文豪の涙(BLD)

□俺の職場=危険
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目を覚ました場所は太宰さんの腕のなかとか
路地裏とかではなく、探偵社の医務室と
思われるところだった。


「起きたか。」


声のする方へ体を向けるとパイプ椅子に座った
国木田さんの姿が。


『国木田さん...敦と潤たちは?』


少しだるい体をベッドから起こし、そう尋ねると
国木田さんは手帳を閉じて息を吐いた。


「敦はお前の向かい側のベッドだ。」


『あぁ、カーテンしまってるから分かんなかったのか。』


「谷崎兄弟は...」


苦々しく言い出した国木田さんの言葉は、
医務室の奥にある処置室から聞こえてきた
絶叫にかき消された。



......あぁ、哀れ潤。



『...何回解体されてるんでしょうね。』



「止めろ。」


若干国木田さんの顔が青い。
自分の体験思い出してるのかな。


「お前はただの麻痺剤を盛られていただけだ。
体はだるいだろうが大したことは無いと、与謝野先生が言っていた。」


『良かった...』


「お前を彼処に行かせて正解だったな。
お陰でこちらも対応が出来た。」



『せめて無傷で終われば良かったんですけど...
龍之介相手にそれはやっぱり無理でした。』



ぽりぽりと頬をかく。



「命があっただけでも儲けものだと思え、
相手はあのポートマフィアだぞ。」


...まぁ、そうだよなぁ。


谷崎兄妹も怪我はしたけど命はあるし、
敦を奪われずに済んだ。



龍之介相手によくやった方か。




「俺は敦を診てる。蓮、落ち着いたら報告書を
書いておけよ。」



『げ。』



書類仕事かぁ、俺嫌いなんだよな。




「サボるなよ。」



『...はーい。』



のそのそとベッドから起き上がり、事務室へ
繋がるドアへ向かう。





たまたまその時に処置室から出てきた
血だらけの与謝野さんに会い、叫んでしまったのは仕方ないと思う。




だって手にチェーンソー持ってたら怖いだろ!?















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