錬金術師の涙

□3人の錬金術師
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《祈り信じよ
さすれば汝が願い成就せり》


『...宗教放送?』


ここはリオールという場所にあるちょっとした
食事屋。


私はそこで冷たい飲み物と軽い食事をしていた。


「嬢ちゃん知らないのかい?コーネロ教主様だよ。」


『コーネロぉ?』


何でもその男は太陽神レトの代理人であり、
“奇跡の業”とやらが使えるらしい。



うさんくさいな、それ。


『神様ねぇ...』


そんなものに縋るのなんてとうの昔に辞めてる
私には全く面白い話じゃない。


むしろくだらな過ぎる。



ポテトを齧っていると、隣に2人組が座った。


1人は金髪金眼の赤いコートの目立つ少年。


もう1人は大きな鎧......は、鎧!?



(変わってるな.....)



自分も対外だけど。




すると二人組も宗教放送に興味を持ったのか
店主に聞き始めた。



大道芸人とかって勘違いされてる(笑)



「そこの嬢ちゃんもそうだけどここらじゃ
見ない顔だな。旅行か?」



『旅行っていうか、探し物してる。』


「俺らもそんな感じ。」


『なぁ店主さん、そのコーネロっていう
やつの奇跡の業、どこで見れる?』


「おお!嬢ちゃんもレト教に興味もったかい?」


『毛ほどの興味もない。』


店主の意見をばっさりと切り捨てる。


だって私神様信じないし。

ただ、ちょっと奇跡の業とやらを見てみたいだけ。


「あと二、三時間もすれば広場で見られるさ。」


『ありがとう。んじゃあ、適当にブラブラ
するかな。』


代金を机に置き、伸びをして立ち上がる。


くるりと店に背を向けると後ろには女性が
私を見ていた。



『?何か用か?』



「あ、いえ珍しいなぁ、と思いまして
つい見てしまって。」


すいません、と謝る女性。


『いや、大丈夫。いつもそうだから。
見慣れない色だからな、これ。』


そっと束ねている髪をすき、フードを被る。


「被ってしまうんですか?」


『ああ、この髪は目立つしね。』


もったいない...と言われ苦笑する。


「ロゼ、いつものだろ?早く行かなくていいのかい?」


「ああ!ありがとう、はいこれお代。」


『なぁ、どこに行くんだ?』


ロゼと呼ばれた女性に聞くと、教主の所、
と返事が返ってきた。



「あなたも行きますか?」


『いや、遠慮するよ。誘ってくれたのに
悪いな。』


「いいえ、あなたにもレト神の加護がありますように!」


そう笑ってロゼは歩いていった。



『さて、私も行くか。』


深くフードを被って今度こそ、店から離れた。











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