいたのは黒い猫だった。
美人猫さん……美猫かな?



こんなとこいたら車に引かれるだろ……


『ほら、あっち行けよ。危ないから。』




しっしっ、と追いやるが猫は動かない。



困ったな……ソ



どうしようか考えていたら、急に猫が道路へ飛び出した。



『!?』



そしてこっちに突っ込んでくるトラック。


これフラグだろ、死亡フラグってやつ。




でも、放っておくわけには行かない。




『くそッ!』




猫を追って俺も飛び出す。



黒猫を守るように抱える。




体に強い衝撃、視界が赤く染まる。




ああ、父さん、母さん。
ごめん、俺もう終わった。


あー、アイツの話も今になったらもう少し聞きたかったな。



いろんな後悔、寂しさを感じながら俺は
意識を手放した。















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