喰種の涙(BLD)

□人と喰種の世界
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どうも、みなさん。


猫を助け、車に引かれて死んだはずの柊奏です。




あの後、意識が飛び目が覚めたらなんと
赤ん坊として生まれ変わってしまったらしいです。



吃驚したよ、目が覚めたらいきなり
「産まれましたよ!元気な男の子です!」
って言われて。



まぁでも、産まれたからにはこの世界で
生きてみよう、と思い5年くらい生活してます。




「奏〜?まだ寝てるのー?ご飯よー!」


『はーい!』



両親に呼ばれ、とたとたと走ってリビングに向かう。



母親は普通の主婦。
父親は普通の公務員。

3つ上兄が1人いて、祖父が1人。


まぁ、じいちゃんは東京じゃなくて田舎に
住んでるんだけどな。



『にいちゃん、俺にもそのおかずとって!』


「はいはい、ほら残すなよ。」


『へへ、ありがとう!』




普通に、幸せな生活だ。


むしろ、こっちの方が前の世界より幸せな気がする。




前にいた世界は両親は俺が中学あたりに
交通事故で死んだ。

祖父母も小さい時に老衰でいなかったし
兄弟もいなかった。



だから、家族でご飯なんて本当久しぶりで
最初の頃はずっと泣きそうだった。




「奏、今日はどこかへ行くの?」


『あ、行く!しゅうくんとこ行くの!』


「なら、早くしないともう8時だぞ?
何だったら、父さん送ってくけど。」


『へーき!俺一人で行けるもん!』



皿の上にあったご飯を全部食べ終え、
急いで着替えて必要なものを小さなリュックに
入れて家を出る。




家から走って数十分の所にある公園のベンチ。


そこに、紫の髪が特徴的な身なりのいい少年。



『しゅうくん!!』



「やあ、奏。朝ごはんは食べてきたかい?」



しゅうくんこと、月山習。


俺の二つ上の友人だ。

言わなくてもわかるかもしれないが、彼は
人間を食べる喰種だ。



つい最近喰種である事をカミングアウト
されたばかり。(知ってたけどね)


それでも俺のわがままでこうやって何回か
会う約束をしてる。



「本当、物好きだね奏は。今日こそ来ないかと
思ったのに。」


『ふん、なんどでもくるからな。しゅうなんか
こわくねーもん。』


「僕が君を喰わないなんていう保証は
ないよ?」


『お前は俺をくわないよ。くえたら、もう
とっくにくわれてる。』


そういえば、笑ってその通りだといった。



その後も、ずっと話をした。

習の家であったこと、俺が通う学校で
あったこととか、他愛のない話を。




ずっと、こんな生活が続けばいいと思う。





けど、俺のすべてが変わる時は刻一刻と
迫っていた。
















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